オープンカーは速さより快適性を犠牲にする、と思っていませんか?
2025年9月7日、ミュンヘンのIAAモビリティで正式発表された最新992.2型のポルシェ911ターボSカブリオレは、シリーズの歴史を大きく塗り替えました。最大の革新は「T-ハイブリッドテクノロジー」の採用です。
このシステムは3.6リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンと8速PDKの間に81psの駆動用モーターを組み込み、さらに排気ガスを利用して発電する電動ターボチャージャー(eターボ)を2基搭載したものです。エンジン単体ではなく「電気とガソリンが連携して加速する」という仕組みが、従来とは次元の違う応答性を生み出しています。
つまり、ターボラグがほぼゼロということです。
従来モデルでは先代992.1型の650PSから711PSへ、実に61PSの大幅増出力を実現しています。最大トルクは800Nmで、エンジン回転数2,300〜6,000rpmという非常に広い回転域で発揮されます。6,500〜7,000rpmの回転域でピーク出力711PSを絞り出す特性により、日常域でも高回転域でも途切れのない加速が楽しめます。
バッテリーは容量1.9kWhのコンパクトで軽量な高電圧システム(400V)を採用しており、全体的な重量増は先代比でわずか85kgにとどめました。それでも2024年秋に実施されたニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでのラップタイムは、先代モデルより約14秒も速い「7分3秒92」を記録しています。14秒の短縮は、ニュル1周のタイムとしては非常に大きな改善です。
| 項目 | 992.1型(先代) | 992.2型(現行) |
|---|---|---|
| 最高出力 | 650PS | 711PS(+61PS) |
| 最大トルク | 800Nm | |
| 0-100km/h | 2.7秒 | 2.5秒(▲0.2秒) |
| 最高速度 | 330km/h | 322km/h |
| ニュル・ラップタイム | 約7分17秒台 | 7分3秒92(▲約14秒) |
| パワートレーン | ICEのみ | Tハイブリッド |
高電圧システムにより、かつてベルト駆動だった補機類も電動化されています。これが乗り心地や操縦性の繊細なコントロールにも一役買っています。
参考:992.2型のTハイブリッド全詳細はこちら
新型ポルシェ911 ターボSとターボSカブリオレ発表(992.2型) - 911Supercars(詳細なスペック・装備まとめ)
「オープンカーは快適性を犠牲にする」というのは、ターボSカブリオレには当てはまりません。これが結論です。
ソフトトップはボタン1つで約12秒での開閉が完了します。しかも時速50km/h以下であれば走行中でも開閉操作ができます。一般道で流れに乗りながらそのままルーフを開けられるわけで、使い勝手は格段に優れています。
走行中の快適性もよく考えられています。電動ウインドディフレクターを使えば、100km/hで走行中でも車内への風の巻き込みをほぼ抑えられます。このディフレクターはリアシートの邪魔をしないよう普段は完全に格納されており、必要に応じて展開する仕組みです。
厳しいところですね、とも言えないくらいよくできています。
ボディ剛性については、クーペと比べて遜色ないと評されるほどの水準に達しています。実際に試乗したジャーナリストたちも「乗っている間はカブリオレであることを忘れる」と語っています。これはボディ補強技術の進化によるもので、オープンでも路面からの入力に対してたわみを感じさせない仕上がりです。
走行モードはノーマル・スポーツ・スポーツ+と切り替えられ、モードによって足回りの設定や空気抵抗係数、さらにリアウイングの展開角度まで変化します。992.2型では新しいアクティブエアロダイナミクスにより空気抵抗係数を先代比で10%削減しており、これがオープン時の安定感にも貢献しています。
リモコン操作での開閉も可能です。駐車場でキーを手にしたまま先にルーフを開けておける、というのは細かい点ですが日常的に積み重なる快適さです。
「ターボ」と「ターボS」はどちらも911の上位グレードですが、その差は数字以上に大きいです。
まず出力面での違いを見てみましょう。現行992.2型の「ターボ」は580PS程度(※992.2型の詳細スペックは公開情報を参照)であるのに対し、「ターボS」は711PSと大きな差があります。これはエンジン排気量の違いではなく、チューニングと電気モーターの出力設定、そしてeターボの基数が異なるためです。カレラGTSがeターボ1基なのに対し、ターボSは2基という構成が象徴的です。
標準装備の差も重要な点です。ターボSには以下が標準で備わっています。
PCCBは単体で200万円超の価格が付くオプションです。これが標準で付いているというのは、ターボSの価格体系がいかに「装備充実度込み」であるかを示しています。
カブリオレとクーペのシート構成にも違いがあります。クーペは標準2シーターで、追加料金なしでリアシートシステムを選択できます。対してカブリオレでは2+2のシート構成が標準です。この点はカブリオレが日常使いに実はより向いているとも言えます。
ブレーキシステムにも注目です。992.2型のターボSはポルシェが2ドアモデルに搭載した史上最大のPCCBを採用し、リアのブレーキディスク径が390mmから410mmに、フロントは420mmという巨大なサイズになっています。
ポルシェジャパン公式発表の詳細装備・価格情報 - Car Watch(2025年9月8日掲載)
992.2型の新車価格は、911ターボSが3,635万円、911ターボSカブリオレが3,941万円です。クーペとの差額は306万円であり、これはソフトトップシステム・補強ボディ・カブリオレ専用電動機構のコストに相当します。
価格は高い。それが基本です。
ただし、上述のように標準装備のPCCBだけで200万円超の価値があります。さらにスポーツクロノパッケージ(通常50万円超)、チタンエグゾースト、HDマトリックスLEDなどを合算すれば、通常のカレラベースに同等装備を積めば500万円以上の追加投資が必要です。この観点からターボSは「割高なスーパーカー」ではなく「装備を厳選したフルオプションモデル」と捉えるのが正確です。
中古市場では世代によって価格帯が大きく異なります。
| 年式・型式 | 市場中古価格(目安) |
|---|---|
| 2025年式(992.2型) | 約2,400〜3,000万円 |
| 2021〜2022年式(992.1型) | 約2,400〜3,200万円 |
| 2017〜2019年式(991.2型) | 約1,400〜2,000万円 |
| 2014〜2016年式(991.1型) | 約1,400〜1,700万円 |
リセールバリューが高い点も見逃せません。ネクステージの2026年2月最新データによれば、2021年式の911ターボSカブリオレの買取実績最高額は3,237.9万円(走行19,621km)を記録しています。新車価格3,180万円(当時)を上回る買取実績があるということは、状態や仕様次第で値上がりするケースがあることを示しています。
ポルシェ911シリーズは全般的にリセールが高い傾向があり、特にターボSカブリオレは希少性が高いため、長期保有してもロスが少ない車種の1つです。予算面でターボSカブリオレを検討する際は、単純な取得価格だけでなく、5年後の残存価値も含めて試算することをおすすめします。
911ターボSカブリオレの買取相場・査定価格(ネクステージ)|最新の年式別相場一覧
外から見たターボSカブリオレは、同じ911であっても一目でそれとわかります。カレラモデルと比べてボディとトレッドが明確にワイドになっており、リアサイドには専用の開口部が設けられています。これは単なるデザインではなく、内部冷却システムの効率を確保するための機能的な形状です。
ターボS専用の外装アクセントカラーは「ターボナイト」と名付けられています。ポルシェクレスト、リアの「Turbo S」レタリング、リアウイングのスラット、サイドウインドウのストリップに至るまで、このダークグレーメタリックのトーンが統一されています。
ホイールはターボナイトのセンターロックデザインが採用されています。ニュルでのラップタイム記録に貢献した325/30 ZR21リアタイヤは先代比で10mm幅が拡大しており、これもワイドなフェンダーの存在感と視覚的に一致しています。
インテリアもターボSの独自性が際立ちます。ダッシュボードやステアリングホイール、センターコンソール、ドアパネルの各所にターボナイトのアクセントが入り、初めてネオジムトリムを備えたカーボン構造のトリムストリップと、ブラック裏地のパーフォレーテッドマイクロファイバーヘッドライナーが採用されました。さらに、シート表面のエンボス加工は初代911ターボ「930」型のデザインを現代に再解釈したものであり、歴史的な文脈を踏まえた演出といえます。
これは使えそうですね。
ポルシェエクスクルーシブマニュファクチャーによるカスタマイズも充実しており、100色以上のエクステリアカラー(PTSカラー含む)、カーボン製軽量ルーフ、カーボン製リアサイドセクションエアインテーク、コントラストカラーのデコレーティブステッチなどを追加注文できます。ターボSカブリオレが「所有する喜び」の面でも類例がない車であるゆえんです。
さらに独自の切り口として特筆すべき点があります。992.2型から標準コンポーネント比で50%軽量化されたカーボン製軽量ワイパーアームが初めて注文可能になりました。重量0.数kgの話ではありますが、全体的な軽量化への徹底したこだわりを象徴しています。エクゾースト6.8kgの軽量化と合わせて、ハイブリッド化による85kgの重量増に対してさまざまな場所で軽量化が積み重ねられていることがわかります。
T-ハイブリッドで磨いた最高峰 ポルシェ911 ターボS試乗 - Autocar Japan(内装・走行フィールの詳細レポート)

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