スタンディングウェーブ現象と空気圧高めの関係を解説

高速走行時のタイヤトラブルを防ぐため、スタンディングウェーブ現象と空気圧の関係を理解していますか?適切な空気圧管理でタイヤバーストのリスクを大幅に軽減できる方法とは?

スタンディングウェーブ現象と空気圧高めの重要性

この記事でわかること
⚠️
スタンディングウェーブ現象の原因

空気圧不足による高速走行時のタイヤ変形メカニズム

🔧
適正空気圧の管理方法

バースト予防に効果的な点検頻度と調整のコツ

🛣️
高速道路走行前の確認事項

長距離ドライブで実践すべき安全対策

スタンディングウェーブ現象の定義とメカニズム

スタンディングウェーブ現象とは、タイヤの空気圧が不足した状態で高速走行を行った際、タイヤの接地面より後方が波状(ウェーブ状)に変形する危険な現象です。この現象が発生すると、タイヤの接地部分の歪みが波となって前後に伝わりますが、波の伝わる速度よりタイヤの回転が速いと、伝播した波が重なり合って大きな波となりタイヤを変形させます。接地してへこんだ形が元に戻る前にタイヤが一周してしまい、地面がタイヤをへこまそうとする力とタイヤが元の形に戻ろうとする力のバランスが崩れてしまう状態になるのです。
参考)スタンディングウェーブ現象 - Wikipedia

運転者には認識しづらいという特徴があり、通常この現象が発生するとタイヤが不規則に揉まれるような状態になるため急速に加熱し、短時間でバースト(破裂)することが多いのが非常に危険なポイントです。タイヤの空気圧が低かったり、荷物を積みすぎて車両が重くなったりした場合には、潰れた部分のたわみが大きくなり、この現象が発生しやすくなります。
参考)スタンディングウェーブ現象|【DUNLOP】ダンロップタイヤ…

スタンディングウェーブ現象によるバーストのリスク

スタンディングウェーブ現象が続いた状態で走行を続けると、タイヤに熱が発生して最終的にタイヤが破裂(バースト)してしまいます。空気圧が低下するとタイヤのたわみが増え、走行中に内部温度が急上昇し、高速道路では短時間で100℃を超えることもあり、内部コード切れから突然のバーストに至ります。
参考)タイヤ空気圧が点検できるツールを提供~スタンディングウェーブ…

高速道路を走行する前には以下の危険なプロセスを理解しておく必要があります。
参考)高速道路を走行するのに適したタイヤの空気圧とは

  • 空気圧不足により楕円形になったタイヤが地面に接地するときに押しつぶされると空気が圧縮されます
  • 圧縮された空気は熱を持ち、熱を持った空気は膨張するのでタイヤが膨らみます
  • 楕円形からタイヤが膨らむことを繰り返すことで、タイヤが波打つスタンディングウェーブ現象が発生します
  • タイヤの波打ちが限界を迎えるとバーストします

バーストまでいかなくとも、高速走行で一定のキロ数を超えるとハンドルがガタガタ鳴り出すなどの不具合が起きてしまうため、早期の対策が重要です。このスタンディングウェーブ現象によるバースト事故は、ハンドル操作も効かず重大な事故にもつながる恐れがあるため、非常に危険です。
参考)タイヤ空気圧の入れすぎは危険!? 空気圧高めのメリット・デメ…

スタンディングウェーブ現象を防ぐための空気圧管理

タイヤの適正空気圧を維持することが、スタンディングウェーブ現象を防ぐ最も効果的な方法です。タイヤの空気圧は、指定空気圧のおよそ+10%を目安として、適正値を保つように管理することが推奨されています。これは毎日自然に少しずつ抜けてしまう空気に対して、最低限指定した空気圧を保つようにしたほうが安全だからです。
参考)高速走行時のタイヤ空気圧は高めが良い?補充方法とチェックポイ…

タイヤの空気圧点検は1ヶ月に1回を推奨しているケースが多く、その理由はタイヤの空気は1ヶ月で約5%低下すると言われているためです。指定空気圧の数値通りにタイヤに空気を充填することが基本ですが、自然にタイヤの空気が漏れることを考えて、車両指定空気圧を基準に、0~+20kPaの範囲内で調整することが理想的です。
参考)車のタイヤ空気圧、適正値はどれくらい?点検頻度や確認方法も|…

高速道路の走行はタイヤが高速回転するため大きな負荷がかかりますので、走行前には空気圧が低下していないかや、亀裂やパンクが無いかなどの点検はしっかりと行いましょう。タイヤの空気圧をチェックする定番の場所は、ガソリンスタンド、カー用品店、ディーラーなどです。
参考)タイヤの適正な空気圧とは?長距離走行や高速走行時には上げる必…

高速道路走行時の空気圧調整の真実

「高速道路や長距離を走行をする時は空気圧を上げておいた方が良いのでは」という疑問をよく耳にしますが、実は指定空気圧通りで問題ありません。高速走行時の空気圧については、タイヤの負荷能力と速度によって計算された数値はあるものの、空気圧を上げる必要があるのは160㎞/h以上からとなっています。​
具体的には以下のような基準が設定されています。​

  • 160超~180㎞/h以下:30kPa増
  • 180超~210㎞/h以下:60kPa増

日本国内の高速道路では最高速度は120㎞/hまでと定められていますので、特別に空気圧を上げておく必要はありません。むしろ空気圧を高めに設定すると、タイヤの中央部のみが路面と接触するため早く摩耗してしまい、偏摩耗を起こしてしまう可能性があります。タイヤの偏摩耗はタイヤローテーションでは対応できなくなり、タイヤ交換が必要となるので、空気圧の高すぎは摩耗を早め出費を増やしてしまう可能性があるのです。
参考)https://uppit.upgarage.com/column/tire-air-pressure-high/

タイヤ空気圧の定期点検方法と最適なタイミング

タイヤの空気圧が原因で思わぬ事故につながることがあるため、日々の点検を怠らず正しい空気圧で安心・安全なドライブを楽しむことが重要です。メーカー推奨の空気圧は、運転席のドアの内側や給油口のフタ(裏側)などにシール(指定空気圧シール)が貼られており、この指定空気圧は一緒に記載されているタイヤサイズに限り適合しています。
参考)タイヤ空気圧の適正値と点検方法をかんたん解説!

空気圧点検の重要なポイントとして、タイヤが冷えたあとに計測を行うことが挙げられます。タイヤが熱い状態ですと、タイヤ内側の空気圧が高くなってしまうため正しい数値が計測できません。​
ガソリンスタンドで給油のついでに点検をするのが便利ですが、もし空気圧が低下していたら空気を補充してください。特に高速道路を運転する前は、タイヤの空気圧チェックを忘れないようにしましょう。また、荷物を積みすぎて車両が重くなると、タイヤのたわみが発生しやすくなるため、荷物を積みすぎて車両総重量オーバーにならないようにすることも大切です。
参考)スタンディングウェーブ現象とは?原因や対策、危険性を解説 -…

もしもタイヤがウェーブ状に変形しているのに気が付いたら、その状態で運転を続けるのは危険であり、すぐに新しいタイヤに交換してください。バーストの前兆であるスタンディングウェーブ現象に気付けば防げますが、気付かずにバーストしてしまうケースも少なくありません。バーストを未然に防ぐには、定期的な日常点検が何よりも重要です。
参考)タイヤのバーストとは?原因や対処法を解説 - タイヤの点検・…