振動規制法特定施設一覧と届出方法や罰則

車に乗る方なら知っておきたい振動規制法の特定施設一覧。工場や建設現場での振動対策は、道路環境や車両への影響にも関わる重要な問題です。届出義務や規制基準、違反時の罰則について、あなたは正しく理解できていますか?

振動規制法特定施設一覧

この記事で分かること
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特定施設の種類

金属加工機械や圧縮機など、振動規制法で定められた10種類の特定施設を詳しく解説

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届出の手続き

特定施設設置時の届出方法や必要書類、提出期限などの実務的な情報を網羅

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規制基準と罰則

区域ごとの規制基準値と、違反した場合の罰則について具体的に紹介

振動規制法における特定施設の定義と範囲

振動規制法では、工場や事業場に設置される機械のうち、著しい振動を発生する施設を「特定施設」として政令で定めています。この法律は1976年に制定され、生活環境の保全と国民の健康保護を目的としており、特定施設を設置する工場・事業場は「特定工場等」と呼ばれ、各種届出義務と規制基準の遵守が求められます。
参考)振動規制法関係 - 松本市ホームページ

特定施設は振動規制法施行令別表第1に列挙されており、全部で10種類のカテゴリーに分類されています。これらの施設は原動機の定格出力など具体的な規模要件が設けられており、その基準を満たすものが規制対象となります。都道府県知事または市長が指定する地域内で特定施設を設置する場合、事業者は法律に基づいた届出を行う必要があります。
参考)https://www.city.seki.lg.jp/cmsfiles/contents/0000009/9447/tokuteishisetuitiran.pdf

車に乗る方にとっても、道路周辺の工場から発生する振動は快適なドライブ環境に影響を与える要因となるため、この規制は重要な意味を持っています。
参考)振動規制法の施行について

振動規制法特定施設一覧の詳細内容

金属加工機械(第1号)
金属加工機械は5つのタイプが特定施設として指定されています。液圧プレス(矯正プレスを除く)、機械プレス、せん断機(原動機の定格出力が1キロワット以上)、鍛造機、ワイヤーフォーミングマシン(原動機の定格出力が37.5キロワット以上)が該当します。これらは製造業の現場で広く使用される機械であり、振動発生源として重要な管理対象です。
参考)振動規制法の特定施設|法律・条例による規制について|東京都環…

圧縮機(第2号)
原動機の定格出力が7.5キロワット以上の圧縮機が対象となりますが、環境大臣が指定する一定の限度を超える振動を発生しない低振動型圧縮機は除外されています。令和4年12月1日から圧縮機の規制が変更され、より厳格な基準が適用されるようになりました。工場の動力源として欠かせない設備であるため、多くの事業場が該当する可能性があります。
参考)騒音規制法・振動規制法の特定施設の種類 横浜市

土石用・鉱物用機械(第3号)
破砕機、摩砕機、ふるい、分級機のうち、原動機の定格出力が7.5キロワット以上のものが特定施設となります。建設資材の製造や鉱業関連施設で使用されるこれらの機械は、大きな振動を発生させる特徴があります。
参考)振動規制法に基づく特定施設一覧

その他の特定施設(第4号~第10号)
織機(原動機を用いるもの)、コンクリートブロックマシンやコンクリート管製造機械(出力要件あり)、木材加工機械(ドラムバーカー、チッパー)、印刷機械(原動機の定格出力が2.2キロワット以上)、ゴム練用・合成樹脂練用ロール機(原動機の定格出力が30キロワット以上)、合成樹脂用射出成形機、鋳型造型機(ジョルト式)が含まれます。
参考)特定施設の設置の届出 振動規制に係る届出について|各務原市公…

これらの特定施設は、自動車産業をはじめとする製造業に不可欠な設備であり、車に乗る方々が日常的に利用する製品の製造過程で使用されています。​

振動規制法特定施設の届出方法と手続き

特定施設を設置する際には、工事の開始日の30日前までに市町村長に届出を行う必要があります。届出の種類は主に8つあり、それぞれ提出時期と必要書類が定められています。
参考)振動規制法に基づく特定施設の届出について - 諏訪市公式ホー…

特定施設設置届出書
初めて特定施設を設置する場合に提出する書類で、工事開始の30日前までに届け出る必要があります。添付書類として、工場・事業場周辺の見取図、特定施設の配置図、特定施設の構造図またはカタログ、振動の防止の方法を示す書類が必要です。届出は原則として窓口へ直接提出するか、電子メールでの提出も可能な自治体があります。​
特定施設使用届出書
新たに指定地域となった場合や、新たに特定施設として指定された際に、既存の施設について指定日から30日以内に提出します。​
変更届出書
特定施設の種類・数・使用方法の変更、振動防止の方法変更などを行う場合には、変更工事開始の30日前までに届出が必要です。ただし、施設の使用開始時刻の繰上げや終了時刻の繰下げを伴わない使用方法の変更は届出不要となります。
参考)振動規制法の特定施設を設置するとき|立川市

その他の届出
氏名・住所等の変更届出(変更後30日以内)、特定施設使用全廃届出(廃止後30日以内)、承継届出(承継後30日以内)などがあり、それぞれ様式が定められています。
参考)https://www.env.go.jp/info/one-stop/28/001.html

届出書は2部作成し、市役所環境政策課窓口へ提出する方法が一般的で、受付時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までとなっている自治体が多くなっています。​

振動規制法の規制基準と測定方法

振動規制法では、特定工場等から発生する振動について、時間帯と区域の区分ごとに規制基準が設定されています。規制基準は振動レベルをデシベル(dB)で表し、工場・事業場の敷地境界線で測定されます。
参考)振動の法令規制基準値と大きさの目安

第1種区域の規制基準
良好な住居環境を保全するため特に静穏の保持が必要な区域では、昼間が60~65デシベル、夜間が55~60デシベルとなっています。昼間とは午前5時~8時のいずれかから午後7時~10時のいずれかまで、夜間はその残りの時間帯を指します。​
第2種区域の規制基準
住居・商業・工業等が混在する区域や主として工業用に供される区域では、昼間が65~70デシベル、夜間が60~65デシベルと若干緩和されています。これらの基準は都道府県に依らない全国一律の法律で定められています。
参考)特定工場等において発生する振動の規制に関する基準

実際の振動レベルの目安として、乗り物では70~90dB程度の振動が生じていますが、乗り心地という観点から評価されるため、心理的背景が影響を与えています。道路交通振動については、知覚閾値のほか、感覚的なわずらわしさ(アノイアンス)や睡眠影響を考慮して要請限度が設定されています。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_content/000674407.pdf

特定建設作業については、敷地境界において75デシベルを超えないことが基準となっており、作業時間や作業期間にも制限が設けられています。車で移動する際に工事現場付近を通過する場合、この基準が適用されているかどうかで振動の程度が変わってきます。
参考)https://www.env.go.jp/content/900405123.pdf

振動規制法違反時の罰則と行政指導

振動規制法に違反した場合、事業者には厳しい罰則が科せられます。特定施設設置届を提出せずに施設を設置した場合、30万円以下の罰金が科せられます。これは騒音規制法の5万円以下と比較しても、より重い罰則となっています。
参考)https://www.city.hashimoto.lg.jp/material/files/group/14/shisetsu-g.pdf

特定施設の既設、使用、変更等の届出を怠った場合には、3万円以下の罰金が科せられる可能性があります。また、法人の代表者や従業員が違反行為を行った場合、行為者だけでなく法人に対しても罰金または過料が科される両罰規定が適用されます。​
規制基準を超える振動を発生させた場合、市町村長から改善勧告や改善命令が出されることがあります。改善命令に従わない場合は、さらに重い罰則が適用される可能性があります。
参考)振動規制法の概要

特定建設作業については、作業開始の7日前までに届出を行わなければならず、これを怠った場合にも罰則が適用されます。ただし、1日で作業が終わる場合は振動規制法の対象から除外されます。
参考)特定建設作業の振動規制について/千葉県

車を運転する方にとって、工場や建設現場周辺の振動環境は走行の快適性に直結する要素です。違反事業者への罰則適用により、適切な振動管理が促進され、道路環境の改善にもつながっています。
参考)https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/19990/souon.pdf

振動規制法と道路交通振動の関係性

振動規制法は工場・事業場からの振動だけでなく、道路交通振動についても規定しています。道路交通振動とは、自動車が道路を通行することに伴い発生する振動のことで、自動車重量、走行条件、路面の平坦性、舗装構造などが影響要因となります。
参考)https://www.env.go.jp/content/000043349.pdf

市町村長は指定地域内で道路交通振動の測定を行い、環境省令で定める要請限度を超えていると認めるときは、道路管理者に対して道路交通振動の防止措置を講じるよう要請することができます。また、公安委員会に対しては道路交通法の規定による措置(速度制限、大型車両通行禁止など)をとるよう要請できます。
参考)https://www.city.toyota.aichi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/027/057/r070701/03.pdf

工場からの振動と道路交通振動は密接に関連しており、工場周辺の道路を走行する車両にとって、両方の振動源が生活環境に影響を与えます。振動の人体への影響は主として心理的・感覚的なものであり、快適なドライブ環境を維持するためには、工場の特定施設管理と道路構造対策の両面からのアプローチが重要です。​
道路交通振動の要請限度は、知覚閾値に加えて感覚的なわずらわしさや睡眠影響を考慮して設定されており、車を運転する側だけでなく、道路沿いに居住する住民の生活環境保全にも配慮した制度設計となっています。特に、舗装構造の改善や交通流対策により、道路交通振動を低減させる取り組みが各地で進められています。
参考)建設施工・建設機械:建設工事に伴う騒音振動対策技術指針 - …

参考リンク:環境省が公開する振動規制法の概要については、以下のページで詳細な情報を確認できます。

 

振動規制法の概要 - 環境省
参考リンク:東京都環境局では振動規制法の特定施設について、詳しい施設一覧と規模要件を掲載しています。

 

振動規制法の特定施設 - 東京都環境局
参考リンク:特定建設作業に関する詳細な手引きは、環境省の以下の資料で確認できます。

 

建設作業振動対策の手引き - 環境省(PDF)