資源有効利用促進法 リチウムイオン電池と車の回収義務

車に搭載されるリチウムイオン電池は適切な回収とリサイクルが法律で定められています。2026年の法改正でさらに強化される回収義務や、車載用電池の処理方法について詳しく知りたくありませんか?

資源有効利用促進法とリチウムイオン電池の回収義務

資源有効利用促進法の3つの重要ポイント
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メーカーの回収義務

リチウムイオン電池製造業者と使用製品メーカーに自主回収と再資源化が義務づけられており、限られた資源の有効活用を促進します

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車載用電池の特別な扱い

自動車に搭載される大型リチウムイオンバッテリーは高電圧で発火リスクがあるため、専用の回収システムを通じて適正処理されます

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2026年の法改正

モバイルバッテリー・スマートフォン・加熱式たばこの3品目が指定再資源化製品に追加され、発火事故防止と資源循環が強化されます

資源有効利用促進法(資源の有効な利用の促進に関する法律)は、小型二次電池の製造業者や使用製品メーカー、輸入販売事業者に対して自主回収と再資源化を義務づける法律です。リチウムイオン電池をはじめとする充電式電池には、コバルトやニッケル、リチウムなどの希少な金属資源が含まれており、これらを回収・再利用することで資源の有効活用を図ることが目的となっています。近年、リチウムイオン電池を使用した製品が増加しており、不適切な廃棄による収集運搬車両や廃棄物処理施設での火災事故が急増していることから、安全な回収システムの構築が急務となっています。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden/index03.html

資源有効利用促進法における小型二次電池の回収対象

資源有効利用促進法では、ニカド電池(ニッケル・カドミウム蓄電池)、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、小型制御弁式鉛蓄電池の4種類が回収対象となる小型二次電池として指定されています。これらの電池には、回収・リサイクルが必要であることを示すスリーアローマークと電池の種類を示す英文字が表示されています。リチウムイオン電池からは、コバルト、鉄、アルミ、銅、ニッケルといった金属資源が回収可能で、軽量かつ3.6~3.7Vの高電圧が出せる特徴があります。一般社団法人JBRCは、小型二次電池メーカーや使用機器メーカーの自主的取組を代行し、産業廃棄物広域認定を取得して全国の協力店や協力自治体でリチウムイオン電池の回収活動を行っています。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/index05.html

車載用リチウムイオン電池の回収と処理の特徴

自動車に搭載されるリチウムイオンバッテリー(LiB)は、小型機器用とは異なり大型で重量物であり、高電圧で発火の危険性があるため、取り扱いには特別な安全性の確保が必要です。ハイブリッド車や電気自動車に使用される車載用リチウムイオンバッテリーは、自動車リサイクル法の枠組みとは別に、2018年10月から一般社団法人自動車再資源化協力機構(JARP)を窓口とした「LiB共同回収システム」によって回収されています。このシステムでは、ディーラーや廃車業者などの排出事業者がJARPに回収依頼を行い、JARPから委託を受けた運搬会社が電池を回収し、処理施設で適正に処理する流れとなっています。車載用リチウムイオンバッテリーは品質が高いため、自動車用として使えなくなった後も家庭用蓄電池などへのリユースが進められており、資源の有効活用が図られています。
参考)バッテリーの廃棄とリサイクルの方法は?EV含むリチウムイオン…

2026年施行の改正資源有効利用促進法による回収義務強化

経済産業省は2025年8月12日に、モバイルバッテリー、携帯電話(スマートフォン)、加熱式たばこの3品目を「指定再資源化製品」に追加し、製造メーカーと輸入事業者に回収とリサイクルを義務づける方針を示しました。これらの製品が内蔵するリチウムイオン電池がゴミ焼却場などで発火する事例が相次いでいたことが背景にあり、2026年4月に改正資源有効利用促進法が施行される予定です。対象となるのは、モバイルバッテリーを年間1,000台以上、携帯電話を1万台以上、加熱式たばこを30万台以上生産または販売する事業者で、取り組みが十分でない場合には勧告や命令を受けることもあります。この改正により、電池が容易に外せない構造の製品について、責任主体に義務として回収させることで、自治体回収ルートでの混入や破砕による火災事故を防止する狙いがあります。
参考)モバイルバッテリーやスマホ、回収・リサイクル義務化 26年度…

リチウムイオン電池の適正な廃棄方法と注意点

リチウムイオン電池を含む小型二次電池を処分する際は、必ず居住する自治体のごみマニュアルなどを確認し、適切に排出することが重要です。一般ごみ(可燃ごみ、プラスチックごみ等)として捨てると、収集後に火災が発生する危険性があるため、絶対に避けなければなりません。リチウムイオン電池は衝撃、変形、過充電などをきっかけに発煙・発火リスクがあり、排出時には金属端子部分をセロハンテープなどで覆って絶縁する必要があります。JBRC会員企業の製品に使用されている小型二次電池は、家電販売店や自転車店、自治体施設など全国の協力店に持ち込むことができますが、破損、水濡れ、膨張等の異常がある電池や外装なしのラミネートタイプの電池は対象外となります。
参考)廃棄方法(回収対象/対象外説明)

車を利用する方が知るべき電池リサイクルの実際の流れ

車に搭載されているリチウムイオンバッテリーを廃棄する場合、解体事業者はまずJARPの「引取依頼システム」にアクセスして事業者登録を行い、リチウムイオンバッテリーの引取りを依頼します。依頼を受けたJARPは、委託した運搬会社に連絡し、運搬会社から解体事業者へ引取日時の確認が電話で行われます。解体事業者は自動車メーカーが提供する取外しマニュアルに従って安全にバッテリーを取り外し、指定された荷姿にして運搬会社に引き渡します。駆動用バッテリーを搭載したまま車両のソフトプレスなどを行うと発火・発煙の恐れがあるため、必ず取り外しが必要です。引き渡されたリチウムイオンバッテリーは、JARPより委託を受けた処理事業者によって適正に処理され、ニッケルやコバルトなどのレアメタルがマテリアルリサイクルされる流れとなっています。
参考)リチウムイオンバッテリー - 自動車再資源化協力機構 - J…

経済産業省「小型二次電池のリサイクル(資源有効利用促進法)」では、制度の詳細と回収対象製品の一覧が掲載されています。

 

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden/index03.html
一般社団法人JBRC「廃棄方法(回収対象/対象外説明)」では、リチウムイオン電池の見分け方と回収協力店の検索方法が紹介されています。

 

廃棄方法(回収対象/対象外説明)
一般社団法人自動車再資源化協力機構「リチウムイオンバッテリー」では、車載用電池の回収システムと引取依頼の手順が詳しく解説されています。

 

リチウムイオンバッテリー - 自動車再資源化協力機構 - J…