立体道路制度重複利用区域の活用事例と申請手続き

立体道路制度における重複利用区域の設定により道路上空建築が可能になる仕組みをご存知ですか?具体的な事例から申請手続きまで、自動車関連施設建設に活用できる制度について詳しく解説します。どのような条件で利用可能なのでしょうか?

立体道路制度重複利用区域の基本概要

立体道路制度重複利用区域とは
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道路と建築物の空間重複利用

従来の平面道路区域を立体的に指定し、上下空間を建築利用可能にする制度

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重複利用区域の設定

地区計画または都市再生特別地区で建築物敷地として併用する区域を明確化

⚖️
建築制限の緩和

建築基準法44条の道路内建築制限を適用除外し建築物設置を実現

立体道路制度の法的枠組み構成

立体道路制度は道路法、都市計画法、建築基準法の3つの法律を一体的に運用する制度として成立している。具体的には、道路法第47条の7から第48条により道路の立体的区域を指定し、都市計画法第12条の11により地区計画における重複利用区域と建築限界を設定し、建築基準法第44条の道路内建築制限を緩和する仕組みとなっている。
参考)立体道路制度 - Wikipedia

 

平成元年の法改正により制度が創設され、その後段階的に適用要件が緩和されてきた。平成30年の都市計画法と建築基準法の改正により、地区整備計画で重複利用区域が設定されたすべての道路で立体道路制度の適用が可能となり、制度活用の範囲が大幅に拡充された。
参考)立体道路相談室

 

立体道路制度重複利用区域の設定要件

重複利用区域は現実に建築物等の敷地として利用される部分についてのみ設定することが原則となっており、利用が予定されていない区域については設定すべきではないとされている。都市計画決定権者は地権者からの意見聴取、道路管理者との協議等の手続きを進め、道路管理者による道路の立体的区域の決定と相前後して都市計画決定することが望ましいとされている。
参考)https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/20180816/20180713b.pdf

 

適用対象となる道路は、従来は都市再生緊急整備地域内の道路や自動車専用道路等に限定されていたが、平成30年改正により地区整備計画で重複利用区域が設定されたすべての道路が対象となった。これにより地方都市の一般道路でも制度活用が可能となり、駅前や中心市街地での市街地更新プロジェクトでの活用が期待されている。
参考)https://jutakusetsumeikai-file.jp/kaisei_2018/text/kaisei_rittaidouro.pdf

 

立体道路制度の成功事例における建築基準法適用

虎ノ門ヒルズの環状第二号線新橋・虎ノ門地区では、環状第二号線本線を地下トンネルとし、その上下部に建築物を配置する立体道路制度が成功事例として注目されている。この事例では道路の立体的区域決定により、建築基準法第44条の道路内建築制限が緩和され、道路と建築物の一体的整備が実現された。
参考)環二地区-立体道路制度

 

大阪のりんくうタウンでは、高速自動車国道関西国際空港線と阪神高速道路4号湾岸線において立体道路制度が適用されており、建築物の柱が道路を直接受ける構造として整備されている。この事例では地域の分断を避け、限られた土地の有効・高度利用を図る目的で道路一体建物として整備された。
参考)https://www.mlit.go.jp/common/001128578.pdf

 

立体道路制度重複利用区域の建築制限緩和手続き

建築基準法第44条の道路内建築制限の緩和を受けるためには、特定行政庁による認定が必要となる。認定申請は建築基準法施行規則第48号様式により行われ、正本及び副本にそれぞれ必要書類を添付して申請する。
参考)地区計画の活用

 

認定の要件として、道路の新設又は改築が行われることや、建築物が道路上空並びに路面下に設置されることなどが定められている。また、安全上、防火上及び衛生上他の建築物の利便を妨げず、周囲の環境を害するおそれがないことが確認される必要がある。
参考)https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/manvaluing/3pdf/4.pdf

 

立体道路制度活用による自動車関連施設整備の独自視点

立体道路制度を活用した自動車関連施設整備では、従来の平面的な街づくりの概念を超えた3次元的アプローチが可能となる。特に都市部における駐車場不足解消の観点から、道路上空を活用した立体駐車場整備や、道路下部空間を活用した地下駐車場整備が注目される。

 

🚗 駐車場一体型道路施設の可能性

  • 道路上空部に立体駐車場を配置し、1階部分を道路として活用
  • 地下部分に自動車整備工場や洗車場を配置する複合施設
  • EV充電ステーションと道路施設の一体整備

このような活用により、限られた都市空間において自動車利用者のニーズに応える施設整備が実現できる可能性がある。また、道路交通機能と駐車機能を立体的に分離することで、交通渋滞の緩和や歩行者安全性の向上も期待できる。

 

立体道路制度について(国土交通省)- 制度の詳細な運用方法と適用事例
立体道路制度Q&A(道路空間高度化機構)- よくある質問と回答集