
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)第13条は、対象建設工事の請負契約における書面の記載事項を定めた条文です。この法律は、建設工事で発生する廃棄物の削減と資源の有効利用を促進することを目的としています。
参考)建設リサイクル法関係 法第13条及び省令第7条に基づく書面(…
対象となる建設工事は、建築物の解体工事で床面積80㎡以上、新築・増築工事で床面積500㎡以上、修繕・模様替え工事で請負代金1億円以上などの規模が定められています。車の廃棄に関連する建設工事でも、建物の解体や改修を伴う場合には、この法律の適用を受ける可能性があります。
参考)様式一覧
令和3年4月1日から省令の改正により、従来「分別解体等省令第4条」と呼ばれていた条文が「分別解体等省令第7条」に変更されたため、正式には「法第13条及び省令第7条に基づく書面」と呼ばれるようになりました。
参考)https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/toshiseibi/pdf_seisaku_recy_pdf_recy_manual_public_r6
建設リサイクル法第13条に基づく書面には、以下の4項目を必ず記載しなければなりません。
参考)建設リサイクル法の関係様式/千葉県
まず、分別解体等の方法では、工事の各工程(仮設工事、土工事、基礎工事、本体構造の工事、本体付属品の工事など)における作業内容と解体方法を記載します。手作業か機械作業か、またはその併用かを明確にする必要があります。
参考)https://www.town.mizumaki.lg.jp/s020/business/010/090/bsn_04_k03.pdf
次に、解体工事に要する費用は、解体工事がある場合にのみ記載します。この費用には、分別解体に要する費用と運搬車への積込に要する費用が含まれますが、解体工事に伴う仮設費や運搬費は含まれません。
参考)千葉市:建設リサイクル法の届出・通知(建築物)
三つ目の再資源化等をする施設の名称及び所在地では、特定建設資材廃棄物(コンクリート、アスファルトコンクリート、木材)の処理施設の名称と所在地を具体的に記載します。複数の施設を利用する場合は、廃棄物の種類ごとに施設を明記します。
参考)https://www.jswa.go.jp/nyusatsu/youshiki/pdf/05_recycle_example.pdf
最後に、再資源化等に要する費用を記載しますが、公共工事の場合、元請業者が産業廃棄物処理業者に委託処理するため、「該当なし」と記載することが一般的です。
参考)https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seisaku/recy/pdf/recy_manual_private_r6.pdf
これらの事項は、建設業法第19条に定める契約書に追加して記載するか、別紙として契約書に綴じ込む形で作成します。
参考)建設リサイクル法について - 福山市ホームページ
解体工事に要する費用の内訳は、工事の透明性を確保するために重要な項目です。費用は大きく分けて「分別解体に要する費用」と「積込みに要する費用」の2つに分類されます。
参考)https://www.mlit.go.jp/page/content/001716090.pdf
分別解体に要する費用では、特定建設資材の種類ごとに品目、数量(トンまたは立方メートル)、単価(円/トン、円/立方メートル)、工事費(円)を記載します。工程ごとの作業内容と解体方法も合わせて記載することで、どのような作業にどれだけの費用がかかるのかが明確になります。
積込みに要する費用も同様に、品目、数量、単価、工事費を記載します。これらの合計額が解体工事に要する総費用となり、契約書面に明記されます。
参考)https://www.city.kasuga.fukuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/953/risaikuru_mitumorisyo.pdf
再資源化等に要する費用は、特定建設資材廃棄物の処分等に要する費用と運搬に要する費用を含みますが、民間工事と公共工事で記載方法が異なる場合があります。委託処理の場合は、産業廃棄物の収集運搬業者や処分業者との委託契約が別途必要になるため、この費用は記載しないこともあります。
参考)https://www.city.moka.lg.jp/material/files/group/4/risaikuru01.pdf
参考資料として、国土交通省が提供する建設リサイクル法の質疑応答集や各自治体の手引きが有用です。
国土交通省 建設リサイクル法 質疑応答集(契約書面に関する詳細な解説)
建設リサイクル法13条書面の作成は、対象建設工事の請負契約の重要な手続きの一つです。まず、元請業者は法第12条に基づき、発注者に対して分別解体等の計画等について書面を交付して事前に説明する義務があります。この説明は契約前に行われる必要があります。
参考)https://www.jrtt.go.jp/procurement/asset/yoshikiOther17021e.pdf
契約段階では、発注者と元請業者が協議を行い、分別解体等の方法等を確認します。特に公共工事の場合、落札者決定後速やかに第12条に基づく説明と第13条に基づく契約書への記載に係る協議を実施する旨が落札者に通知されます。
元請業者は、契約金額決定後から契約締結日までの間に、第13条に基づく書面を作成し、発注者に提出します。書面には、工事名、添付資料、本件責任者と担当者の連絡先などを記載し、両者が署名または記名押印して相互に交付します。
下請業者がいる場合は、元請業者は下請業者に対して届け出た事項を事前に告知し、同様の第13条書面を下請業者との間でも取り交わす必要があります。下請業者がさらに孫請業者に工事を発注する場合も、同じ手続きが必要です。
参考)福岡市 建設リサイクル法の概要(令和6年4月1日から)
工事完了後は、元請業者が発注者に対して再資源化等完了報告書を提出し、特定建設資材廃棄物の再資源化等が完了した年月日、施設の名称及び所在地、再資源化等に要した費用を報告します。
東京都都市整備局 建設リサイクル法書類作成等の手引(民間工事)(記入例と作成方法の詳細)
車に乗っている人が直面する解体工事では、駐車場や車庫の解体、自動車整備工場の改修など、車両関連施設の工事が該当する場合があります。こうした工事でも、規模が対象要件を満たせば建設リサイクル法第13条書面の作成が必要になります。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/committee/a/14/hairi14_05-4.pdf
自動車リサイクル法との混同に注意が必要です。自動車リサイクル法は使用済自動車の適正処理とリサイクルを定めた法律で、シュレッダーダスト(ASR)、エアバッグ類、カーエアコン用フロン類の3品目の引取・リサイクルを自動車メーカーに義務付けています。一方、建設リサイクル法は建設工事に係る資材の再資源化を対象とし、両者は適用範囲が異なります。
参考)https://www.env.go.jp/content/000040287.pdf
車両関連の建設工事では、油水分離装置の設置や危険物貯蔵庫の扱いなど、特殊な施設や設備が含まれる場合があります。これらの施設の解体や改修では、廃油や廃液の回収・保管方法を標準作業書に記載し、環境への配慮を徹底する必要があります。
また、カーポートやガレージなどの建築物以外の工作物の解体では、別表3の様式を使用する必要があります。工事の種類に応じて適切な様式を選択し、記載することが重要です。
発注者が転居する場合は、届出書に転居先の郵便番号、住所、電話番号を記入する必要があります。これは、工事完了後の連絡や報告に必要な情報です。
環境省 自動車リサイクル法 標準作業書ガイドライン(自動車解体業と建設リサイクル法の違いについて)