レズバニ・レトロは、米国カリフォルニア州に本拠を置く新興自動車メーカー「レズバニ」が2024年4月に立ち上げた新しいサブブランドです。このブランドは、過去のアイコニックなデザインにインスパイアされた車両開発に特化しており、現代的なプラットフォームと利便性を、クラシックなデザイン要素と融合させることで、過ぎ去った時代のエッセンスを現代に蘇らせることを目指しています。
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レズバニは、2014年にスーパーカー「ビースト」を発表し、その後2017年には防弾ガラスを備えた装甲SUV「タンク」をラインナップに加えることで、世界に衝撃を与えてきた実績を持つメーカーです。イランからの移民であるフェリス・レズバニ氏が創業したこの会社は、当初アリエル・アトムをベースにしたスポーツカーからスタートしましたが、カーボンファイバー製外装への強いこだわりが評価され、現在では独自の地位を確立しています。
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レズバニ・レトロの記念すべき第一弾モデルが「RR1」です。このRR1は、ポルシェの現行型911(992世代)をベースに、1970年代のル・マン24時間レースを席巻した伝説のレーシングカー「935/78」、通称「モビーディック」からインスピレーションを得たデザインを採用しています。レズバニ・レトロは自動車の製造または販売ではなく、個人所有者が所有する車両を改造するサービスを提供しており、すべての作業は顧客の要望に応じて行われます。
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レズバニ・レトロは、ポルシェとのスポンサーシップや関連、承認は一切ないことを明記しています。これは、シンガー・ヴィークル・デザインとポルシェの間で起きた訴訟のような法的問題を避けるための措置と見られており、あくまで顧客が持ち込んだクルマをカスタムするというスタンスを貫いています。車両はサーキットでの使用を目的としていますが、オプションで公道での使用も可能となっています。
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レズバニ・レトロRR1のデザインの元となったポルシェ935/78「モビーディック」は、1978年にル・マン24時間レースなどを戦った伝説のレーシングカーです。この「モビーディック」という愛称は、長大なテールとウイングがクジラを連想させることから付けられました。
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ポルシェ935は1976年にデビューしたレーシングカーで、グループ5への参戦を目的に開発されました。1978年に登場した935/78は、エンジンの排気量を3.2リッターに拡大し、シリンダーヘッドを空冷SOHC2バルブから水冷DOHC4バルブへとモディファイすることで、最高出力845馬力に達していました。車両重量はわずか1,025kgという軽量性を実現し、ル・マンのユノディエールストレートでは最高速度366km/hを記録しました。
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ポルシェ935は、1977年の登場から1984年の製造終了までの間、ル・マン、デイトナ24時間ほか150ものレースで勝利を収めた伝説のレーシングカーとして、ポルシェのモータースポーツ史に燦然と輝くモデルです。ポルシェは2018年にこの935のオマージュモデルを限定77台で発表しており、レズバニ・レトロRR1もこの流れを汲む形で、クラシックなレーシングカーの魂を現代に蘇らせています。
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レズバニ・レトロRR1のコンバージョン費用は、ドナー車(ベース車両)の価格を除いて195,000ドル(現在の為替レートで約2,900~3,000万円)からとなっています。この価格には、992世代のポルシェ911の購入費用は含まれていません。
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したがって、総額を計算する場合は、ベース車両であるポルシェ911カレラT、911カレラS、または911ターボSの購入費用をこのコンバージョン費用に加える必要があります。ポルシェ911カレラSの価格が約2,000~2,500万円、911ターボSが約3,000~3,500万円程度であることを考慮すると、完成車の総額は5,000~6,000万円程度になると推測されます。
RR1の生産台数はわずか50台に限定されており、非常に希少性の高いモデルとなっています。初期の発表では、最初の5台のみに適用される特別価格として149,000ドル(約2,300万円)が提示されていましたが、6台目以降は価格が上昇すると案内されていました。現在の正式発表では、この価格が195,000ドルに設定されています。
💰 価格の内訳
レズバニ・レトロRR1には、ベース車両に応じて3つのバージョンが用意されています。各バージョンは異なる出力とパフォーマンス特性を持ち、顧客のニーズに合わせた選択が可能です。
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RR1 550は911カレラSをベースとするモデルで、最大出力550馬力を発生します。このエントリーモデルは、自然吸気に近い特性を持ちながらも、十分なパフォーマンスを提供します。
RR1 565は911 GT3をベースとしており、より高回転型のエンジン特性を活かした仕様となっています。サーキット走行を重視するユーザーに向けたモデルです。
RR1 750は最上位モデルで、911ターボSをベースとしています。3.8リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力760馬力を発揮するようにチューニングされています。ただし、公道走行可能な仕様を選択すると出力は715馬力に制限され、サーキット走行専用バージョンのみが750馬力を発揮します。トランスミッションはPDK、駆動方式はAWDとなっており、0-100km/h加速はわずか2秒を記録します。
🏎️ パフォーマンス比較表
| モデル | ベース車両 | 最高出力 | 駆動方式 | 0-96km/h加速 |
|---|---|---|---|---|
| RR1 550 | 911カレラS | 550馬力 | RWD | 約3.5秒 |
| RR1 565 | 911 GT3 | 565馬力 | RWD | 約3.2秒 |
| RR1 750 | 911ターボS | 760馬力(公道715馬力) | AWD | 2秒未満 |
すべてのバージョンにはオプションとして、サスペンション、ブレーキ、ロールケージ、レーシングハーネス、軽量ポリカーボネート製ウィンドウなどが用意されています。さらに、センターロックホイール、クーリング強化パーツ、ブレンボ製強化ブレーキなど、カスタマイズの選択肢も豊富に用意されています。
レズバニ・レトロRR1は、1970年代のレーシングカーの魂を現代に蘇らせるために、カーボンファイバー製のボディパネルで装飾されています。デザインは935/78と、2019年にポルシェが発表した935の両方からインスピレーションを得ており、レトロスタイルと現代的な造形が見事に融合しています。
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フロントデザインは大きく変更されており、ポルシェ911でお馴染みの丸いライトから鋭い四角形のライトに換装されています。愛嬌あるカエル顔から鋭い表情へと変貌を遂げ、よりアグレッシブな印象を与えています。フェンダー上にはエア抜きのルーバーが設けられ、レーシングカーの機能性を強調しています。
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リア部分には大きく張り出したフェンダーとLEDライトバーが特徴的で、マーク・フィリップ・ゲンバラが発売した「マーシャン」にも似たイメージを持っています。長く後方に伸ばされたリアエンドの造形と、流れるように美しいフォルムは、まさにモビーディックのDNAを受け継いでいます。
外板の多くがCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)製とされており、軽量化と高い剛性を両立しています。カーボンファイバーを剥き出しにしたピュアなスタイルも選択可能で、レーシングカーの持つ機能美を追求しています。内外装のカラーやグラフィック、内装の素材についても豊富な選択肢が用意されており、オーナーの個性を反映できる高いカスタマイズ性を誇ります。
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レズバニ・レトロは、単なるレストモッドやカスタムカーとは一線を画す、独自の価値提案を行っています。それは、過去のアイコンからインスピレーションを得たノスタルジックなデザイン要素と、現代のプラットフォームと利便性を融合させることで、過ぎ去った時代の本質を捉えるというコンセプトです。
レズバニの創業者であるフェリス・レズバニ氏は、「極力電子制御をなくし、ステアリングホイールから指先に伝わるわずかなフィードバックからも車の挙動を感じ取ることができるような車」を目指すと語っています。電子デバイスによるドライバーズエイドが氾濫する現代において、このようなシンプルでピュアなドライビング体験を提供する車は、真のエンスージアストに受け入れられています。
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レズバニ・レトロRR1は、現代的なドライバビリティを確保しながらも、1970年代のル・マンを席巻した伝説のレースカーを彷彿とさせる体験を提供します。サーキット走行を主目的としながらも、オプションで公道走行も可能とすることで、幅広い使用シーンに対応しています。わずか50台という限定生産により、オーナーは世界でも極めて希少な存在となり、真の特別仕様車を求める富裕層にとって魅力的な選択肢となっています。
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🌟 レズバニ・レトロの3つの独自価値
レズバニ・レトロは、ノスタルジアと革新性を両立させた、まさに現代のレトロフューチャーを体現するブランドとして、今後さらなる展開が期待されています。RR1の成功を受けて、今後他のアイコニックな車両をベースとしたモデルが登場する可能性も高く、自動車愛好家の注目を集め続けることでしょう。
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