プロボックスの速さの根幹を成すのは、その独特なエンジン特性にあります。1.5Lガソリンエンジンは最高出力80kW(109PS)を発揮し、同クラスの車両と比較しても遜色ない性能を持っています。
特筆すべきは、このエンジンがトルク重視のセッティングになっていることです。低回転域から力強いトルクを発生するため、信号待ちからの発進や高速道路での合流時に、想像以上の俊敏な加速を見せます。
さらに、プロボックスは無鉛レギュラーガソリンで走行可能なため、維持費を抑えながら高いパフォーマンスを発揮できる点も魅力です。街中での実用性を重視した設計が、結果的に「速い」という評価につながっているのです。
実際の加速性能は0-100km/hが約11秒、最高速度は140km/h台後半に達するとされており、商用車としては驚異的な数値を記録しています。
プロボックスの速さを語る上で欠かせないのが、その軽量ボディ構造です。車両重量はガソリン車で1090kg、ハイブリッド車でも1160kgという軽量設計が、優れた加速性能を実現しています。
この軽量化は商用車としての必然的な設計思想から生まれています。最大積載量400kgの荷物を積むことを想定しているため、車体自体を軽くしなければ総重量が過大になってしまうからです。
軽量化の手法として採用されているのは。
これらの軽量化手法は、実は一部のスポーツカーでも採用されている手法と共通しており、プロボックスとスポーツカーの意外な共通点を見つけることができます。
車両が軽量であることは、加速・減速・コーナリングなど多くの要素でメリットがあり、プロボックスが「速い」と言われる大きな理由となっています。
プロボックスの速さを支える重要な要素が、その強化された足回りです。最大積載量に合わせて固めのサスペンションが採用されており、前後スタビライザーによる安定性強化も施されています。
足回りの構成は、フロントが独立懸架のストラットサスペンション、リアが車軸式サスペンションという組み合わせです。この構成は、かの有名なAE86(ハチロク)でも採用された足回りと同じ構造になっています。
荷物を積まない状態では一般道で少し固く感じられますが、高速道路ではちょうど良い固さとなり、優れた安定性を発揮します。この安定性の高さが、追い越し車線を疾走するプロボックスが多い理由の一つとも言えるでしょう。
また、装着されているバンタイヤも速さに貢献しています。サイドウォールの剛性が高く、コーナリング中のたわみが少ないため、スポーツタイヤに近い感触を提供します。
プロボックスが「公道最速」「白い悪魔」と呼ばれる背景には、営業マンの独特な使用環境があります。社用車として使用されるプロボックスは、以下のような特殊な条件下で運転されることが多いのです。
時間に追われる営業活動
経済的な制約の少なさ
早く帰宅したい心理
これらの要因が重なり、一部のプロボックス乗りが「公道最速の伝説」を作り上げたのです。車両性能だけでなく、乗る人の心理状態や環境が「速さ」に大きく影響していることがわかります。
プロボックスの潜在能力は、モータースポーツの世界でも注目されています。筑波サーキットでは、NAエンジンのままで1分7秒912という驚異的なタイムを記録したプロボックスも存在します。
このチューニング車両の仕様は。
ベース車両の優れた基本性能があってこそ実現できるチューニングポテンシャルです。商用車でありながら、本格的なスポーツカーに匹敵する改造の余地を秘めているのがプロボックスの魅力でもあります。
また、全日本プロボックス/サクシード選手権(JPSC)という専門のレースカテゴリーも存在し、多くの愛好家がサーキットでプロボックスの性能を追求しています。
プロボックスの速さは単なる都市伝説ではなく、確かな技術的根拠と改造ポテンシャルに裏打ちされた現実なのです。商用車という枠を超えた魅力を持つプロボックスは、今後もモータースポーツシーンで注目され続けることでしょう。
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https://toyota.jp/probox/