三菱トライトンのカスタムシーンは、ここ数年で大きく進化しています。単なる見た目の変更にとどまらず、生活スタイルや使用目的を表現する手段へと発展しているのが特徴です。2024年に開催された三菱自動車の「トライトンカスタムコンテスト」では、全国から12社・16車両がエントリーし、オーバーランドキャンパーや都会派スタイリッシュなど多彩なカスタムジャンルが競いました。
最優秀賞を獲得したのは、フレックスドリームの「FTポーターエンデューロ」という名称のオーバーランドキャンパー仕様で、災害時の相棒としても機能する高い実用性が評価されました。このようなトレンドからも分かるように、現代のトライトンカスタムは、機能性と美しさの両立を求める志向が強まっています。特に、人気のカスタム方向性として「オーバーランド系」と「都会派スタイリッシュ系」の2つが主流になっているのです。
トライトンのカスタムにおいて、最も視覚的インパクトが大きいのがエアロパーツの変更です。フロントバンパーはエアロカスタムの筆頭とされており、純正バンパーを丸ごと交換することで、車両全体のイメージが激変します。見た目を大きく変えたいなら、フロントバンパーの交換は必ず検討する価値があります。
市場には複数の選択肢があり、例えば「POISON SPYDER」のブルーザーフロントバンパーなどが人気です。このバンパーは厚みがあり、本格的なオフロード走行を想定した設計になっています。ただし、取り付け時に純正バンパーのセンサーを移植する必要があり、穴あけなどの加工が必要な場合があります。このような工作には、カスタム経験のあるショップに依頼することをお勧めします。
一方で、純正バンパーはそのままにしつつ、フロントリップやハーフスポイラーを付け足すという手もあります。この方法なら予算を抑えながらもカスタム感を確実にアップできます。例えば「WILD」製のフロントスポイラーは、そうしたニーズに応えるパーツとして知られています。
カスタムの王道であるホイール交換は、トライトンのイメージ変更に最も効果的なカスタムの1つです。17インチから18インチへのインチアップ、またはカラー変更によって、トライトンの足元の印象は大きく変わります。また、純正ホイール流用という選択肢も存在し、コストパフォーマンスが優れています。
人気のホイールブランドとしては、「RAYS」や「WORK」といった鍛造ホイールメーカーが挙げられます。例えば、WORK製の「CRAG T-GRABIC II SHADOW EDITION」や、RAYS製の「A-LAP-05X」は、マットガンブロンズなどのカラーバリエーションで高い評価を得ています。これらのホイールは8.0J-17インチなどのサイズが一般的で、PCD139.7という規格が標準です。
意外かもしれませんが、ホイール選びの際には「ツライチ」(タイヤ外側がボディ側面と同じ面になる状態)を目指すユーザーが多いのです。トライトンパッケージのオーバーフェンダー装着車では、17インチホイールで約52mm外側に出す設定にするなど、細部にこだわったカスタムが人気を集めています。
トライトンのカスタムにおいて、サスペンションの改造は大きな分岐点です。リフトアップとローダウンという対照的な2つのアプローチがあり、それぞれが異なるライフスタイルを表現しています。
リフトアップは、オーバーランダー仕様やキャンプ仕様を目指すユーザーに人気です。例えば、KUHL JAPANが開発した「リフトアップ用エアロ」や、「コルトスピード」が提案する高さ調整型のサスペンションシステムなどが存在します。さらに、エアサスペンションの導入により、走行中の高さ調整が可能になり、オフロード走行から高速道路走行まで幅広い状況に対応できます。
一方、ローダウンを選ぶユーザーもおり、都会派のスタイリッシュな雰囲気を求めています。ローダウン系カスタムでは、エアロパーツと組み合わせることで、まるで別の車種に見えるほどの変貌を遂げます。SPDCreationが開発した「可変式片側2本出しサイドマフラー」などは、ローダウン仕様での使用を想定した製品として注目されています。
カスタムの初心者向けオプションとして、三菱純正の「トライトンパッケージ」は非常に優れた選択肢です。このパッケージは3つのドレスアップアイテムがセットになっており、合計で27,500円お得に購入できるというメリットがあります。
具体的には、フェンダー部分に装着する「ホイールアーチモール」、サイドドア用の「サイドドアガーニッシュ」、そして「TRITON」ロゴ入りの「フューエルリッドガーニッシュ」が含まれます。これらのアイテムは個別購入も可能ですが、セット購入することで統一感が出やすく、初めてカスタムする方や手軽にドレスアップしたい方に最適です。
また、タイ三菱の純正グリルエンブレムなど、国内では販売されていないパーツでもディーラーのコネクションを通じて入手可能な場合があります。これらのパーツは高級感があり、品質も予想以上に高いものが多いのが特徴です。
三菱トライトンのカスタムオプション情報と選び方のポイント(東海三菱自動車ウェブサイト)
近年のトライトンカスタムは、単なる見た目の改変から、生活スタイルそのものを提案する方向へシフトしています。特に注目されているのが、キャンピング仕様やアウトドア仕様など、実用性を兼ね備えたカスタムです。
災害対策仕様も新しいトレンドとして浮上しており、自給自足型の移動基地としてトライトンを位置付けるユーザーが増えています。例えば、「FTポーターエンデューロ」では、走行性能を損なうことなく4WDとしての機能を保ちつつ、キャンパー機能を装備しており、過酷な道の先の目的地はもちろん、災害時にも頼りになる設計になっています。
予算別のカスタム戦略としては、30万円以下の予算でも効果的な改造は十分に実現可能です。この予算帯では、足回りやホイール交換、エアロ関連パーツなどで段階的に進めることが一般的です。一方、100万円超の本格的なカスタムでは、エアサスペンション、フルエアロセット、大径タイヤなどを組み合わせた豪華な仕様が実現します。
三菱トライトンカスタムコンテスト2024の最優秀作品とカスタムトレンド(三菱自動車公式)
三菱トライトンのカスタムは、あなたの好みや用途に応じて無限の可能性を秘めています。フロントバンパーやホイール交換といった基本的なドレスアップから、リフトアップシステムやキャンパー仕様といった大型プロジェクトまで、段階的にこだわりを深めていくことができます。公式コンテストで紹介された最新事例から、DIY向けのシンプルなパーツまで、幅広い選択肢の中から自分にぴったり合ったカスタムを見つけることが、トライトンカスタムライフの最初の一歩になるのです。