走行距離が10kmでも、未使用車として買った車が「すでに劣化している」ことがあります。
「未使用車」という言葉を見ると、文字どおり「一度も使っていない車」と思うのが普通です。ところが実態は少し違います。
未使用車の正式名称は「登録済(届出済)未使用車」といい、販売店やディーラーが先に陸運局へ登録を済ませたものの、一般ユーザーへの使用実績がない車両のことを指します。普通車なら「登録済未使用車」、軽自動車なら「届出済未使用車」と区別されます。
一度でもナンバー登録をすると、法律上は「中古車」として扱われます。これが重要な点です。見た目や状態は新車同然なのに、書類上は中古車という扱いになる。この仕組みを知っておくと、価格の仕組みや購入時の注意点がぐっとわかりやすくなります。
なぜこのような車が存在するのかというと、ディーラーや販売店がメーカーから課せられた販売ノルマを達成するため、決算期に自社名義で車両を登録し、後から中古車として販売するケースが多いからです。また、展示用や納車前キャンセルになった車両も同じ流れで流通します。
つまり未使用車とは「新車ではないが、ほぼ新車と同じコンディション」の車です。
「未使用車は走行距離が少ない」は半分しか正しくありません。
同じ「未使用車」というカテゴリでも、用途によって走行距離は大きく変わります。車好きなら購入前にここを確認しないと、思わぬ出費につながります。まずは3つのパターンを整理しましょう。
| 用途 | 走行距離の目安 | コンディション |
|---|---|---|
| 展示車(敷地内移動のみ) | 10〜50km未満 | ほぼ新車同等 |
| 試乗車 | 1,000〜3,000km | 多人数が乗降、内装に使用感あり |
| 代車として使用 | 5,000〜10,000km | 消耗部品に摩耗の可能性 |
代車として使われていた未使用車は、距離にして東京〜大阪を往復してもまだ余る約5,000〜1万kmを走行していることもあります。走行距離ゼロに近い展示車と比べると、ブレーキパッドやタイヤの消耗度は別物です。
さらに大切なポイントがあります。自動車公正取引協議会の「自動車公正競争規約」では、走行距離が100kmを超える車両や、走行距離に関係なく試乗車・代車として使われた車両には「登録(届出)済未使用車」という表示をしてはいけないと定めています。
走行距離100km以下が条件です。
しかし、同規約に加盟していない販売店ではこのルールが適用されない点に注意が必要です。「未使用車」と表示されていても、購入前に必ず走行距離と用途履歴を確認することが原則です。
一般社団法人自動車公正取引協議会による「登録(届出)済未使用車」広告表示の留意点(PDF)
走行距離が10km以下でも、「製造から1年以上経過した未使用車」は劣化が始まっています。これは多くの人が見落とすポイントです。
車は走らなくても劣化します。ゴム部品、タイヤ、バッテリーは、走行回数に関係なく時間の経過で性能が低下していくからです。屋外での長期保管であれば、紫外線や雨風によって塗装面やワイパーのゴムにもダメージが積み重なります。特に気を付けたいのが次の3点です。
「走行距離が少ない=新品同然」ではないということですね。
購入前には走行距離だけでなく、初度登録年月日から何ヶ月経過しているかを車検証で確認しましょう。登録から6ヶ月以内の車両なら安心感が高く、1年以上経過している場合はバッテリーやタイヤの状態を実際に確認することが重要です。
販売店に依頼して、バッテリーテスターによる電圧チェックやタイヤの製造年確認を購入前にやってもらうことを一つの行動として覚えておくと良いでしょう。
「車両価格が新車より安い」は事実ですが、総額では新車と大差ないケースもあります。ここが多くの人が気づかない落とし穴です。
未使用車が新車より安くなる理由は、一度登録されることで中古車扱いとなり、新車価格に上乗せされる「登録費用」分が相殺されるためです。一般的に軽自動車で新車比10〜20万円、普通車で15〜30万円程度安くなるケースが多いとされています。たとえば新車価格150万円の軽自動車であれば、120〜135万円程度で購入できる例も見られます。
ただし、次のコストが追加で発生するため注意が必要です。
逆にメリットが大きいのがコスト面です。
これは使えそうです。
総額で比較するには、「車両価格+諸費用+初回車検までのコスト+補助金の有無」を一つの式として考えることが条件です。決して車両本体価格だけで判断しないようにしましょう。
お得に未使用車を手に入れるためには、現物確認の段階で見ておくべきポイントがあります。走行距離はその一部に過ぎません。
購入タイミングについても触れておきます。未使用車の在庫が増えるのは、3月(年度末)・9月(半期末)の決算期直後、つまり4月と10月です。この時期はディーラーが販売ノルマ達成のために自社名義登録した車両が一気に市場に出回るため、選択肢が広がります。
ボーナス時期の7月・12月も販売店が価格を調整しやすい時期として知られています。決算後の4月を狙って購入スケジュールを立てるのが現実的です。
未使用車専門のサイトや、カーセンサー・グーネットなどの中古車検索サイトでも「未使用車のみ」で絞り込み検索が可能です。複数の在庫を比較しながら走行距離・登録年月日・価格をセットで見ることで、より納得のいく一台に出会いやすくなります。
自動車公正取引協議会・中古車表示の必要表示事項(走行距離・登録年月日の確認基準)