運転歴20年のベテランでも、免許再取得後は初心者マークを1年間つけ続けないと違反になります。
免許を再取得したとき、「前に何年も運転していたから初心者マークは不要だろう」と考える方は少なくありません。しかし道路交通法では、免許取得後の通算運転期間が1年未満であれば、経験の有無に関わらず初心者マーク(正式名称:初心運転者標識)の表示が義務付けられています。これは失効でも取り消しでも同じ扱いです。
初心者マークが義務になる主なケースは次のとおりです。
- 免許取り消し後の再取得:累積違反点数や飲酒運転などによる取り消し処分後に再取得した場合。欠格期間(最短1年〜最長10年)が終わった後に再取得するため、当然ながら6ヶ月の猶予には間に合わず、初心者マーク義務が発生します。
- 失効後6ヶ月超での再取得:うっかり更新を忘れて免許が失効し、失効から6ヶ月を超えてから再取得した場合も義務の対象です。
義務が発生するというのが原則です。
一方、初心者マーク義務が免除される唯一の条件は「失効前に1年以上の免許保有歴があり、かつ失効から6ヶ月以内に再取得した場合」に限られます(道路交通法施行令第二十六条の四に基づく)。この条件は「うっかり失効」した方向けの救済措置であり、免許取り消しを受けた方はそもそも欠格期間中は再取得できないため、実質的にこのルートは活用できません。
つまり、取り消しを受けた経験豊富なドライバーは、例外なく再取得後の1年間は初心者マークをつけて走ることになります。これは感情的に「恥ずかしい」と思われがちですが、道路交通法で明確に定められたルールです。まずこの基本を押さえておきましょう。
三井ダイレクト損保「初心者マークの表示義務は1年間!貼り付け位置や罰則」:初心者マークの法的根拠・義務期間・罰則を詳しく解説しています
「再取得後1年が経てば初心者マークを外せる」と思っている方は多いですが、実はこの1年というのはカレンダー上の1年ではありません。道路交通法では「通算1年未満の間」という表現が使われており、運転できなかった期間はカウントに含まれないとされています。
具体的に注意が必要なのが免停期間です。再取得後に違反をして免停処分(たとえば30日間)を受けた場合、その30日分だけ初心者マーク義務期間が延長されます。たとえば1月1日に再取得し、8月1日から30日間の免停を受けた場合、初心者マーク義務の終了日は翌年の1月31日になるのです。
免停期間が延長になるということですね。
こうしたルールを知らずに「1年経ったから」という判断だけで初心者マークを外してしまうと、義務違反になります。反則金は普通自動車で4,000円、加えて違反点数1点が付きます。1点でも軽視できません。初心運転者期間(再取得から通算1年)中にさらに違反点数が重なると、初心運転者講習の受講義務が生じたり、最終的には再試験(合格率10%未満)に進む可能性もあるからです。
自分の義務期間がいつ終わるかを正確に把握するには、最寄りの警察署や運転免許センターに問い合わせるのが確実です。また、JAF(日本自動車連盟)のウェブサイトでも初心運転者期間に関するQ&Aが公開されているので、確認しておくと安心です。
JAF「初心運転者期間制度についてのQ&A」:初心運転者期間中の点数や講習・再試験の仕組みをわかりやすく解説
初心者マークは「とにかく車に貼ればいい」というわけではなく、道路交通法施行規則第9条の6によって表示位置が厳密に定められています。位置が違反に問われることも実際にあるため、正しい知識を持っておくことが大切です。
表示位置のルールは次のとおりです。
- 車体の前後2ヶ所に表示:前方(ボンネット周辺)と後方(トランク・リアバンパー周辺)の両方に必要。片側だけでは義務を果たしたことになりません。
- 地上0.4m以上1.2m以下の高さ:前後から見やすい位置に設置する必要があります。
- フロントガラスへの表示は禁止:運転者の視界を妨げる恐れがあるため、保安基準上も不可とされています。
貼り位置に注意が必要です。
セダン系の車でボンネット上やトランクの天面など「上面」に貼ると、正面や後方からほぼ見えなくなってしまいます。「貼ってはいるが見えない位置」は義務を満たさないとみなされる可能性があるため、ボディのフロントグリル付近やバンパー上部など、前後から視認しやすい面に設置しましょう。
初心者マークのタイプはマグネット型・吸盤型・ステッカー型の3種類があります。車体がアルミや樹脂製でマグネットが使えない場合はステッカー型が選択肢になります。なお、同じ場所に長期間マグネット型を貼り続けると日焼け跡が残る場合があるため、定期的に位置を変えることをおすすめします。カー用品店やホームセンター、100均でも手軽に入手できます。
警視庁「自動車の運転者が表示する標識(マーク)について」:表示義務のある標識一覧と法的根拠を公式に確認できます
免許再取得後の1年間は「初心運転者期間」とも呼ばれ、この期間中の違反は通常よりも厳しい処分が待っています。これは1985年(昭和60年)に設けられた制度で、取得直後の1年間は事故が特に多いというデータが背景にあります。
初心運転者期間中に以下のいずれかに該当すると、初心運転者講習の受講が義務付けられます。
- 1〜2点の違反を繰り返し、合計点数が3点以上になった場合
- 1回の違反で3点がつき、その後さらに1点以上の違反をした場合
- 1回の違反で4点以上となった場合
厳しいところですね。
講習の通知が届いたら、原則として1ヶ月以内に受講しなければなりません。講習費用は普通免許の場合で15,250円(2019年当時・警視庁)程度かかります。受講期限内に手続きしないと講習の権利を失い、免許取得から1年後に再試験(学科+技能)を受けさせられることになります。再試験の合格率は10%未満とされており、不合格になれば免許が取り消されます。
一度講習を受けた後に再び違反して基準点数に達した場合は、2回目の講習受講は認められず、直接再試験となる点も覚えておく必要があります。初心運転者期間中は「1点の違反も重い」という意識で運転することが最大のリスク回避になります。
警視庁「初心運転者講習」:初心運転者講習の内容・対象者・再試験の仕組みを公式ページで確認できます
免許再取得後の1年間を初心者マークなしで乗り切る唯一の合法的な手段として、初心運転者期間中に「上位の免許を取得する」という方法があります。これは道路交通法施行令第二十六条の四に明記された規定であり、上位免許を取得した時点で初心者マークの表示義務が消滅します。これは使えそうです。
対象となる上位免許の例は以下のとおりです。
| 現在の免許 | 取得で義務免除になる上位免許 |
|---|---|
| 普通免許 | 大型免許・中型免許・普通第二種免許など |
| 普通二輪免許 | 大型二輪免許 |
| 原付免許 | 普通免許・小型特殊以外の免許全般 |
ただし、普通免許の初心運転者期間中に大型免許などを取得するには「20歳以上、かつ普通免許等の保有期間が通算2年以上(令和4年5月以降は特例教習修了で19歳以上・1年以上に緩和)」という条件があります。再取得の場合、取り消し前の保有期間も「通算」に含めることができるため、過去の運転歴が長い方ほどこのルートが現実的になります。
たとえば、普通免許を15年保有して取り消し処分を受け、欠格期間1年後に再取得した場合、「通算保有期間」は15年超となります。再取得後に受験資格特例教習を修了してから中型・大型免許を取得すれば、初心者マークの義務を解除することが可能です。ただし教習所費用や取得の手間が発生するため、費用対効果を十分に検討した上で進めることをおすすめします。
clicccar「普通自動車免許の失効・取消から再取得。もう一度初心者マークをつけたくない!」:上位免許取得による義務免除の具体的な解説と注意点が読めます