欠格期間中でも教習所に入校できる学校が全国に存在する。
免許取消処分を受けた方が最初に理解しなければならないのが「欠格期間」という制度です。欠格期間とは、免許の取消処分を受けたあとに設定される「運転免許を再取得できない期間」のことで、この期間中は何をしても免許証を手にすることができません。
欠格期間の長さは一律ではなく、過去3年間の行政処分前歴と累積違反点数によって決まります。前歴がなく15〜24点の累積なら1年、25〜34点なら2年というように段階的に長くなり、最長で10年に及ぶケースもあります。前歴が3回以上ある場合は4〜9点という比較的低い点数でも1年の欠格期間が発生するため、軽く見ていると痛い目を見ます。
さらに注意が必要なのが、酒酔い運転やひき逃げのような「特定違反行為」に分類される重大な違反です。これらは点数に関わらず欠格期間が大幅に長くなり、最長10年という水準に達することがあります。
以下の表が欠格期間の目安です。
| 過去3年の行政処分前歴 | 1年 | 2年 | 3年 | 5年 | 最長10年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 前歴0回 | 15〜24点 | 25〜34点 | 35〜39点 | 45点以上〜 | 特定違反行為 |
| 前歴1回 | 10〜19点 | 20〜29点 | 30〜34点 | 40点以上〜 | 特定違反行為 |
| 前歴2回 | 5〜14点 | 15〜24点 | 25〜29点 | 35点以上〜 | 特定違反行為 |
| 前歴3回以上 | 4〜9点 | 10〜19点 | 20〜24点 | 30点以上〜 | 特定違反行為 |
欠格期間中に再び取消処分などを受けた場合、またはその後5年以内に再び取消処分を受けた場合は、欠格期間がさらに2年間延長されます。つまり欠格期間が終わったからといって気を緩めると、そこから5年間は再犯リスクに対して厳しい目が向けられているということです。
自身の欠格期間を確認するには、処分時に受け取った「運転免許取消処分書」を見るのが基本です。もし紛失している場合は、管轄の運転免許センターまたは警察署の行政処分課に問い合わせることで確認できます。
参考:欠格期間の確認方法や再取得ステップが図解されています。
合宿免許マイスター|運転免許取消処分を受けた方の再取得について
「欠格期間中は何も動けない」と思い込んでいる人は多いですが、実はそうではありません。教習所によっては、欠格期間が満了する前から入校を受け付けているところが全国各地に存在します。
たとえば岩手県の三陸自動車学校や千葉県の鷹ノ台ドライビングスクール、香川県の銀星自動車学園などは、欠格期間満了の11ヶ月前から入校が可能です。ほかにも満了の6ヶ月前、3ヶ月前、2ヶ月前から受け入れている教習所が全国に散らばっており、欠格期間の残り期間に合わせた学校選びが可能です。
ただし、入校の可否と条件は教習所ごとにまったく異なります。大まかに分けると以下の4パターンに分類されます。
重要なのは「入校できること」と「免許が取得できること」は別の話だという点です。欠格期間が満了していなければ、教習所を卒業しても運転免許センターの試験に合格しても、免許証は交付されません。入校できる教習所を選ぶ際には、必ず卒業のタイミングと欠格期間満了日の関係を確認してください。
さらに盲点になりやすいのが仮免許の扱いです。欠格期間中でも教習所内での仮免許試験を受けることは法律で禁止されていません。仮免許証を取得することも可能です。ただし、欠格期間中は本免許の試験を受けることができないため、仮免を取得していても公道での練習用として活用できても、免許証そのものは手に入りません。
参考:欠格期間中・満了前から入校可能な全国の教習所一覧が掲載されています。
免許取消処分を受けた方が免許を再取得するには、欠格期間満了のほかに「取消処分者講習」の受講も義務付けられています。この講習を修了した証明書がなければ、運転免許センターの本免学科試験を受けることができません。
取消処分者講習の受講自体は、欠格期間中でも欠格期間満了後でもどちらでも構いません。ただし、修了証書の有効期限は受講日から1年間だけです。欠格期間が2年残っている状態で受講してしまうと、欠格期間が終わった時点で証明書がすでに期限切れになっているという事態が発生します。一般的には、欠格期間終了の約1ヶ月前に受講するタイミングが最も無駄がないとされています。
修了証書の有効期限は1年が原則です。
取消処分者講習は大きく「一般講習」と「飲酒講習」の2種類に分かれています。飲酒運転での取消処分を受けた方は飲酒講習が対象となり、初回受講と2回目の受講の間に約30日の間隔が必要なため、修了まで約1ヶ月かかります。これを知らずに計画を立てると、免許取得のスケジュールが大きくずれる可能性があります。
さらに注意が必要なのは、都道府県によっては仮免許を取得してからでないと取消処分者講習を受講できないケースがある点です。この場合は、先に教習所で仮免許を取得し、その後に講習を受けるという流れになります。自分が住む都道府県のルールを事前に運転免許センターや警察署で確認することが不可欠です。
受講タイミングを間違えると、修了証書の有効期限切れや日程の大幅な延長につながります。正確な情報を関係機関に確認してから動くことが大切です。
参考:取消処分者講習の内容・流れ・費用が詳しく解説されています。
免許を再取得するうえで、多くの人が見落としがちな落とし穴がもう一つあります。それが「卒業証明書の有効期限」です。教習所の卒業検定に合格して発行される卒業証明書には、発行日から1年間という有効期限が設けられています。この1年以内に運転免許センターで本免学科試験に合格しなければ、卒業証明書は無効となり、教習所をゼロからやり直すことになります。
つまり問題が生じるのは、欠格期間が1年以上残っている状態で卒業検定に合格してしまったケースです。たとえば欠格期間の満了まで残り1年3ヶ月あるのに卒業してしまうと、欠格期間が終わる頃には卒業証明書の有効期限が切れています。再度教習所に通い直す時間と費用——通学なら20〜35万円、合宿なら20〜30万円程度——が丸ごとムダになる計算です。痛いですね。
この問題を回避するためには、卒業検定の合格日から逆算して欠格期間の満了日を確認することが絶対条件です。欠格期間の残りが1年を超えている場合は、入校のタイミングをずらす工夫が必要です。
合宿免許では最短でAT車なら約14日、MT車なら約16日で卒業できます。そのため欠格期間満了の1〜2ヶ月前に入校するのが、卒業証明書の有効期限とのタイミングとして最も合理的です。通学の場合は通常1〜3ヶ月かかるため、それも踏まえてスケジュールを立てることが重要です。
卒業証明書の有効期限と欠格期間満了日の確認、この2点が条件です。
この2点のずれを防ぐため、行政処分歴のある方が申込みをする際は、多くの教習所から欠格期間の満了日を必ず事前に申告するよう求められます。それだけ重要な確認事項ということです。もし欠格期間の満了日が不明な場合は、管轄の運転免許センターに問い合わせることで確認できます。
参考:卒業証明書の有効期限と免許試験の受験タイミングが解説されています。
アイ免許|卒業証明書の有効期限は1年間!教習所卒業から運転免許取得までの手続き解説
欠格期間に関する知識と入校条件を理解したうえで、実際に免許を再取得する流れを整理しておきましょう。大まかなステップは以下の通りです。
再取得にかかる費用は選択する方法によって変わります。教習所に通学した場合は20〜35万円程度が相場で、合宿免許はやや安価になる傾向があります。取消処分者講習の受講料は別途約3万円(30,550円が目安)かかります。一発試験を選ぶ方法もありますが、合格率が低く結果的に費用がかさむリスクがあります。
合宿免許なら最短14日(AT)が基本です。
法改正による免許区分の変更も見落とせないポイントです。2007年に中型免許、2017年に準中型免許が新設された影響で、現在の普通免許で運転できる車両は車両総重量3.5t未満・最大積載量2t未満・乗車定員10人以下に限られています。以前は普通免許で2tや4tトラックも運転できていましたが、再取得後はそれができなくなっています。仕事でトラックを運転する方は、準中型や中型免許の取得も検討する必要があります。
参考:取消処分後の再取得の全体の流れと費用感が整理されています。