マイバッハSクラスの中古車は、買ってすぐ売ると1,000万円以上の損失になることがあります。
メルセデス・マイバッハSクラスには、現行モデルとして大きく2つのグレードが用意されています。エントリーモデルにあたる「S580 4MATIC」の新車価格は3,285万円(2025年モデル)で、最上位モデルの「S680 4MATIC」は3,450万円前後からスタートします。つまり、2つのグレード間の価格差はおよそ150〜200万円程度です。
しかし価格の差以上に、搭載エンジンが根本的に異なります。S580には4.0L・V型8気筒ツインターボエンジン(最高出力503PS)+48Vハイブリッドシステム(ISG)が採用されているのに対し、S680にはメルセデス・ベンツ最後の6.0L・V型12気筒ツインターボエンジン(最高出力612PS、最大トルク900N・m)が搭載されています。V12エンジンは現代の自動車市場では絶滅危惧種とも言える貴重な存在です。
つまり価格差は意外なほど小さいということですね。
S680の最大トルク900N・mというのは、たとえるなら体重60kgの人を1.5mの棒の先に吊るした力と同等で、静止状態から加速する際の「圧倒的な力」を文字通り体感できる数値です。後席のオーナーが移動中に感じるのは、エンジン音よりも静粛性であることを考えると、このスペックがいかに「余裕」として機能しているかがわかります。
| グレード | エンジン | 最高出力 | 新車価格(目安) |
|---|---|---|---|
| S580 4MATIC | 4.0L V8ツインターボ+ISG | 503PS | 3,285万円〜 |
| S680 4MATIC | 6.0L V12ツインターボ | 612PS | 3,450万円〜 |
| S680 Edition Northern Lights(限定5台) | 6.0L V12ツインターボ | 612PS | 5,700万円 |
S680を検討する際は、V12エンジンの生産終了が近づいているという点も念頭に置くとよいでしょう。将来的な希少性を考えると、S680は資産価値の観点からも注目に値します。
参考:マイバッハSクラス各グレードのスペック詳細はこちら
マイバッハ Sクラス 2021年モデル グレード別価格一覧 | 価格.com
「価格が高いのは当然」と思いがちですが、実際にどこに費用がかかっているのかを知ると、その価値感が変わります。マイバッハSクラスのボディは、通常のメルセデス・ベンツSクラス(W223)と同じ外観に見えて、ホイールベースが290mm長く設計されています。東京タワーの展望台エレベーターの奥行き(約2.6m)と同じ延長量です。この延長分がすべて後席レッグスペースに充てられています。
後席の装備は、単なる「高級シート」の域をはるかに超えています。主な後席専用装備は以下のとおりです。
特に「Eアクティブボディコントロール」は意外ですね。通常の高級車なら乗り心地の改善は事後対応(サスペンションが凸凹を検知してから補正)ですが、マイバッハSクラスは「凸凹の手前でカメラが検知し、通過前に車体を水平に保つ」という先読み制御が働きます。これが普通のSクラスと根本的に違う点です。
内装素材にはナッパレザーと天然木のインテリアトリムが惜しみなく使用され、ロールスロイス(2,940万円〜)やベントレー(1,890万円〜)と同等以上の素材品質を確保しています。車両製造においても熟練職人による手作業工程が多く、大量生産では実現できない細部への仕上げが価格に反映されています。
結論はここにあります。「値段が高い=贅沢品」ではなく、「移動中の後席体験をプライベートジェット水準にするための技術コスト」が価格の大半を占めているということです。
参考:装備の詳細は公式サイトでも確認できます
The Mercedes-Maybach S-Class | メルセデス・ベンツ日本 公式サイト
「中古になれば安く買える」と考えている方は多いですが、マイバッハSクラスのリセールバリューは、高級輸入車の中でも特に厳しい部類に入ります。これは購入前に必ず把握しておくべき数字です。
ユーカーパックの統計データによると、新車価格3,285万円〜5,700万円のマイバッハSクラスは、5年経過時点での残価率が約34.15%まで低下します。これを具体的な金額に換算すると、S580(新車3,285万円)を5年乗った場合、買取相場は約1,121万円〜1,946万円という計算になります。つまり5年間で最大2,100万円以上が減価する可能性があります。
痛いですね。
さらに中古車を購入後すぐに手放した場合、3〜4年落ちのマイバッハSクラスでも「買ってすぐ売ると1,000万円以上の差が出る」という口コミが実際に複数報告されています。これは、中古車として市場に流通した瞬間に流通コストや整備費が上乗せされるためです。
一方で、中古車市場での価格水準は以下のとおりです。
中古でも1,500万円前後から入手可能なため、「新車より割安で最高峰の乗り心地を体験したい」という目的には理にかなっています。ただし維持費として、メルセデス・ベンツSクラス中古車全般の話として「予備費は常時50〜70万円を確保しておくこと」を推奨する専門家の声もあります。マイバッハSクラスはSクラスの中でも最上位のシステムを搭載しているため、部品コストはさらに高くなることを念頭に置くべきです。
中古車を検討する場合は、正規ディーラー系の認定中古車か、輸入車専門の信頼できるショールームで購入履歴・整備記録簿を必ず確認することが最低条件です。
参考:中古車相場や買取情報を比較するなら
Sクラス(メルセデス・マイバッハ)の中古車一覧 | カーセンサー
3,000万円超の高額車を購入する際に見落とされがちなのが「納期」の問題です。マイバッハSクラスは、注文から納車まで平均18ヶ月以上かかるケースが報告されています。比較のために挙げると、AMG S 63でさえ16ヶ月以上とされており、マイバッハSクラスはそれを上回るほど納期が長い車種です。
なぜこれほど時間がかかるのでしょう?
理由は「カスタムオーダー性の高さ」にあります。マイバッハSクラスは外装カラー・内装素材・オプション装備を組み合わせた受注生産的な性格が強く、仕様が決まってから生産ラインに乗るまでに時間を要します。さらに欧州での生産後、日本向けの適合検査と輸送期間(2〜3ヶ月)が加算されます。
購入時の注意点をまとめると次のとおりです。
これが条件です。納期・予算・ハンドル位置の3点を事前に整理しておくことが、マイバッハSクラス購入において最初の必須ステップになります。
正規ディーラー経由での購入が基本ですが、ヤナセなどの正規インポーターを通じた購入では、長期の正規保証やアフターサービスが受けられる点も評価ポイントです。
参考:ヤナセのマイバッハSクラス公式情報
メルセデス・マイバッハ Sクラス | 株式会社ヤナセ 公式サイト
一般的な高級車は「乗るほど価値が下がる消費財」と見なされますが、マイバッハSクラスの限定モデルには「資産性」という別の側面があります。これはあまり語られない視点です。
2025年9月に発売された「メルセデス・マイバッハ S680 エディション ノーザンライツ」は全国限定5台、価格5,700万円という仕様でした。「MANUFAKTURオパリスホワイト(メタリック)/MANUFAKTURモカブラック(メタリック)」という2トーンカラーで、北極圏のオーロラをイメージした専用ボディカラーは他のモデルでは手に入りません。通常はオプション扱いの特別装備が全て標準装備された仕様です。
限定5台という数字はどれほど希少か、イメージしてみましょう。東京都内の全メルセデス・ベンツ正規ディーラー数(約20店舗以上)の中で、5台だけしか割り当てられないことを意味します。
こうした超限定モデルは、流通量が圧倒的に少ないため、数年後に中古市場でプレミアムが付くケースがあります。同様の傾向は過去のマイバッハ限定車でも見られており、2020年発売の限定10台モデル(価格2,900万円)も現在の中古市場では高い評価を維持しています。
通常グレードについても一定の資産性を持たせたい場合、以下の点が重要です。
これは使えそうです。ただし、超高額車をあくまで「資産」として考える場合は、ポルシェ911(残価率約75%)やメルセデスGクラス(残価率約72%)のほうが純粋なリセール目的では優位です。マイバッハSクラスは「乗る価値」と「所有する喜び」を重視したオーナーに最もフィットする選択と言えるでしょう。
参考:限定モデルの詳細は公式発表を確認
限定5台「メルセデス・マイバッハ S 680 エディション ノーザンライツ」発売 | Car Watch