クローラー・キャタピラの基本構造は、複数の履板(シュー)を連結したベルト状のシュープレートと、これを駆動する複数の機械要素から成り立っています。接地面積が広いため、軟弱地でも沈み込みにくく、安定した走行が可能です。
クローラーの主要構成部品は以下の通りです。シュー(履板)は地面に直接接する部分で、単体で可動性を持ちます。スプロケット(起動輪)はエンジンからの動力をクローラーに伝える歯車です。アイドラ(誘導輪)はクローラーベルトのテンション調整と直線走行のガイド役を担います。ローラー(転輪)はクローラーベルトを支えながら回転させます。これらが連携することで、クローラーの安定した走行が実現されています。
クローラーが悪路でも自在に走行できる理由は、接地圧の小ささにあります。接地圧とは、接地面に作用する単位面積当たりの荷重のことで、1c㎡あたりの重量(kg)で表されます。クローラーはタイヤ車両と比較して、広い接地面積を持つため、重機の重量がより大きな範囲に分散され、接地圧が格段に低くなるのです。
この低い接地圧により、軟弱地やスラブといった構造の地面でも重機が沈み込まず、安定して作業を遂行できます。さらにクローラーの表面には凹凸の溝があり、左右2つの広い面積で地面をしっかり捉えるため、低速走行でもタイヤ車両より強い牽引力を発揮します。災害復旧や山間部での工事、林業に使う重機にとって、この優れた走破性と安定性は大きなメリットとなっています。
クローラーには主にゴム製と鉄製の2種類があり、用途に応じて使い分けられています。ゴムクローラーはアスファルトやコンクリート上での作業に適しており、路面保護と走行時の騒音軽減、振動軽減効果があります。オペレーターの疲労軽減や重機への損傷軽減に寄与し、農地での作業や住宅地での工事に最適です。
一方、鉄クローラーは主として走破性と耐久性に優れており、岩や鉄が落ちている悪条件の現場での作業に採用されます。大型の建設機械になるほどクローラーへの負荷が大きくなるため、鉄クローラーの採用が増えるのです。ただし鉄クローラーは走行中に騒音が発生しやすく、舗装道路や住宅地では適さない場合があるため、使用環境を考慮した選択が重要です。
クローラーは優れた走破性を持つ反面、いくつかの弱点があります。まず公道走行ができないことが挙げられます。日本の道路交通法では、車両が公道を走行するにはタイヤが装備されていることが原則であり、クローラー車両は特殊車両に分類されます。現場間の移動時には輸送用トラックやトレーラーが必要となり、長距離移動は非効率です。
次にメンテナンスコストの問題があります。クローラーが切れると走行不能になり、修理には大きな手間と高額な費用がかかります。交換後のクローラーは産業廃棄物として扱われ、特別な処理が必要です。さらに燃費も悪く、タイヤの転がり抵抗はクローラーの摩擦力より小さいため、長時間使用時の燃料消費量は無視できません。クローラー構造の複雑性から定期的な点検と部品交換も必要になります。
自動車にクローラーを装着するカスタマイズは、スキーリゾートや雪道での走行を想定した特殊な改造です。2019年の東京オートサロンでは、日産がジューク(JUKE Personalization Adventure Concept)にクローラーを装着したコンセプトカーを出展しました。同時期のカナダ・モントリオールショーでは、セダンのアルティマにもクローラーが装着されました。
これらのカスタマイズを手がける企業が国内に存在し、豪雪地帯での走行性能を大幅に向上させます。クローラー装着により、スタッドレスタイヤやチェーンでは対応不可能な悪路や除雪が追いつかない豪雪地でも安定した走行が可能になります。ただしコスト面での課題があり、量産車への採用は進んでいない状況です。
重機のクローラー構造と各部品の機能について詳しく解説しているコンテンツが参考になります。
クローラーのメリット・デメリット、および建設機械の選択トレンドについて詳細に記載されたコンテンツです。

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