和歌山県警黒豹隊の最大の特徴は、ヘッドライト横に設置された4つの発射口を持つ「インパクトトレーサー」システムです 。この装置は防犯カラーボールと同じ特殊な染料液を15~20mの距離まで発射することが可能で、逃走する暴走車両に確実にマーキングを施します 。
参考)黒バイ - Wikipedia
発射システムは上下左右に可動式となっており、追跡中でも正確に標的をとらえることができる設計になっています 。この技術は後にテレビドラマ「マシンX」でも描かれ、実際の警察車両として実用化された画期的な装備として注目を集めました 。
参考)マシンX - Wikipedia
特殊塗料は洗浄が困難な蛍光染料で構成されており、後日の検挙活動において確実な証拠として機能します 。この仕組みにより、夜間の高速追跡中でも安全に証拠を残すことが可能となっています。
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採証液発射装置「アトラス」は、和歌山県警が独自に開発した暴走族対策の秘密兵器です 。この装置は通常の防犯カラーボールに使用される特殊染料と同じ成分を使用しており、発射された液体は対象車両や運転者に付着して洗い落とすことが極めて困難な性質を持っています 。
発射装置は専用のボタン操作により作動し、追跡中の警察官が安全に操作できるよう設計されています 。株式会社PDIが製造を担当し、和歌山県警交通指導課の黒豹隊および銀虎部隊向けに連続発射対応モデルが納入されています 。
参考)株式会社PDI 会社概要
この技術は後に愛知県警生活安全部非行集団対策課にも採用され、全国的な暴走族対策装備として普及していることから、その効果の高さが証明されています 。
黒豹隊には大型バイクの他に、より機動性に優れた250ccクラスの「銀虎」が配備されています 。銀虎はホンダ・ホーネットをベースとした車体で、車体色が銀色(フォースシルバーメタリック)であることから「銀虎」の愛称で呼ばれています 。
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この250ccクラスの車両は、大型二輪車では追跡が困難な狭い路地や細い道での追跡に特化して設計されています 。宮城県警でも同様に250ccクラスのスクーターを導入するなど、都市部での機動性を重視した配備が進んでいます 。
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銀虎にもカラーボール発射装置が搭載されており、4つの発射口を持つインパクトトレーサーシステムが装備されています 。小型でありながら黒豹隊と同等の機能を持つことで、あらゆる道路環境での対応を可能にしています。
毎年11月3日に発生する「イレブンスリー」暴走は、大阪府岸和田市から和歌山県にかけての国道26号で10年以上続く集団暴走行為です 。この日には車やバイクが爆音を鳴らしたり旗を振り回したりする大規模な暴走が発生し、やじ馬も含めて数千人規模の人が集まる社会問題となっていました 。
参考)大阪府警:11・3暴走、封鎖します…岸和田市内の2キロ
黒豹隊は2002年の導入以来、このイレブンスリー対策で大きな成果を上げています 。導入翌月のゴールデンウィーク中には58人の暴走族構成員を検挙し、これは前年実績の2倍強という驚異的な数字を記録しました 。
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2016年頃からは道路封鎖と併用することで、暴走車両数を前年の半数以下に削減することに成功しています 。SNSでは「イレブンスリーに黒豹隊見かけた」「黒豹隊出撃!」などの目撃情報が多数投稿されており、市民からの評価も高くなっています 。
黒豹隊の車両には、夜間や悪天候時でも鮮明な撮影が可能な高性能ビデオカメラとスチールカメラが前方に設置されています 。このシステムは通常の監視カメラとは異なり、高速移動中の車両からでも証拠として使用できる品質の映像を記録することが可能です 。
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撮影された映像は後日の検挙活動で重要な証拠として活用され、法廷での証拠能力も認められています 。CCDカメラ技術を採用することで、従来の夜間撮影では困難だった鮮明度を実現しており、暗闇での追跡においても確実な証拠収集を可能にしています 。
参考)暴走族対策の秘密兵器!これが黒バイだ!【動画】
この技術革新により、危険な高速追跡を避けながらも確実な検挙を実現する「後日検挙方式」が確立され、警察官と市民双方の安全性向上に大きく貢献しています 。証拠映像と採証液のダブル証拠システムにより、検挙率の大幅な向上を実現しています。