塗料を厚く塗るほどキレイに仕上がると思ったら、それが車検落ちの原因になります。
コーナーレンズのオレンジ塗装とは、クリア(透明)状態のウインカーレンズやコーナーランプのレンズ外面に、透明着色剤や専用スプレーを吹き付け、橙色(アンバー)に仕上げるカスタム手法のことです。
もともと1970〜90年代の国産トラックや旧車には、オレンジ色の樹脂レンズが純正採用されていました。その後、社外品の流行でクリアレンズが主流となりましたが、近年は「昔のアンバースタイルに戻したい」「USコーナーレンズ風の雰囲気を出したい」という理由で、クリアレンズをあえてオレンジに塗装するカスタムが再注目されています。
特にハイエース・バネット・キャラバンといった商用バンや1BOX系に多く見られ、みんカラやカーチューンなどでも多数の施工例が投稿されています。塗装によって昔ながらのレトロな雰囲気が出るため、オールドルック・旧車風カスタムとの相性が非常に良いカスタムです。
「オレンジに見えればいい」というニーズなら問題ありません。ただし、単純に「オレンジのレンズを買えばいい」とは限らない場合もあります。社外のオレンジレンズは赤寄りのオレンジが多く、他のランプとの色味が合わないことがあるため、「クリアレンズを塗装して色を自由に調整したい」というこだわり派にとって、塗装はベストな選択肢になります。
| 方法 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 社外オレンジレンズに交換 | 簡単・手軽だが色味の選択肢が限られる | とにかく手軽に変えたい人 |
| クリアレンズをDIY塗装 | 自分で色を調整可能・コスト低め | DIY好き・コストを抑えたい人 |
| プロに塗装依頼 | 仕上がりが美しく・色の調整も可能 | こだわりの仕上がりを求める人 |
「塗装したウインカーは車検に通らない」というのは正しい理解ではありません。正確には、塗装後でも「橙色に点灯する」「昼間100m先から視認できる光量がある」という2つの保安基準を満たせば、問題なく車検に通ります。
ここが見落とされがちな落とし穴です。
問題になるのは塗りすぎによる光量低下です。コーナーレンズのオレンジ塗装では、レンズに透明の着色剤を吹き付けるため、塗り重ねるたびに光の透過率が落ちていきます。1〜2回の薄い重ね塗りなら問題ない場合がほとんどですが、4〜5回以上重ね塗りして色を濃くすると、点灯させたときに光がぼんやりと暗くなり、車検の光量基準(ウインカーは昼間100m先から視認できること)を下回る可能性があります。
みんカラの実例でも「塗り過ぎてヘタすりゃ車検不合格」という記録が残っており、プロからも「薄く複数回に分けて、透過性を保ちながら塗ること」が必須条件とされています。透明感が命ということですね。
また、コーナーランプがサイドマーカーとして機能している場合には別の注意点があります。北米仕様(US仕様)の車では、サイドマーカーが点灯する仕様になっていますが、日本の保安基準ではサイドマーカーの点灯は車検不合格の原因となります。この場合は配線を加工して点灯しないようにしてから車検に臨む必要があります。
車検前に不安な場合は、事前にディーラーや車検場の予備検査でウインカーの光量・色を確認してもらうのがもっとも確実です。一度確認しておけば安心です。
参考:ウインカーや各種灯火類の色・保安基準に関する詳しい解説
その他灯火類の「色」ルール。保安基準をひも解くと… - DIYラボ
DIYで仕上げるなら、手順をひとつひとつ丁寧に踏むことが成否を分けます。
脱脂が不十分だと、塗料が密着せずすぐに剥がれる原因になります。まずパーツクリーナーを染み込ませたウエスでレンズ表面をしっかり拭き取り、油分をゼロにしてから作業を開始してください。脱脂が基本です。
レンズを車に取り付けたまま作業する場合は、隣接するヘッドライトやボディパネルにスプレーが飛ばないよう、マスキングテープと新聞紙で広めに養生を行います。特にレンズとヘッドライトの境界部分は細かくテープを入れ込んでおくと仕上がりがグッとキレイになります。時間がかかる作業ですが、ここが一番のポイントです。
塗装は「薄く・数回に分けて」が鉄則です。1回で色を決めようとして一気に厚塗りすると、液垂れが起きたりムラになったりします。スプレーは20〜30cmほど離し、一定の速度で平行に動かしながら吹き付けます。1回目を塗り終えたら乾かないうちに2回目を重ねるのが、ツヤを出すコツです。ただし、2回重ねた時点でいったん止まって、色の濃さと透明感のバランスを確認してください。
乾燥後はクリアコート(ウレタンクリアなど)を薄く吹き付けると、塗膜が保護されてツヤが増し、長期間剥がれにくくなります。これは使えそうです。
【DIY作業の必要アイテム一覧】
作業はできるだけ気温10℃以上・湿度低めの晴れた日を選んでください。寒冷時や高湿度時は塗料がうまく定着せず、白く濁る原因になります。天気の良い日が条件です。
参考:ダイヤワイトのDIY施工例(ボンゴブローニィのウインカーオレンジ化)
ボンゴブローニィのウインカーレンズをダイヤワイトレンズオレンジでDIY塗装してみた - yorozuno
一般的なカラースプレーを使うのは厳禁です。不透明な塗料を吹き付けると光が透過しなくなり、点灯しても機能しないウインカーになります。必ず「レンズ専用の透明着色剤(透過性着色スプレー)」を使用してください。
最もポピュラーな製品がダイヤワイト(DIA-WYTE)の「レンズオレンジ(品番12)」です。クリアウインカーレンズをヨーロピアンオレンジに仕上げる透明着色剤で、上塗り剤・下塗り剤不要、レンズを外さず直接吹き付けられるのが特徴です。容量110ml、価格は約1,600〜2,000円程度で購入できます。左右のコーナーレンズ2個分を塗ってもまだ残るほどの容量なので、コストパフォーマンスは高いと言えます。
ただし、ダイヤワイトのレンズオレンジはやや赤みがかった「ヨーロピアンオレンジ」です。昔ながらの純正風の黄土色に近いオレンジを再現したい場合は、この色では再現できません。そういった場合はプロの板金・塗装専門店に調色(色の混合調整)を依頼するのが唯一の方法です。つまり「どんなオレンジにしたいか」が塗料選びの鍵です。
参考として、板金塗装専門のDIYラボでは、クリアレンズへのオレンジ塗装は「透過性を保ちながら色合いを出す」ことの難しさが詳しく解説されています。色の濃さと透明感は、まさにトレードオフの関係にある繊細な工程です。
| 製品名 | 特徴 | 仕上がり色 | 参考価格 |
|---|---|---|---|
| ダイヤワイト レンズオレンジ | 専用透過性着色剤・下処理不要 | ヨーロピアンオレンジ(赤寄り) | 約1,600〜2,000円 |
| GSIクレオス クリアーオレンジ | 模型用途にも使われる・色調整可 | やや黄寄りのオレンジ | 数百円〜 |
| プロ調色塗装(板金店依頼) | 希望の色を調色して塗装 | 自由に調整可能 | 6,000〜15,000円〜 |
参考:ダイヤワイト レンズオレンジ(Amazon商品ページ)
DIA-WYTE(ダイヤワイト) 車用 ペイント VANS レンズオレンジ - Amazon.co.jp
「自分で塗装するのは不安」「キャンディーオレンジのような特殊な仕上がりにしたい」という場合は、プロの塗装専門店への依頼が確実です。
コーナーレンズ1個(中型サイズ)のオレンジ塗装費用の目安は、6,000円〜15,000円程度(1個あたり)が相場です。小型のフェンダーマーカー類であれば6,000円〜、コーナーランプなど中型異形になると13,000〜15,000円程度が目安になります。左右2個で依頼する場合は2倍の費用感で考えておくとよいでしょう。痛いですね。ただし、仕上がり品質と耐久性を考えると、プロ依頼は長期的にはコストパフォーマンスが高い選択です。
キャラバンのコーナーレンズにオレンジキャンディー塗装を施工した事例(プロフィット)では、ドイツ製STANDOX社の塗料を使用し、クリスタルクリアーで仕上げるオプションも設けられています。そのような高品位な仕上げを求める場合は、レンズの持ち込み塗装を受け付けている専門店を選ぶのがベストです。
プロ依頼の際に確認したい主なポイントは以下の通りです。
電話やメールで問い合わせる際に「クリアレンズのオレンジ塗装をしたい」と伝えれば、ほとんどの板金・塗装専門店で受け付けてもらえます。あとは見積りを取って比較するだけです。DIYラボで紹介されているほんだ塗装のように、「DIYラボを見た」など紹介経由で問い合わせると工賃が割引になるケースもあるため、事前にリサーチしておく価値があります。
参考:テールランプ・コーナーレンズ等のレンズ塗装費用相場(プロフィット公式)