橙色のサイドマーカーなら車検に通ると思っていたら、取り付け場所によっては橙色こそがNGになります。
サイドマーカー(マーカーランプ)とは、夜間走行時に周囲の車へ自車の車体サイズを知らせるために側面に取り付けるランプのことです。一般的にはトラックやトレーラーの側面に並んでいるランプとして知られていますが、乗用車でもフェンダー部分などに補助ウインカーとして取り付けられているケースがあります。
車検では、サイドマーカーが「道路運送車両の保安基準」の規定をすべて満たしているかが厳しく確認されます。基準を一つでも外れていると、その場で不合格となり再検査が必要になります。
サイドマーカーの保安基準を正しく理解するうえで、まず知っておきたいのが「側方灯」と「その他の灯火」という2つの分類です。これが車検で色の合否を判断するときの根本的な分かれ目になります。
実はほとんどの市販マーカーランプは「側方灯」ではなく「その他の灯火」として販売されています。この違いを押さえておくだけで、車検に向けた対応が大きく変わります。つまり「用途」が先に決まる、ということです。
取り付けの義務が生じるのは、全長6mを超えるトラック・牽引自動車・被牽引自動車・ポール・トレーラーです。全長6m以下の一般的なトラックや乗用車には設置義務はありません。ただし、取り付ける場合は必ず保安基準を満たすことが条件になります。
参考:道路運送車両の保安基準(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr7_000007.html
サイドマーカーの色は、「側方灯として使うか」「その他の灯火として使うか」によってルールが大きく異なります。ここが多くの人が混乱する部分です。
【側方灯として使用する場合】
側方灯として使用するサイドマーカーは、橙色(だいだい色・オレンジ色)のみが認められています。ただし、後部に取り付ける尾灯などと構造上一体になっている場合に限り、赤色も認められます。また「側方灯」として使用する場合、ECE規格認証を取得した製品を使用しなければなりません。市販の一般的なマーカーランプはほとんどこの認証を取得しておらず、側方灯としての使用はできないという点に注意が必要です。
【その他の灯火(装飾用)として使用する場合】
装飾用途のサイドマーカーには、以下の色の制限があります。
| 色 | 車両側面への取付 | 理由 |
|---|---|---|
| 🟡 黄色 | ✅ OK | 制限なし |
| 🔵 青(クリアブルー含む) | ✅ OK | 制限なし |
| 🟢 緑 | ✅ OK(注意あり) | 黄緑と判断されると前方NG |
| ⬜ 白 | ⚠️ 後方照射はNG | バックランプと誤認される恐れ |
| 🟠 橙(アンバー) | ⚠️ 後方照射(地上2.5m以下)はNG | ウインカーと誤認される恐れ |
| 🔴 赤 | ❌ 全面取付禁止 | テールランプ・ブレーキランプと誤認 |
赤色はどの場所にも取り付け禁止です。これは他の車がブレーキランプやテールランプと見間違える危険があるためです。
白色は後方照射になる場所への取り付けが禁止されています。バックランプと間違えられる恐れがあるからです。側面であっても後方斜め15度の範囲から見える場所は「後方照射」に含まれるため、取り付け位置の判断は細かく行う必要があります。
意外に思われがちですが、青や緑の装飾用サイドマーカーは、規定さえ守れば違法にはなりません。夜間に青や緑のマーカーがついたトラックを見かけることがありますが、それが車検で引っかかっているかどうかはこの「その他の灯火」の規定をクリアしているかどうかにかかっています。
参考:マーカーランプの車検規定に関する保安基準解説(ヤマダボディーワークス)
https://yamadabody.jp/blog/products/ranpu/marker-lamp-vehicle-inspection/
色の規定と並んで重要なのが、サイドマーカーの設置場所・高さ・明るさに関する規定です。色が正しくても、これらがズレていると車検に通らないことがあります。厳しいところですね。
設置場所の規定(側方灯として使用する場合)
具体的なイメージとして、高さ0.25mはだいたいトラックのホイールの中心あたり、1.5mは一般的な成人男性の肩の高さ程度です。この範囲から外れると規定違反となります。
明るさの規定
サイドマーカーの明るさには上限と下限が両方あります。側方灯として使用する場合は「夜間に側方150mの距離から点灯を確認できること」が必要です。150mとは、約50台分の乗用車が縦に並んだ距離に相当します。暗すぎては他車に存在を伝えられないわけです。
一方で、明るすぎてもNGです。光度は300カンデラ以下と定められており、これは乗用車のポジションランプ(車幅灯)とほぼ同じ程度の明るさです。300カンデラを超えると他車の視界を妨げる恐れがあるため、LEDランプを選ぶ際は必ずスペックを確認する必要があります。
点滅は用途に関わらずNG
側方灯であっても装飾用であっても、サイドマーカーが点滅している状態は整備不良とみなされます。整備不良(灯火類)で走行した場合、違反点数1点・反則金7,000円(普通車)が科せられます。エンジンをかけたときに点滅が発生するケースもあるため、車検前は必ずエンジン始動状態での点灯確認が必要です。
参考:トラック車検時のサイドマーカーの規定(行政書士法人シフトアップ)
https://xn--jprz31c82x93etka.com/column-side-marker-9206
実際に車検で引っかかるケースには、よく似たパターンがあります。「知っていれば防げた」という事例を整理しておきましょう。これは使えそうです。
落とし穴①:「車検対応」と書かれた商品を買ったのに不合格になった
インターネットで「車検対応」と記載されて販売されているシーケンシャル(流れる)サイドマーカーは、保安基準の観点から見ると不適合となることがあります。シーケンシャル点灯は「点滅」とみなされるため、どの色であっても整備不良の対象です。販売側の「車検対応」という表記が保安基準を完全に満たすことを保証しているわけではない点に注意が必要です。
落とし穴②:USヘッドライトのサイドマーカーをそのまま使った
北米仕様の国産車などに見られる、ヘッドライトユニットに内蔵されたオレンジ色のサイドマーカー。日本ではこのバルブが点灯した状態では車検に通らないため、配線を加工して点灯しないようにする必要があります。「オレンジ色だから大丈夫だろう」という判断は禁物です。
落とし穴③:橙色の装飾用マーカーを後部付近に取り付けた
「その他の灯火」として装飾目的で橙色のマーカーを取り付けた場合、後方から視認できる位置で地上2.5m以下に設置してしまうとNGとなります。橙色はウインカーとの誤認を防ぐためにこの制限があります。橙色が側方灯としては正解でも、装飾用途では設置場所次第でNGになるという逆転現象が起きるわけです。
落とし穴④:片側が切れたまま放置して走行
側方灯として登録されているサイドマーカーが1か所でも点灯しなくなると、その時点で保安基準違反となります。装飾用のマーカーランプは1か所切れても即違反にはなりませんが、走行中に他車の視認性を損ない、事故リスクが高まります。車検前の1か月以内には必ず全灯の点灯確認をしておきましょう。
落とし穴⑤:道路運送車両法違反による高額罰金
保安基準に適合しないサイドマーカーを意図的に取り付けたり、規定に違反した状態で走行したりすると、道路運送車両法違反として50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。さらに保安基準違反のまま事故を起こした場合、任意保険が適用されないリスクもあります。金額だけで済まない問題です。
車検前に自分で確認できるポイントをまとめます。専門知識がなくても、以下の項目を順番に確認するだけでリスクを大幅に減らすことができます。
【車検前セルフチェックリスト】
正しい色の選び方のポイント
サイドマーカーを新たに購入・交換する場合は、まず「側方灯として使うのか、装飾用として使うのか」を明確にしてから選ぶことが前提です。
側方灯として使うなら、ECE規格認証取得品の橙色ランプのみが選択肢になります。具体的な製品として、小糸製作所の「LEDサイドマーカー 橙 24V 2560A」のような認証取得品が選ばれています。
装飾用として使う場合は黄色・青(クリアブルー)が最もリスクが少ない選択肢です。これらは「その他の灯火」として設置場所の制限がなく、色の観点では問題になりにくいからです。ただし、光度300カンデラ以下・点滅しないことは絶対条件です。
車検対応かどうか不安な場合は、整備士やトラック販売店・ボディショップなどのプロに確認を取ることが確実です。購入前に「この製品は側方灯として使えますか」「その他の灯火として設置場所はどこが適切ですか」と一言確認しておくだけで、不必要な出費や再検査の手間を避けることができます。
参考:マーカーランプの色の選択に関するPDF資料(名古屋ボディ)
https://nagoyabody.jp/wp-content/uploads/2022/12/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%81%AE%E8%89%B2.pdf
車検での合否だけを気にして色を選ぶ人がほとんどですが、実は色を間違えると「事故を起こしたときに保険が下りないリスク」まで発生することはあまり知られていません。意外ですね。
道路運送車両法は「保安基準を満たした状態で走行すること」を義務づけています。保安基準を満たさない状態で走行中に事故を起こした場合、任意保険の約款によっては「法令違反状態での事故」として保険会社が支払いを拒否するケースがあります。一般的な自動車保険では「車両が保安基準に適合していること」が前提条件の一つに含まれているためです。
また、保安基準違反の状態での走行は、道路運送車両法第99条によって「50万円以下の罰金」の対象になります。これは車検に通らないという問題にとどまらず、日常走行時にも常にリスクを抱えていることを意味します。
「車検さえ通れば大丈夫」という考え方では不十分だということです。
特に中古で購入したトラックや、前オーナーがカスタムしたままの車両を乗り継ぐ場合は要注意です。前オーナーの付けたサイドマーカーの色や設置場所がそのまま引き継がれているケースがあり、本人が知らないうちに違反状態で走行しているということが実際に起きています。
中古車購入後や車検前には、整備士に「サイドマーカーの保安基準適合確認」を依頼する一手間を加えることを強くおすすめします。国土交通省の公開する保安基準の告示と照らし合わせることで、色・設置位置・明るさ・点滅の有無をすべて確認することができます。確認する習慣が条件です。
保安基準の改正があった場合も、古い情報のまま対応するリスクがあります。最新の保安基準は国土交通省の公式サイトで随時更新されているため、定期的に確認することが大切です。
参考:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第218条(その他の灯火等の制限)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/kijyun/saimokukokuji/saikoku_218_00.pdf

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