スモーク塗装すると、車の外見がおしゃれに見える。
ウインカーレンズの塗装には、大きく分けて「スモーク塗装」「オレンジ(レンズオレンジ)塗装」「クリア塗装」の3種類があります。それぞれ目的が異なるため、自分の愛車にどの仕上がりを求めているかで選ぶべき塗料は変わります。
スモーク塗装は、クリアまたはオレンジ色のレンズを半透明の黒っぽい色調に仕上げる手法です。車全体の引き締まった印象を強調できるため、ドレスアップ目的で人気があります。一方で後述するように車検での光量問題につながりやすく、施工時の「塗り込みすぎ」には注意が必要です。
オレンジ(レンズオレンジ)塗装は、クリアレンズをオレンジ色に着色する手法です。古い車の純正オレンジレンズを再現したい場合や、US仕様のクリアウインカーをJDM風にしたい場合に用いられます。ダイヤワイトの「VANZ レンズオレンジ(品番12)」のような専用スプレーが代表的な製品です。約1,620円(購入当時)で110mlの内容量があり、左右のレンズを塗ってもまだ残るくらいのコスパの良さも魅力的ですね。
クリア塗装は、レンズの黄ばみや紫外線劣化を防ぐための保護目的で行う塗装です。ヘッドライトのクリア塗装と基本的な手法は同じで、塗装後の透明度を維持しながらレンズを保護する効果があります。
塗料選びが基本です。どの塗装方法でも、専用のレンズ用塗料(透過性着色剤)を使うことが仕上がり品質と密着性の点で重要になります。通常のボディ用スプレーとは素材適性が異なるため、必ずレンズ用と明記された製品を選びましょう。
▶ Amazon:ダイヤワイト VANZ レンズオレンジ(レンズ専用スプレー塗料の代表例)
「塗装すれば車検に落ちる」と思っている人も多いですが、それは半分正解で半分は誤解です。正確に言うと、最終的にウインカーの発光色が橙色(オレンジ色)であり、昼間100m先から視認できる光量を確保していれば、レンズの色や素材には問いません。これは国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第137条」で明確に定められています。
| 保安基準の項目 | 規定内容 |
|---|---|
| 発光色 | 橙色(オレンジ色) |
| 視認距離 | 昼間100m先から点灯を確認できること |
| ワット数 | 15W〜60W |
| 照明部の面積 | 20㎠以上 |
| 点滅周期 | 毎分60〜120回の一定周期 |
問題になるのは「スモーク塗装の濃さ」です。スモーク塗装によって光の透過率が大幅に落ちると、100m先から点灯を視認できなくなるため車検不適合の判断を受けます。薄いスモークで仕上げた場合は通過できることも多いですが、濃すぎると確実にNGです。
また、クリアレンズをそのままオレンジ塗装する場合も注意が必要です。塗装によって橙色の光が出るようにすること自体は合法ですが、光を透過する量が確保されていないと同様に不合格になります。つまり「塗りすぎ」は車検的にもNGということです。
オレンジ色が条件です。スモーク塗装のウインカーについては、見た目が気に入っていても車検前に一度塗膜を落として再塗装するケースも少なくありません。ドレスアップとして楽しむ場合も、車検時に対応できる濃さの「薄めスモーク」に留めておくことを強くおすすめします。
▶ 国土交通省:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第137条(方向指示器の保安基準の原文)
それでは実際のDIY塗装の手順を確認していきます。プロ顔負けの仕上がりを実現するために、手を抜いてはいけないのが「塗装前の準備」です。DIY塗装の仕上がりの8割は下地処理で決まると言っても過言ではありません。
まず必要なものを揃えましょう。用意するものは以下の通りです。
① 脱脂(最重要)
パーツクリーナーをウエスに浸み込ませ、レンズ表面全体を丁寧に拭き取ります。油分や水分が残ると塗料が弾いてムラや剥がれの原因になります。脱脂は必須です。
② 黄ばみ取り・足付け(下地処理)
新品レンズの場合は1500番のサンドペーパーで軽く表面を荒らすだけでOKです。古くなって黄ばんでいるレンズの場合は600番から削り始め、1000番→1500番と目を細かくしながらキズ目を消していきます。ヘッドライトの黄ばみ取りと同じ手順と考えてもらえばわかりやすいです。なお、黄ばんだ状態のまま塗装すると、スモークが下の黄ばみを拾って仕上がりがくすんでしまうため、新品レンズへの交換または徹底した下地処理が推奨されます。
③ マスキング
ヘッドライトやボディとの境界線に沿って、マスキングテープを丁寧に貼ります。細かいすき間にはテープを押し込むようにして養生し、その上から新聞紙でスプレーのはね返りを防ぎましょう。これは時間がかかるところですが、仕上がりの精度に直結するため、焦らず行うことが大切です。
④ スプレー塗装(重ね塗りのタイミングが命)
レンズから20〜25cm程度離してスプレーを均一に横方向へ動かします。一定のスピードで手を止めずに動かし続けることが、液ダレ防止のコツです。一度に厚塗りせず、薄く吹き付けて様子を見ながら重ね塗りします。
重要な注意点があります。乾燥してから重ね塗りすると層と層の間に艶が出にくくなります。2〜3回目を塗る場合は、直前の塗膜が乾き切る前に次を重ねるのが艶を出すポイントです。オレンジ塗装の場合、塗り重ねるほど赤寄りのオレンジになる傾向があるため、1〜2回で様子を見るのがおすすめです。
⑤ マスキング剥がしと仕上げ確認
塗料が半乾きのうちにマスキングテープをゆっくりと引き剥がします。完全に乾いてから剥がすと、塗膜がテープと一緒にめくれる可能性があるため要注意です。
▶ yorozuno:ボンゴブローニィのウインカーレンズをダイヤワイトでDIY塗装した実例(手順・ビフォーアフター写真あり)
実際にDIY塗装を試みた人が陥りやすい失敗パターンには、いくつかの共通点があります。ここではその代表的な失敗例と、その対処法をまとめます。
失敗①:塗料がだれる(液垂れ)
一箇所に留まってスプレーしたり、距離が近すぎたりすると塗料が垂れます。対処法は「レンズ面より広いエリアを一気にスイープする動き」で吹き付けること。体全体を使って一定スピードでスプレーを動かすイメージです。
失敗②:マスキング境界がにじむ
マスキングテープの密着が甘いとスプレーが浸入し、ボディやヘッドライトに色がついてしまいます。貼った後にテープのエッジを指の腹で押さえて密着を確認してから作業を開始しましょう。にじみが発生した場合は、塗料が乾かないうちにシリコンオフ(脱脂剤)を浸み込ませたウエスで素早く拭き取ります。
失敗③:塗膜が剥がれる
脱脂が不十分だったり、レンズ素材に対応していない塗料を使ったりすることが主な原因です。また、コーティングや撥水剤が残っていると密着力が著しく落ちます。塗装前のパーツクリーナーによる脱脂は2回以上行うことを推奨します。
失敗④:複数レンズで色が揃わない
テール・ハイマウント・ウインカーをまとめてスモーク塗装する場合、元のレンズ色(赤・クリア)の違いにより、同じ塗料を吹いても仕上がりの濃さが変わります。赤レンズの上にスモークをかけると当然より濃く見えるため、クリアレンズと全く同じ仕上がりにはなりません。これは物理的に避けられない問題です。「どのパーツを基準にした濃さにするか」を塗装前に決めておくことが大切です。
失敗⑤:UV劣化で数年後に剥がれ・白濁が発生
これは意外ですね。レンズ塗装は屋外の紫外線で想像以上に劣化します。耐紫外線効果を持つポリウレタンクリアーを上掛けすることで、剥がれや白濁を数年単位で遅らせることができます。ドイツ・STANDOX社のウレタンクリアーのような高機能製品は特に耐久性が高く、プロの板金塗装でも使用される定番素材です。
ここで整理しておきましょう。失敗の多くは「脱脂不足」「厚塗り」「マスキングの甘さ」の3点が原因です。この3点に注意すれば大丈夫です。
DIYに自信がない場合や、より完成度の高い仕上がりを求める場合は、板金塗装店への持ち込みという選択肢があります。ここではプロへの依頼費用の目安と、依頼時に注意したいポイントをご紹介します。
板金塗装店でのレンズ塗装費用の一例は以下の通りです(DIYラボ・ほんだ塗装の公開情報より)。
| 対象パーツ | 塗装料金の目安 |
|---|---|
| テールランプ(左右) | 6,000円 × 2点 = 12,000円 |
| ウインカーレンズ(左右) | 1,500円 × 2点 = 3,000円 |
| ハイマウントストップランプ | 2,000円 |
| 合計(税別) | 17,000円前後 |
この金額はユーザー側が事前に足付け(下地処理)を済ませた状態での持ち込み価格です。足付けなしの完全お任せの場合は、工賃が上乗せされます。ウインカー単体なら3,000円前後から対応してもらえるケースが多く、意外と手が届く価格帯といえます。
プロに依頼する場合の注意点があります。「スモーク塗装の濃さ」については事前に「どのパーツを基準にするか」を明確に伝えましょう。単に「濃いめ」「薄め」と伝えるだけでは、仕上がりのイメージにズレが生じることがほとんどです。できれば参考画像を用意して持ち込むと、お互いのイメージを揃えやすくなります。
また、クリアレンズのオレンジ塗装は「普通のスモーク塗装」よりも難易度が高く、プロでも専用の調色が必要になるケースがあります。市販のレンズオレンジスプレーでは「赤寄りのオレンジ」にしかならず、黄土色っぽい純正風オレンジを再現したい場合は塗料の調色が必要です。こういった特殊な要望は、引き受け可能かどうかを事前に確認することをおすすめします。
これは使えそうです。DIYで足付けまでしてからプロに塗装だけ依頼する「ハイブリッド方式」は、費用を抑えつつ仕上がりも良くできる賢いやり方です。