自動車警ら隊と機動捜査隊は、どちらも都道府県警察本部に所属し、管轄区域を超えて活動できる部隊ですが、その役割には明確な違いがあります。両部隊とも広域的なパトロール活動を行う点では共通していますが、所属部署、任務内容、使用する車両が大きく異なります。
参考)自動車警ら隊 - Wikipedia
最も大きな違いは所属部署にあります。自動車警ら隊は警察本部の地域部に所属し、機動捜査隊は刑事部に所属しています。この所属の違いが、両部隊の活動内容や求められる実績に直接影響を与えています。
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また、使用する車両にも特徴的な違いがあります。自動車警ら隊は一般的な白黒のパトカーを使用するのに対し、機動捜査隊は覆面パトカーと呼ばれる捜査用車両を使用します。この車両の違いは、それぞれの部隊が担う任務の性質を反映したものとなっています。
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自動車警ら隊の組織概要と全国配置状況について詳しく解説されています

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自動車警ら隊の最大の特徴は、職務質問を主要な武器として犯罪検挙を行う点にあります。警察内部では「自ら隊(じらたい)」と略称され、パトカーによる警らと職務質問の技能を武器に、県内の治安維持にあたっています。youtube
自動車警ら隊の任務は多岐にわたります。主な活動内容として、パトロールを通じた犯罪の予防と抑止、不審者への職務質問、110番通報への初動対応、重要事件発生時の現場急行などがあります。特に職務質問による検挙実績が重視される部署であり、年間400件以上の犯罪を検挙する実績を持つ県警もあります。
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自動車警ら隊員は、暴力団や匿名・流動型犯罪グループ対策、飲酒運転・交通事故抑止対策など、県警察の活動重点を実現するため、警察官職務執行法第2条に基づく職務質問を中心とした活動を行っています。通常は2名1組で乗車し、無線で本部と連携しながら24時間体制で活動しています。
参考)福岡県警察 活動内容
元警察官による自動車警ら隊の実態と職務質問の重要性についての詳細記事
機動捜査隊は都道府県警察本部の刑事部直轄(一部地域では捜査第1課隷下)の実動部隊で、英語では「MOBILE INVESTIGATION UNIT」といい、「MIU」と略されます。覆面パトカーで街なかを巡回し、重要事件発生時の迅速な初動捜査を主任務としています。
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機動捜査隊に課せられた任務は主に4つあります。機動警ら、張り込み、密行、検問、検索といった「よう撃捜査」、早期に鑑識を必要とする際の「応急的現場鑑識」、人手が必要な際の「応援捜査」、そして逃走した犯人の足取りを追う「初動捜査」です。これらの活動を通じて、殺人、強盗、強制性交、放火などの重大事案に対応しています。
機動捜査隊の大きな特徴は、所轄の刑事ではないため管轄の制限を受けず広域的に動けることです。都道府県の境を跨いでの広域捜査も可能で、事件への迅速対応、スピーディさに軸足を置いた活動が求められます。ただし、事件が長期化する場合は本部刑事部の捜査第1課や捜査第3課などの別部署に捜査を引き継ぎ、新たな事件発生に備えて巡回に戻ります。
機動捜査隊の役割と他の「機動」部署との違いについて解説されています
初動対応における両部隊の役割には明確な違いがあります。自動車警ら隊の初動対応は犯罪の予防と早期発見に重点が置かれ、地域密着型の活動が中心となります。一方、機動捜査隊の初動対応は迅速な犯人検挙と事件解決に重点が置かれています。
参考)自動車警ら隊(自ら隊)と機動捜査隊(機捜隊)の初動対応におけ…
自動車警ら隊は広範囲をパトロールし、犯罪発生の抑止効果を高めることで、犯罪を未然に防ぐ環境を作ります。地域住民とのコミュニケーションを通じて情報収集を行い、地域の治安維持に貢献しています。交通事故や傷害事件などの発生時には初期対応を行い、負傷者の救護や現場の保全を担当します。
機動捜査隊は事件発生の通報を受けると迅速に現場に駆けつけ、犯人の逃走を阻止し証拠を確保します。犯人追跡、現場検証、被疑者取り調べなど、高度な捜査スキルと連携プレーが求められる活動を行います。覆面パトカーを使用することで、犯人に気付かれないよう追尾することが可能であり、パトカーでは近付けない場所にも行くことができます。
参考)https://www.homemate-research-police.com/useful/12954_facil_057/
両部隊は重要事件の検挙という共通の目標を持っていますが、その関係には協力と競争の両面があります。重要事件が発生すると、両部隊は報奨と実績を目指して「犯人の取り合い」がスタートすることがあります。
重要事件を検挙した警察官には本部長からの表彰や警察庁からの賞状など、特別な報奨が与えられます。しかし、この報奨を受けられるのは実際に犯人に手錠をかけた警察官のみであり、どれだけ多くの警察官が捜索に参加していても、検挙した警察官のみが実績と認定されます。
このため、自動車警ら隊と機動捜査隊が同時に犯人を発見した場合、どちらが手錠をかけるかで揉めることもあります。お互いが「機動捜査隊には負けない」「自動車警ら隊には負けない」という意識を持っており、特に実績へのこだわりが強い両部隊は、現場でぶつかる場面が多いのです。
一方で、両部隊は密接に連携することで、より効果的な犯罪捜査を実現しています。自動車警ら隊が職務質問を通じて得た情報が機動捜査隊による捜査に役立つケースや、機動捜査隊が逮捕した犯人から得られた情報が自動車警ら隊による地域パトロールに役立つケースなど、相互補完的な関係も存在します。
自動車警ら隊の勤務体制は、基本的に職務質問に専念できる環境が整えられています。一般的な事件や事故などの通報事案には対応せず、パトロールする地域を自分たちで決められるため、自由度の高い勤務が可能です。ただし、この自由が与えられている分、検挙実績が伴わないと厳しい追い込みを受ける部署でもあります。
自動車警ら隊員には高度な運転技術と武道の技能が求められます。逃走車両の追跡や重要事件等の現場への急行を安全に行うため、パトカーの走行訓練を日々行っています。また、凶器を持って暴れている犯人を制圧するため、柔道、剣道及び逮捕術などの武道訓練も実施されています。
職務質問の技能は自動車警ら隊員にとって最も重要なスキルです。不審な人物を見抜く観察力、適切な質問を行うコミュニケーション能力、危険な状況に対応できる判断力などが必要とされます。これらの能力を駆使して、薬物所持、不法残留、銃刀法違反など様々な犯罪を検挙しています。
参考)https://newscollect.jp/article/?id=1288021363555057785
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自動車警ら隊は災害派遣活動にも従事します。全国のあらゆる所で発生している大規模災害において、被災者の救助活動、避難所の支援・警戒活動、広報活動などを行い、被災者の安全・安心を確保するためのパトロール活動も実施しています。過去には熊本地震、九州北部豪雨災害、広島豪雨災害、能登半島地震などに出動した実績があります。
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