事前登録を当日に済ませようとしたら、あなたはその日に入場できません。
「人とくるまのテクノロジー展」は、公益社団法人自動車技術会(JSAE)が主催する、自動車技術に特化した日本最大級の専門展示会です。1992年に横浜で初開催されて以来、30年以上にわたり毎年開催されてきた、国内屈指の歴史と権威を誇る展示会です。
この展示会の目的は、自動車業界の技術者・研究者が最新の技術トレンドを共有し、交流を深め、さらなる技術革新を推進することにあります。出展内容は完成車メーカー、部品サプライヤー、素材メーカー、計測・試験機器メーカー、ソフトウェア開発企業、大学・研究機関など、自動車を構成するあらゆる技術分野を網羅しています。つまり「クルマのすべて」が集まる場です。
規模の面でも非常に大きなイベントです。2025年の横浜会場では617社・約1,470小間が出展し、来場登録者数は約79,808名にのぼりました。2026年(横浜)は約600社・1,400小間、来場登録者8万人を見込んでいます。東京ドームのグラウンド面積が約13,000㎡であることを考えると、展示ホール20,000㎡というフロア面積は、グラウンド約1.5個分を埋め尽くす規模感です。これは大きいですね。
さらに、リアル会場の開催と並行して「オンライン展示会(ONLINE STAGE)」も実施されるため、遠方に住む方や会場に足を運べない事情がある方にとっても、最新の自動車技術情報へのアクセス手段が整備されています。
参考:公式展示会サイトの開催概要・来場情報
人とくるまのテクノロジー展 2026 YOKOHAMA – 自動車技術会公式サイト
2026年の開催は横浜と名古屋の2会場で実施されます。まず横浜では、2026年5月27日(水)〜5月29日(金)の3日間、パシフィコ横浜 展示ホール・ノースで開催されます。名古屋では2026年6月17日(水)〜6月19日(金)の3日間、Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)での開催が決定しています。両会場ともに開催時間は10:00〜17:00です。なお、2026年より開催時刻が変更になった点も要注意です。
オンライン展示会「ONLINE STAGE 1」は横浜会場と連動して2026年5月19日〜6月9日まで公開されます。「ONLINE STAGE 2」は名古屋会場と連動して6月10日〜7月1日まで開催され、リアル会場と合わせると約1ヶ月半にわたって最新技術情報にアクセス可能です。
| 会場 | 開催日程 | 場所 |
|---|---|---|
| 横浜 | 2026年5月27日〜29日 | パシフィコ横浜 展示ホール・ノース |
| 名古屋 | 2026年6月17日〜19日 | Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場) |
| ONLINE STAGE 1 | 2026年5月19日〜6月9日 | Webサイト |
| ONLINE STAGE 2 | 2026年6月10日〜7月1日 | Webサイト |
入場は無料ですが、事前来場登録が必須です。当日登録の受付は一切ありません。公式サイトからアカウントを作成・登録し、完了後に届くメールのURLから「入場証」を取得してA4サイズでカラー印刷して持参する必要があります。事前登録は1人ずつ個別に行う必要があり、団体での一括申し込みは受け付けていません。これが基本です。
参考:来場登録方法の詳細と注意事項
よくあるご質問 – 人とくるまのテクノロジー展 2026 YOKOHAMA
2025年の展示会では617社が参加し、特にCASE(Connected・Autonomous・Shared & Services・Electric)を中心とした技術が会場を席巻しました。2026年に向けてもこの流れは加速しています。注目すべき技術分野を以下で整理します。
① 電動化技術(xEV)の深化
バッテリー技術の進化は展示会の最大テーマのひとつです。次世代バッテリーや全固体電池の研究開発、リチウムイオンバッテリーの高性能化、そしてリユース・リサイクル技術まで幅広く展示されます。駆動システムでは小型高出力な「e-Axle」(モーター・インバーター・ギアボックスを一体化した駆動ユニット)が多くの企業から展示される見込みです。これは使えそうです。
② 自動運転・ADASのさらなる進化
LiDAR(光を使った距離計測センサー)やカメラのセンサー性能の向上、AIによる物体認識・行動予測の精度改善が年々加速しています。2025年の展示では日産がドライバーレス自動運転実験車両を公開し、注目を集めました。安全技術への関心も非常に高いです。
③ SDV(ソフトウェア定義車両)の台頭
クルマのハードウェアをソフトウェアで制御する「SDV」の概念が、展示会全体のトレンドとして急拡大しています。5Gを活用したV2X通信、OTAによるソフトウェア更新、車載イーサネット、OSやミドルウェアの展示が2025年から急増しています。数年前はほとんど見られなかったテーマです。意外ですね。
④ カーボンニュートラルへの多様なアプローチ
EVだけがカーボンニュートラルの手段ではありません。水素エンジン・合成燃料・バイオ燃料などの研究や、アルミ合金・CFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの軽量化素材、バイオプラスチックやリサイクル材の活用なども多く展示されます。多方面のアプローチが並立しているのが特徴です。
⑤ 生産技術とデジタルツイン
クルマをどうやって効率よく高品質に作るか、という「モノづくり」の技術も重要なテーマです。工場を仮想空間で再現して最適な生産計画を検討する「デジタルツイン」技術、AIと連携したスマートファクトリー、3Dプリンティングによる試作の高速化などが展示されます。製造現場に直結する情報が豊富に揃っています。
参考:2025年展の技術トレンド詳細レポート
展示会レポート:人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA – 株式会社ネクスドライブ
展示会に来場した多くの人が、つい素通りしてしまいがちなブースがあります。それが「衝突試験用ダミー人形」の展示です。クルマのPR映像や安全試験の動画でよく見かける人形ですが、その実態はほとんど知られていません。
2025年の会場でダミー人形を展示していたのは、ヒューマネティクス・イノベーティブ・ソリューションズ・ジャパンという企業です。この企業は日本国内のダミー人形市場でシェア約80%を誇るトップ企業で、その製品の価格が会場で明かされました。男性型の最新モデル「THOR 50th Male(次世代型前突成人男性)」の価格は、なんと約1億円。女性型にいたっては約2億円からという価格です。
なぜこれほどの価格になるのでしょうか?ダミー人形の中には、衝突時の衝撃を計測する数百個ものセンサーが搭載されており、これは「人形」である以前に「精密測定機器」だからです。特に最新型は肋骨構造がより複雑になり、シートベルトが当たっている部分とそうでない部分のダメージの差まで細かく計測できるように進化しています。女性型が男性型より高いのは、体形的に測定箇所が増えるためとのことです。
また、ダミー人形は壊れることもありますが、仕様内の使用であれば製造元が無償修理する場合も多いといいます。時速200km以上などの「仕様外の使用」は対象外です。なお、1体のダミー人形は20〜30年かけて世代交代するため、現行の「最新モデル」も十分長期間使われます。
こうした「技術展の裏側」を知ってから会場を歩くと、各ブースの展示が全く違って見えてきます。これは使えそうです。
参考:ダミー人形の構造と価格についての詳細記事
「1体1億円!女性型は2億から!?」意外と知らないダミー人形の世界 – 乗りものニュース
「人とくるまのテクノロジー展は技術者向けの展示会だから、一般のビジネスパーソンや学生には関係ない」と思っている方は多いかもしれません。しかし、実態は大きく異なります。
来場対象者として公式に挙げられているのは「自動車・部品・車体メーカーの設計/研究/実験/開発の技術者・研究者」だけではありません。生産技術・品質管理部門、購買部門の担当者、公的研究機関の研究者、大学・専門学校・工業高校の教職員・学生なども明確に対象として記載されています。この点は意外ですね。
また、実際の来場者層を見ると、製品企画・調達・営業などの非技術職、経営層に近い役職の方々も多く参加しています。自動車産業のサプライチェーン再編や、モビリティサービスの変化が進む中で、「技術の最前線を経営や調達の視点で理解したい」というニーズが高まっているからです。企業間の協業・オープンイノベーションを探る場としても機能しています。
さらに一般来場者にとっての大きなメリットは「オンライン展示会」の存在です。ONLINE STAGEは事前登録さえ済ませれば、出張や移動コストをかけず自宅や職場から各社の展示ページを閲覧できます。出展企業とオンラインミーティングを設定する機能もあり、リアル会場に来られない日程でも十分に情報収集が可能です。交通費・宿泊費が不要なので、実質ゼロコストで参加できます。
📌 来場や参加を検討している方は、まず公式サイトで事前登録の開始時期を確認することをおすすめします。登録開始は会期の数週間前から始まるため、直前に焦らないよう早めのチェックが大切です。
参考:オンライン展示会の活用ガイド
人とくるまのテクノロジー展 ONLINE ガイド – 自動車技術会公式サイト