ホンダのコンパクトSUV「WR-V」が2025年3月7日に一部改良を受けて発売されました。今回の改良では、中級グレード「Z」と最上級グレード「Z+」の内装品質が大幅に向上しています。
主な改良点として、インパネ下部とリアドアにソフトパッドを追加し、触感の向上を図りました。特に「Z+」グレードでは、ブラウンのフルプライムスムースシートを採用することで、座り心地と上質感を高めています。
また、ブラックを基調とした内外装パーツを採用した特別仕様車「BLACK STYLE」も新設定されました。この特別仕様車は「Z」と「Z+」の両グレードに設定され、よりスポーティな外観を演出しています。
外装色には新色「オブシダンブルー・パール」が追加され、「BLACK STYLE」を含む「Z」以上のグレードで選択可能となっています。
価格面では、従来の「全タイプ250万円以下」というコンセプトから変更され、上級グレードでは250万円を超える設定となりました。これは内装品質の向上に伴う商品力アップを狙った戦略的な価格改定と考えられます。
2025年10月には、CR-Vのハイブリッドモデル「CR-V e:HEV RS」の日本発売が予定されています。このモデルは、2024年7月に燃料電池車「CR-V e:FCEV」として復活したCR-Vシリーズの追加モデルとして位置づけられています。
CR-V e:HEV RSは、2Lガソリンエンジンと電気モーター2基を組み合わせた「e:HEV」ハイブリッドシステムを搭載し、走行性能を重視したモデルとして開発されています。海外仕様の標準ハイブリッドモデルから足回り、パワートレイン、シャシーの制御システムを変更し、より高い走行性能を実現しています。
エクステリアデザインも燃料電池車と差別化された専用デザインを採用し、走行性能の高さを表現する専用のデザインアクセントが施されています。
装備面では、デジタルメーターや最新のインフォテインメントシステム、コネクティッドサービスに対応した先進装備が搭載される予定です。
価格は5人乗りのe:HEV EXが3,925,900円からとなり、最上級のe:HEV BLACK EDITIONは4,338,400円に設定されています。
2026年には、ホンダの次世代EVプラットフォーム「Honda 0シリーズ」を採用した新型SUVの投入が予定されています。このSUVは、2025年1月のCES 2025で世界初公開された「Honda 0 SUV」プロトタイプをベースとしたモデルです。
Honda 0 SUVプロトタイプは、軽量かつ高剛性のEV専用プラットフォームを採用し、低重心設計による優れた操縦安定性とホンダらしい「走る楽しさ」を実現しています。
エクステリアデザインは、新時代のホンダ車を象徴する新たなエンブレムを装着し、流麗なロングノーズ・ショートデッキのシルエットが特徴的です。空気抵抗を抑えるエアロダイナミックデザインを採用し、スリムなLEDヘッドライトと一体化したフロントグリルが未来的な印象を与えます。
インテリアには、デジタルコックピットと大型タッチスクリーン式インフォテインメントシステムを搭載し、直感的な操作性を追求しています。また、持続可能な素材を内装に採用することで、環境負荷の低減にも配慮した設計となっています。
このモデルは、ホンダが「薄く(Thin)、軽く(Light)、賢く(Wise)」をテーマに開発する次世代EVシリーズの中型SUVに位置づけられ、2026年から2030年までにグローバルで7モデルが投入される計画の一部です。
既存のSUVラインナップでは、ZR-Vも2025年7月3日に一部改良を受けて発売されています。今回の改良では、新たな外装塗料の採用が最大のポイントとなっています。
従来のアクリルメラミン素材から、より機能が向上した素材へクリア材を変更することで、ボディの艶感が増し、耐久性は従来と比較して1.5倍以上向上しています。この新塗料は、すでに「CIVIC RS」や「FREED」から適用が始められており、ホンダ車全体の品質向上の一環として導入されています。
また、原材料価格や物流費などの世界的な高騰に伴い、全国メーカー希望小売価格の改定も実施されています。これは市場環境の変化に対応した措置として理解されています。
ZR-Vは2022年に日本市場に投入されたミドルサイズSUVで、ヴェゼルとCR-Vの間を埋めるポジションとして好評を得ているモデルです。今回の改良により、さらなる商品力の向上が期待されています。
2025年のホンダSUVラインナップを俯瞰すると、同社の明確な市場戦略が見えてきます。まず、既存モデルの商品力向上を図りつつ、次世代技術への布石を着実に打っているという点が特徴的です。
WR-Vの改良では、価格帯を上げてでも内装品質を向上させる戦略を取っており、これは競合他社のコンパクトSUVとの差別化を図る狙いがあります。特に、インドからの輸入車という特性を活かしつつ、日本市場のニーズに合わせた仕様変更を行っている点は注目に値します。
CR-V e:HEV RSの投入は、ハイブリッド技術の成熟度を示すとともに、燃料電池車との棲み分けを明確にする戦略的な意味があります。走行性能重視のRSグレードを設定することで、スポーツ性を求めるユーザー層の取り込みを狙っています。
最も興味深いのは、Honda 0シリーズの展開です。2026年の投入を前に、プロトタイプの公開やイベントでの展示を通じて、段階的に市場の関心を高めている手法は、新技術の受容性を高める効果的なマーケティング戦略と言えるでしょう。
また、アキュラブランドでの先行展開を通じて、北米市場での反応を見極めてから日本市場への展開を図るという、リスクヘッジを考慮したアプローチも見て取れます。
これらの戦略により、ホンダは2025年から2026年にかけて、従来のガソリン車・ハイブリッド車から次世代EVまでの幅広いラインナップを構築し、多様化するユーザーニーズに対応する体制を整えていると分析できます。