超小型車2人乗りは、国土交通省が定める軽自動車規格内の車両として位置づけられています。具体的な規格基準は、全長2.5m以下、全幅1.3m以下、全高2.0m以下で、定格出力8kW以下(又は125cc以下)のエンジンを搭載し、乗車定員2人以下の車両として定義されています。
参考)https://www.mlit.go.jp/common/001000858.pdf
法制度上は「超小型モビリティ」と呼ばれ、地方公共団体が申請する認定制度によって公道走行が可能になります。一方、型式指定を受けた車両は全国どこでも公道走行が認められており、通常の軽自動車と同様の扱いとなります。運転には普通自動車免許が必要で、高速道路の走行は制限されています。
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これらの車両は、従来の軽自動車よりもさらに小型で環境性能に優れた「1~2人乗り程度の地域の手軽な移動の足」として位置づけられています。法制度の整備により、都市部の交通混雑緩和や環境負荷軽減への貢献が期待されています。
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超小型車2人乗りの最大の魅力は、驚くほど低い維持費です。原付ミニカー規格に分類される車両の場合、車検が不要で重量税もゼロです。自動車税(軽自動車税)は年額約2,000円程度と、一般的な軽自動車の10,800円と比較して圧倒的に安価です。
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自賠責保険料も年間約5,000円前後(12か月契約)と、軽乗用車の17,650円(24か月)と比較して大幅に安価です。これらの維持費を合計すると、年間7,000円程度で済むという画期的な低コストを実現しています。
本体価格については、製造メーカーや仕様により幅がありますが、110万円程度から購入可能な車種も登場しています。タケオカ自動車工芸の「ミリューR」は80万円という手頃な価格設定で、その先進的なデザインと性能を考慮すれば非常にリーズナブルです。維持費の安さと合わせて、経済的な負担を大幅に軽減できる移動手段として注目されています。
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超小型車2人乗りの優れた特徴の一つが、駐車スペースの省スペース性です。トヨタC+podを例にとると、プリウス1台分の駐車スペースに2台を横置きで駐車することが可能です。アルファード1台分の駐車スペースにも2台置けるほどの省スペース設計となっています。
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国土交通省の調査によると、小型乗用車の駐車枠4台分に5台の超小型モビリティを駐車することが可能で、縦横方向に車路と面している駐車枠では、小型乗用車の幅方向に超小型モビリティを駐車させることで1台分の枠に2台以上を駐車できます。超小型モビリティが占有する面積は小型乗用車の枠の4割程度という効率性を実現しています。
参考)https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001364971.pdf
これにより、都市部の限られた駐車スペースを有効活用でき、駐車場不足の解消にも貢献します。最小回転半径3.9mという群を抜く小回り性能により、狭い駐車場での駐車も楽々と行えます。駐車場運営者にとっては、同一面積により多くの車両を収容できるメリットがあります。
超小型車2人乗りは、日常の様々な用途で活躍する実用的な移動手段です。日本国内の自家用乗用車の平均乗車人数は平日で1.3人であることから、通勤・通学や送迎、買い物など短距離移動が中心となる用途に最適化されています。
トヨタC+podを例にとると、荷室は長さ335mm×幅619mm×高さ767mmと見た目以上に広く、買い物などの日常使いから介護訪問巡回などのビジネス利用まで様々な用途で活用できます。乗車スペースには中央にカップホルダー2個、助手席にオープントレイなど便利な収納スペースも備えられています。
狭い路地での対向車とのすれ違いもスイスイと行え、細い道での運転も安心です。電気駆動システムにより静かで滑らかな走行を実現し、低騒音環境に貢献するため、住宅街での使用にも適しています。都市部での短距離移動を効率的かつ快適に行える、次世代のパーソナルモビリティとして注目されています。
超小型車2人乗りの運転には、車両の分類により異なる免許が必要です。超小型モビリティ(型式指定車・認定車)は軽自動車に区分されるため、普通自動車免許が必要です。一方、1人乗りのミニカーは第一種原動機付自転車扱いですが、道路交通法では普通自動車として分類されるため、同様に普通自動車免許が必要です。
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安全性については重要な課題があります。小型の車体により衝撃を吸収するためのスペースが確保できないことや、一般車両との質量差が大きいことから、軽自動車を含めた一般的な自動車と同等の衝突安全性能を備えることはできません。一般の交通環境で事故が発生した場合、一般の乗用車に比べて相対的に乗員が大きな被害を受ける危険性が高いと考えられています。
参考)https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001874958.pdf
また、高速道路は走行できず、認定制度の車両については走行地域が制限される場合があります。一回の充電で走れる距離が短く、充電時間が長いという運用面でのデメリットも存在します。これらの制約を理解した上で、適切な用途での活用が求められます。
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