バックドアが開けたままの状態でゆっくり落ちてくると、出費が2倍に膨らむ場合があります。
バックドアステー(バックドアダンパー、リアゲートダンパーとも呼ばれる)は、ハッチバックやSUV・ミニバンのバックドアを開けたとき、ドアが落ちてこないように支える棒状のパーツです。内部にガスやオイルが封入されており、その圧力でバックドアの重さに対抗して「開いたまま静止させる」機能を持っています。ショックアブソーバーの小型版と考えると分かりやすいでしょう。
このパーツが劣化すると、どんな症状が出るのでしょうか?代表的なものは3種類あります。①バックドアを開けても途中から下がってきてしまう、②開けたときにカクカクした感触がある(オイル漏れのサイン)、③全力で開けないと保持できなくなる、です。
特に危険なのが①のケースです。荷物を載せようとしてかがんだ瞬間に落下してくるため、頭や背中を直撃する事故が実際に発生しています。バックドアは車種によっては10〜20kg以上の重量があり、油断は禁物です。
症状が出たら早めの交換が原則です。開閉頻度や環境にもよりますが、目安として製造から10年前後がバックドアステーの交換を検討するタイミングとされています。気になり始めたら、まずは点検を依頼しましょう。
| 症状 | 状態 | 対応 |
|---|---|---|
| 開けても途中で下がる | ガス抜け・ダンパー抜け | 交換必須 |
| カクカクした感触 | 内部オイル漏れ | 早めに交換 |
| 完全には開かない | ガス圧低下 | 様子見→交換 |
| 異音(ギィー)がする | 初期劣化 | シリコンスプレーで改善する場合あり |
なお、異音の場合はシリコンスプレーを吹きかけると一時的に改善することがあります。ただし「CRC556」のような鉱物油系のオイルはシールを傷める可能性があるため、バックドアステーには使わないよう注意してください。シリコンスプレーを選ぶのが条件です。
費用は「部品代+工賃」で構成されます。依頼先によって相場が異なるため、事前に把握しておくことが大切です。
まず部品代ですが、純正部品を使う場合は左右1本あたり5,000〜15,000円程度が一般的な範囲です。車種によって大きく差があり、ディーラーで注文した場合に「部品だけで片側20,000円かかる」というケースもあります(日産系の一部モデルなど)。社外品やオークション・通販で入手した場合は1本あたり2,000〜7,000円程度で済むこともあります。
工賃は依頼先によって以下のように変わります。
つまり、費用の目安は「プロ依頼なら左右トータル2万〜4万円、DIYなら部品代のみ」が基本です。
実例として、スズキ「エブリイ」での整備工場での実際の交換費用は左右トータル26,000円という事例があります。ダイハツ「ミライース」では、ディーラーで部品代5,830円+工賃2,000円=7,830円という非常に安価な事例もあります。車種によってこれほど差があることは意外と知られていません。
また、カープレミアパーツ(格安の互換品ネットワーク)を利用すると平均費用が21,400円に下がるデータもあります。これは一般部品の26,740円に比べて約20%のコスト削減になります。コストを重視するなら、部品の調達先を相談してみるのが一つの手です。
DIYで交換することは技術的には可能です。実際に多くの車好きが自力で交換しており、工具もマイナスドライバーや内張はがしがあれば足りる場合がほとんどです。費用は純正部品をディーラーで注文した場合でも1本あたり5,830円〜8,000円程度であり、社外品ならAmazonや通販で1本2,000〜4,000円台で手に入ります。
ただし、DIYには注意が必要です。最も重大なリスクは「作業中にバックドアが落下すること」です。バックドアステーを外した状態では、バックドアを支えるものがなくなります。頭や手に直撃すれば打撲・裂傷では済まない可能性があります。
そのため、必ず2人以上で作業を行うのが原則です。1人がバックドアを支え、もう1人がステーを取り付けるという分担で進めることで、落下リスクを最小化できます。1人作業の場合は、長さ1,800mm程度の木材を地面とバックドアの間に差し込んで固定するか、「リアゲートストッパー」と呼ばれる専用工具を使うと安全です。
クリップ式のバックドアステー(ダイハツ・ミライースなど)の交換手順は以下の通りです。
「片側だけ弱っているから、片側だけ交換すればいい」と考えるのは要注意です。片側だけ交換すると左右で力のバランスが崩れ、バックドアが斜めに引っ張られてヒンジやゴムシールに余計な負荷がかかります。左右同時交換が基本です。
DIYで節約した工賃は数千円〜1万円程度ですが、落下させてバックドアを傷つけたり怪我をしたりするリスクを考えると、安全に自信がない場合はプロに任せるのが賢明な判断です。これは判断の分かれ目です。
DIYでのリアゲートダンパー交換方法(ミライース実例):工具・手順・処分方法まで詳しく解説されています
バックドアステーに関するリコールは、複数の国産メーカーで発生しており、対象車であれば費用ゼロで交換できます。「費用がかかると思って放置していた」という人が多いのですが、実はリコール対象だったというケースは少なくありません。交換費用がゼロになる可能性があります。
主なリコール事例は以下の通りです。
特にダイハツのタントについては、実際にステーが破損してユーザーが負傷した事故が発生しており、他人事ではありません。
自分の車がリコール対象かどうかは、国土交通省の「自動車不具合情報ホットライン」または消費者庁の「リコール情報サイト」でナンバーや車台番号を使って無料で確認できます。購入から5年以上経過したSUV・ハッチバック・ミニバン所有者は、一度確認しておくことを強くおすすめします。
消費者庁リコール情報サイト:車名・メーカーからリコール対象かどうかを無料で検索できます
バックドアステーの交換を依頼する際、どの業者に頼むかで費用が数千円〜数万円変わることがあります。賢い選び方を知っておくだけで損をしません。
まず最初に確認したいのが「リコール対象かどうか」です。前述の通り、無償交換に該当すれば費用は一切かかりません。これが最優先の確認事項です。
リコール対象外であれば、次に考えたいのが「純正品か社外品か」という選択です。純正品はメーカー品質が保証されている反面、費用が高くなりがちです。一方、社外品(通販やモノタロウで購入できるアフターマーケット品)は純正比で30〜50%程度安くなることがあります。ただし、品質に差がある場合もあるため、信頼できるブランドやレビューを参考にして選ぶのが条件です。
依頼先の選択肢と特徴は以下の通りです。
見積もりは複数の業者に取るのが基本です。同じ作業でも業者によって工賃が1万円以上変わることは珍しくありません。電話やネット予約で概算見積もりだけでも問い合わせてみると、損をしない判断ができます。
また、バックドアステーの交換と同じタイミングで、バックドアのヒンジやウェザーストリップ(ゴムシール)の状態も確認してもらうと良いでしょう。ヒンジに錆が進んでいる場合は早めの対処が必要で、放置するとバックドア全体の交換(国産車で10万円以上)が必要になるリスクがあります。点検をセットで頼むのが賢い使い方です。
費用を抑えることも大切ですが、バックドアステーの劣化による落下事故は本当に危険です。「少し下がってきても手で支えれば大丈夫」という状況が続いているなら、それは交換のサインです。放置すると完全に壊れた際に修理費が増えるだけでなく、ケガのリスクも高まります。早めの対処が最終的には費用の節約につながります。
尾形自動車工業:スズキ エブリイのバックドアステー交換実例(費用26,000円)と整備の注意点

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