ホンダは2025年9月19日、軽二輪スポーツモデル「CL250」の一部仕様変更を発表するとともに、電子制御技術「Honda E-Clutch」を搭載した「CL250 E-Clutch」を新たに設定し、10月24日(金)に発売することを正式に決定しました。
この発売日の決定は、従来のCL250ユーザーを含む多くのライダーから寄せられた改善要望への応答となっています。特にクラッチ操作の煩雑さや足つき性の改善を求める声が多かったため、ホンダはこれらのニーズに応える形で本モデルの開発を加速させました。
発売初年度の販売計画は国内年間2,300台となており、スクランブラータイプの軽二輪バイクとしての着実な市場投入を見込んでいます。既存のCL250ユーザーの中には、新型への乗り換えを検討する層も出始めており、販売店では事前予約の受け付けが開始されています。
CL250 E-Clutchの最大の特徴は、Honda E-Clutch技術の搭載です。これは発進、変速、停止など駆動力が変化するシーンで、ライダーのクラッチレバー操作を必要とせず、最適なクラッチコントロールを自動制御する電子制御技術です。
従来のマニュアルクラッチモデルでは、発進時やシフトチェンジ時に繊細なクラッチ操作が必須でしたが、E-Clutch搭載型では、ライダーはアクセルとシフトペダルのみに専念できます。特に渋滞時の街乗りやツーリング中の連続的なシフト操作において、手の疲労が大幅に軽減されるメリットがあります。
興味深い点として、このシステムはハイブリッド制御を採用しており、ライダーが任意にクラッチレバー操作を行った場合、システムが一時的に無効になり、手動によるクラッチコントロールへシームレスに切り替わります。常時無効化はできない設計となっていますが、これは安全性と利便性のバランスを考慮した仕様と言えます。
今回の仕様変更では、足つき性と乗車時の快適性が大幅に改善されています。メインステップの形状がより足つき性に配慮した設計へと変更され、特に身長の低いライダーや女性ライダーからの要望に応える形になっています。
シート内部の素材も変更されており、走行中の快適性に直結する改善です。長時間のツーリングやキャンプ地への移動など、様々なシーンでの乗り心地が向上することが期待されています。
さらに注目すべき点は、メーターパネルの改善です。構造を見直すことで太陽光の反射を抑え、日中の視認性が大幅に向上しました。これまでのCL250では、晴天時にメーターが見づらいという課題がありましたが、新型ではその問題が解決されています。
価格面では、標準型のCL250が649,000円(消費税込み)に対し、CL250 E-Clutchは704,000円(消費税込み)となり、その差は55,000円です。本体価格は640,000円(消費税抜き)で、電子制御クラッチシステムの搭載による価格上乗せは妥当な範囲と業界では評価されています。
カラーバリエーションについて、標準型CL250には「パールカデットグレー」の1色が設定されています。一方、CL250 E-Clutchには「パールダスクイエロー」という鮮やかな黄色系と、「マットガンパウダーブラックメタリック」という精悍な黒系の2色が用意されています。
特に「パールダスクイエロー」はアクティブなスクランブラーイメージを強調するカラーリングで、キャンプやトレイルライド向けのユーザーに人気が集中すると予想されます。一方「マットガンパウダーブラックメタリック」は都市部でのストリート利用を意識した落ち着きのある色合いです。
ホンダは同時に、これらモデルの使い勝手や個性をより一層際立たせるために、純正アクセサリーの一部アイテムのカラーリングも変更しました。これにより、所有者がバイクを自分好みにカスタマイズする際の選択肢が大幅に拡がっています。
走行性能の面では、エンジンスペックは従来のCL250と基本的に同じく、水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒、総排気量249ccです。最高出力は18kW(24PS)/8,500rpm、最大トルクは23N・m(2.3kgf・m)/6,250rpmと、軽二輪クラスで十分なパフォーマンスを発揮します。
E-Clutch搭載に伴い、車両重量は172kgから175kgへわずかに増加していますが、この軽量性は市街地走行とツーリングの両シーンで優れた操作性を維持します。燃費性能も堅調で、WMTCモード値は34.0km/L(1名乗車時)と、長距離ツーリングに適した燃費特性を備えています。
タイヤサイズは前輪110/80R19M/C、後輪150/70R17M/Cで、オンロード・オフロード兼用のセミブロックパターンが採用されており、街乗りからキャンプ地へのアクセスロードまで、多彩な走行シーンに対応できる設計になっています。
ブレーキシステムは前後とも油圧式ディスクを採用し、軽二輪にしては制動力が充実しており、急制動時の安全性も確保されています。
CL250とCL250 E-Clutchのいずれを選ぶかは、ライダーの経験度と使用シーンによって変わります。マニュアルクラッチ操作の煩雑さを避けたいユーザー、特に初心者や長時間ライディングで手の疲労を軽減したいユーザーにはE-Clutch版が適しています。
一方、クラッチ操作を含めた二輪車の操作性を楽しみたい、いわゆるライディング好きなユーザーには、従来の標準型も依然として魅力的な選択肢です。また、55,000円の価格差を考慮すると、予算内に収まる標準型を選ぶというのも合理的な判断基準となり得ます。
ホンダの提供している豊富な純正アクセサリーラインアップも検討対象です。ヘッドライトバイザー(29,260円)、ナックルガード(20,020円)、トップボックス38L(38,720円)など、カスタマイズの幅が広く、購入後も長く愛用できる環境が整っています。
ホンダ公式サイト内、CL250に関する詳細スペック情報。
ホンダ CL250 E-Clutch 公式プレスリリース - 10月24日発売の全仕様と価格情報
このプレスリリースでは、主要諸元表を含む完全な技術仕様、カラーバリエーション、純正アクセサリーの全ラインアップと価格が掲載されており、購入検討時の参考情報が充実しています。

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