優先道路交差点徐行の基本ルールと安全確認のポイント

優先道路の交差点では徐行義務が免除されますが、本当に安全なのでしょうか?標識の見分け方や道路交通法のルール、事故を防ぐための注意点を詳しく解説します。運転中の安全確認はどこまで必要なのでしょうか?

優先道路交差点徐行の基本

この記事でわかること
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優先道路の定義

交差点における優先通行が認められる道路の条件と法的根拠を解説

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徐行義務の有無

優先道路走行時に徐行が必要な場合と免除される場合の違い

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安全確認のポイント

事故を防ぐための具体的な注意点と運転者の義務

優先道路交差点における徐行義務の基本

優先道路とは、交差点において他の道路より優先的に通行できる道路のことで、道路交通法第36条で明確に定められています。優先道路を走行する車両は、信号のない交差点であっても徐行義務が免除されるという重要な特徴があります。これは交通の流れをスムーズにし、渋滞を防ぐために設けられた制度です。
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道路交通法第42条では「左右の見通しのきかない交差点」では徐行が必要とされていますが、優先道路を通行している場合はこの徐行義務が除外されています。この制度は昭和46年に確立されたもので、最高裁判所の判例を受けて警察庁が法律を改正した経緯があります。優先道路にはセンターラインや車両通行帯が設けられているため、歩行者にも分かりやすく、横断する際に注意を払うことが期待できるという理由から徐行義務が免除されています。
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ただし、優先道路を走行していても、道路状況に応じて他の車両や歩行者に注意し、安全な速度と方法で走行する義務があります。優先道路だからといって全く注意が不要というわけではなく、交差点の状況を確認しながら走行することが重要です。
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優先道路交差点の見分け方と標識

優先道路を見分けるには、主に4つの方法があります。第一に、青地に白で描かれた「優先道路標識」が最も確実な判断材料となります。この標識では、縦に太く描かれた道路が走行中の優先道路を表し、横に交差する細い道路が非優先道路を表しています。
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第二に、交差点内のセンターライン(中央線)の有無で判断できます。優先道路には交差点の中心まで途切れずにセンターラインが引かれています。自分の道路の途中までセンターラインが引かれていても、交差点で途切れている場合は優先道路にはなりません。
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第三に、停止線や一時停止・徐行の標識でも判断可能です。自分が走行している道路に一時停止や徐行の標識がある場合、対向車側が優先道路となります。「前方優先道路」と記載された補助標識や、道路に描かれた逆三角形マークも前方優先道路を示します。
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第四に、道路幅で判断する方法があります。停止線も標識もセンターラインもない場合、明らかに道幅が広い方が優先道路となります。それでも判断できない場合は、左側から来る車両が優先される「左方優先」のルールが適用されます。
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優先道路交差点での安全確認義務

優先道路を走行している場合でも、運転者には安全確認の義務があります。優先道路側は基本的に徐行や一時停止義務はありませんが、交差点の状況に応じて他の車両や歩行者に注意し、安全な速度と方法で走行する必要があります。優先意識を持ちすぎて周囲の確認を怠ると、重大な事故につながる危険性があります。
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交差点を右折や左折する際には、優先道路であっても徐行が必要です。道路交通法第34条により、左折時はできる限り道路の左側端に沿って徐行し、右折時は交差点の中心の直近の内側を徐行しなければなりません。さらに道路交通法第37条では、交差点での優先順位が「①直進車、②左折車、③右折車」と定められており、これに違反すると反則点数1点、反則金6,000円の罰則が科されます。
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歩行者保護も重要な義務です。道路交通法第18条により、歩行者のそばを通過する際は安全な間隔を保持するか徐行しなければなりません。横断歩道に近づく場合は、横断しようとする歩行者がいる際に一時停止し、その通行を妨げないようにする必要があります。優先道路であっても、交差する道路から車が出てきそうなときは注意が必要で、すぐ脇から車両や歩行者が飛び出してくる可能性を常に想定して運転することが求められます。
参考)十字路の優先順位

優先道路交差点での違反と罰則

優先道路に関する違反には、明確な罰則が設定されています。優先道路を通行する車両の進行を妨害した場合、「優先道路通行車妨害等」の違反となり、反則点数2点、普通車で反則金7,000円が科されます。道路交通法第43条により、一時停止の標識がある場所で停止線の直前で一時停止しなかった場合も、反則金5,000円以上と2点の加点が科されます。
参考)反則行為の種別及び反則金一覧表 警視庁

徐行が必要な場所で徐行しなかった場合、「徐行場所違反」として反則点数2点、普通車で反則金7,000円が科されます。これは優先道路以外の場所や、交差点で右左折する際に適用されます。交差点優先車妨害違反も存在し、交差点で右折する際に直進車や左折車の進行を妨害すると、反則点数1点、反則金6,000円の罰則が設けられています。​
踏切での一時停止無視の場合は、さらに厳しい罰則が適用され、反則金6,000円以上が科されます。優先道路は道路交通法第36条でれっきとしたルールとして定められており、違反すると罰則や減点の処罰を受けなければなりません。運転者はこれらの罰則を理解し、交通ルールを遵守することが求められます。
参考)一時停止無視による事故の過失割合は?修正要素や決定方法を状況…

優先道路交差点での過失割合と事故リスク

優先道路で交通事故が発生した場合、基本的な過失割合は優先道路側が10%、非優先道路側が90%となります。この割合は「別冊判例タイムズ38」で示されており、具体的な事故の場面では優先車にも前方不注視や若干の速度違反などの過失が認められることが多いためです。優先道路を走行していても、わずかながら過失が発生する理由は、道路上に進入する車両や歩行者に注意する義務があるためです。
参考)優先道路側の過失割合がゼロになる場合とならない場合 - 扇法…

しかし、優先道路に該当しても優先性が明らかとはいえない場合には、一時停止の規制がある場合の基準(一時停止違反車の基本的な過失割合が80%)で判断されることがあります。逆に、優先道路に該当しなくても優先道路の場合と同じ基準(非優先道路側が90%)で過失割合が判断される場合もあります。交差点の中央線がほぼ消失していた場合など、実際の道路状況によって判断が異なるケースもあります。
参考)交通事故の過失割合|優先道路の定義と判例の解説|交通事故コラ…

優先道路の見分けがつかない交差点では、左方優先の原則に従い、優先左方車両40%、非優先右方車両60%の過失割合となります。ただし、脇見運転やスピード違反などの著しい過失や重大な過失がある場合、過失割合に大きな修正が加えられます。著しい過失がある場合は15%、重大な過失がある場合は25%の修正が行われるため、優先道路を走行していても安全運転を心がけることが極めて重要です。
参考)左方優先とは?優先道路の見分け方や交通事故時の過失割合をわか…

参考リンク(優先道路の法的根拠と詳細な解説)。
道路交通法 - e-Gov法令検索
参考リンク(優先道路に関する過失割合の詳細)。
優先道路側の過失割合がゼロになる場合とならない場合 - 扇法律事務所