ウォッシャー液代用は水道水で可能?リスクと安全な方法

車のウォッシャー液が切れた時、水道水や食器用洗剤で代用できるのか気になりませんか?コスト削減の魅力はありますが、実は様々なリスクが潜んでいます。正しい知識を身につけて安全なカーライフを送りませんか?

ウォッシャー液代用の真実とリスク

ウォッシャー液代用の基本知識
💧
水道水代用のリスク

凍結・腐敗・ノズル詰まりなど様々な問題が発生する可能性

🧽
洗剤代用の注意点

分量調整が困難で泡立ちすぎやモーター負荷の危険性

⚠️
専用品使用の重要性

洗浄・凍結防止・撥水など多機能性が安全運転をサポート

ウォッシャー液を水道水で代用する危険性

ウォッシャー液の代用として水道水を使用することは、一見コストを抑える良い方法に思えますが、実際には多くのリスクが伴います。

 

水道水に含まれるカルキなどの成分が、ウォッシャー液が通る管やノズルで目詰まりを起こし、故障の原因となってしまいます。また、水道水は時間の経過とともに腐敗が進み、ウォッシャータンクやホース内でカビやコケが発生する可能性があります。

 

特に問題となるのが、虫の死骸や排気ガスの油分など、水だけでは除去が困難な汚れです。これらの頑固な汚れを取り除くには、洗浄成分が配合されたウォッシャー液の使用が不可欠です。

 

さらに深刻なのが凍結の問題です。寒冷地で水道水をウォッシャー液代わりに使った場合、タンク内で凍結して使用できなくなる恐れがあります。使用できたとしても、噴射した瞬間にフロントガラスで凍り付いて視界を奪われるという危険性もあります。

 

ウォッシャー液を食器用洗剤で代用する方法と問題点

インターネット上では、食器用洗剤を使ってウォッシャー液を自作する方法が紹介されていますが、これにも多くの問題があります。

 

食器用洗剤を使った自作方法は、タンクに水を満たし、食器用洗剤を数滴たらすというものです。しかし、水と洗剤の分量を間違えると泡が出すぎるケースがあり、液の粘度が変わるため、管やモーターに負荷をかけてしまう可能性があります。

 

薄める割合が難しく、泡切れやノズル詰まりの原因となる可能性もあるため、専門家は個人的にはあまりおすすめできないとしています。毎回完璧な分量で自作できれば問題はありませんが、手間や故障のリスクを考えると現実的ではありません。

 

また、食器用洗剤には凍結防止成分が含まれていないため、冬場の使用では水道水と同様の凍結リスクが発生します。

 

ウォッシャー液の正しい補充方法と注意点

ウォッシャー液の補充は、手順さえ覚えてしまえば初心者でも簡単にできるメンテナンスです。

 

まず、エンジンが冷めた状態でボンネットを開けて固定し、ウォッシャータンクのキャップを見つけます。キャップには窓に液体を噴射しているようなマークが描かれています。

 

前に入れたものと異なるタイプのウォッシャー液を使う場合は、ウォッシャータンクを空にしておく必要があります。古いウォッシャー液の残量が少なければ使い切るまで噴射し続けることで空になりますが、残量が多い場合はモーターの負担を減らすために数回に分けて作業するか、新品の灯油ポンプである程度抜いてから噴射して空にしましょう。

 

補充の際は、100円ショップなどで手に入る「じょうご」があると便利です。もしこぼれてしまっても有害なものではないので心配する必要はありません。

 

注意点として、タイプの違うウォッシャー液を混ぜてしまうと、性能が落ちたりノズルやポンプが詰まったりする原因になります。特に油膜除去タイプと撥水タイプは真逆の効果をもつため、混ぜると悪影響を及ぼしやすくなります。

 

ウォッシャー液の種類と選び方のポイント

ウォッシャー液には、大きく分けて「原液タイプ」と「希釈タイプ」の2種類があります。

 

原液タイプは、そのままウォッシャータンクに入れて使用できるもので、アルコール濃度が高く凍結しにくいため、冬期の寒冷地用としても使われます。一方、希釈タイプは水道水で薄めて使用できるもので、原液タイプと比べると経済的なのが特徴です。

 

ただし、希釈タイプを使用する際は薄め過ぎると凍結する可能性があるため、希釈濃度は商品の規定を守る必要があります。希釈用のものをそのまま使用すると詰まりやシミを起こす場合があります。

 

ウォッシャー液には、洗浄成分のほかに凍結防止・撥水・油膜取り・解氷など有効な、さまざまな成分が含まれています。使用環境や季節に応じて適切なタイプを選ぶことが重要です。

 

フロントガラスコーティングをされている方は、「フッ素系」の撥水コートはコーティングに影響を与えませんが、「シリコン系」の撥水コートは落ちてしまう場合があるため注意が必要です。

 

ウォッシャー液代用に関する業界の見解と専門家の意見

カー用品店の担当者によると、ウォッシャー液の代用について「物理的に考えると、一時的に応急処置として水道水などを利用することは可能」としながらも、「ウォッシャー液は単にフロントガラスをきれいにするだけではなく、洗浄のほか凍結防止の成分などが含まれているものもあるため、ほかのものでの代用は推奨できない」と明確に述べています。

 

オートバックスの広報担当者も同様の見解を示しており、専用品の使用を強く推奨しています。

 

業界全体として、短期的なコスト削減よりも長期的な安全性と車両の健全性を重視する傾向があります。ウォッシャー液自体がそれほど高価なものではないことを考慮すると、手間や故障のリスクを考えて市販のものを使用するのが最も合理的な選択とされています。

 

また、近年では環境への配慮から、生分解性の高いウォッシャー液の開発も進んでおり、安全性と環境負荷の両面で専用品の優位性が高まっています。

 

実際の故障事例として、水道水の長期使用によりウォッシャーポンプが故障し、修理費用が数万円かかったケースも報告されており、代用によるコスト削減効果は疑問視されています。

 

さらに、保険会社の中には、適切でない代用品の使用による故障については保険適用外とする場合もあり、リスク管理の観点からも専用品の使用が推奨されています。

 

メーカー各社も取扱説明書において、指定された専用品以外の使用を禁止しており、代用品使用による故障は保証対象外となることが明記されています。これらの事実を踏まえると、ウォッシャー液の代用は短期的な節約にはなっても、長期的には大きな損失につながる可能性が高いと言えるでしょう。