トヨタ ヴェロズは2022年2月24日にタイで発表された新型スポーティミニバンです。このモデルは、トヨタとダイハツが共同開発したアバンザのスポーティバージョンとして2015年に初代が登場し、今回が新型となります。
新型ヴェロズのボディサイズは以下の通りです。
このサイズは日本のシエンタ(全長4,260mm)よりも大きく、ノア(全長4,695mm)よりも小さい絶妙なポジションにあります。新型では新しいFFプラットフォームを採用し、2NR-VE型1.5リットル直列4気筒ガソリンデュアルVVT-iエンジンを搭載しています。
最大出力は106hp/6000rpm、最大トルクは14.1kgm/4200rpmを発生し、トランスミッションにはCVTを組み合わせています。燃費性能は最も優れるモデルで17.9km/リットルを実現しており、実用性も十分に確保されています。
新型ヴェロズの最大の特徴は、その力強くスポーティなデザインにあります。フロントマスクには、LEDヘッドライトとブラック仕上げの大型メッシュグリルを採用し、SUVのような迫力ある印象を演出しています。
フロントマスクの正面にはクロームのボーダーラインが配され、より洗練された印象を与えています。大径ホイールとホイールアーチの組み合わせにより、SUVのような雰囲気を醸し出しているのも特徴的です。
リアデザインでは、ガーニッシュで横一列につながるテールランプが印象的で、現代的なデザイントレンドを取り入れています。ボディサイドには、テールランプまで伸びるシャープなラインが配され、スポーティさを強調しています。
これらのデザイン要素により、従来のミニバンとは一線を画すスタイリッシュな外観を実現しており、若い世代のファミリー層にも訴求力の高いデザインとなっています。
トヨタ ヴェロズは主にアジア新興国市場をターゲットとした戦略的なモデルです。生産はインドネシア、マレーシア、ベトナムで行われ、インドやタイなどのアジア新興国各地域で販売されています。
タイ国での価格設定は以下の通りです。
インドネシアでは最上グレードで3億2,350万ルピア(約262万円)となっており、各国の経済状況に応じた価格設定が行われています。
この価格帯は、現地の中間所得層が手の届く範囲に設定されており、7人乗りの実用性とスポーティなデザインを兼ね備えたモデルとしては非常に競争力のある価格となっています。
日本では販売されていませんが、もし導入された場合、シエンタとノアの中間に位置する魅力的な選択肢となる可能性があります。
新型ヴェロズは、ダイハツの最新「DNGA-B」プラットフォームを採用しており、優れた空間効率を実現しています。このプラットフォームは、日本のダイハツロッキーやトヨタライズにも使用されているものをストレッチしたバージョンと考えられています。
特筆すべきは最低地上高が205mmとSUV並みに高く設定されていることです。これにより、舗装されていない道路や段差の多い道路でも安心して走行できるクロスオーバー的な性格を持っています。
安全装備面では、予防安全装備として斜め後方を監視するブラインドスポットモニタリングや車線逸脱警報に使用するカメラなど、自動ブレーキにつながる基盤技術が搭載されています。
また、ボディサイズのわりに広い3列目シートとラゲッジスペースを確保している点も大きな技術的特徴です。これは、DNGA-Bプラットフォームの優れた設計により実現されており、コンパクトなボディでありながら7人がゆったりと乗車できる空間を提供しています。
トヨタ ヴェロズは現在日本では販売されていませんが、自動車メディアを中心に日本導入を熱望する声が高まっています。その理由は、日本市場におけるコンパクトミニバンとミドルクラスミニバンの間に存在するサイズギャップを埋める可能性があるからです。
現在の日本市場では、シエンタ(全長4,260mm)とノア/ヴォクシー(全長4,695mm)の間に約435mmのサイズギャップが存在します。ヴェロズの全長4,475mmは、まさにこのギャップを埋める絶妙なサイズとなっています。
日本の道路事情を考慮すると、ヴェロズのサイズは都市部での取り回しの良さと、7人乗りの実用性を両立できる理想的なバランスと言えるでしょう。特に、SUVライクなデザインと高い最低地上高は、アウトドア志向の強い日本のユーザーにも訴求力があります。
ただし、日本導入には安全基準の適合や右ハンドル化、日本市場向けの装備充実などの課題があります。また、価格設定も重要な要素となり、シエンタとノアの価格帯を考慮した戦略的な価格設定が必要になるでしょう。
現在のところ具体的な日本導入計画は発表されていませんが、日本市場でのミニバン需要とSUV人気を考慮すると、将来的な導入の可能性は十分にあると考えられます。