トヨタ車体が2023年10月のジャパンモビリティショー2023で発表した「X-VAN GEAR CONCEPT(クロスバンギアコンセプト)」は、2025年10月の発売が予定されています。このコンセプトカーは「多様化するライフスタイルに合わせ、すべての人が人生を楽しむ次世代のキャブワゴン」として開発され、ミニバンの利便性にSUVの頼もしさを組み合わせた革新的なモデルです。
市販化に向けた動きは着実に進んでおり、トヨタ車体による具体的な開発スケジュールも明らかになっています。SUVとミニバンを融合させた新ジャンルの開拓として、業界内でも大きな注目を集めているのが特徴です。
現在のところ、正式な発売日の発表はありませんが、コンセプトカーの完成度の高さから、市販化への期待が高まっています。トヨタグループの中核ボディメーカーであるトヨタ車体が手がけることで、実現可能性も高いと考えられています。
X-VANの予想価格は400万円前後とされており、同クラスのミニバンやSUVと比較して競争力のある価格設定が期待されます。この価格帯は、現在のノア・ヴォクシーの上級グレードやアルファードのエントリーモデルと同等レベルに位置します。
価格設定の根拠として、以下の要素が考慮されています。
競合車種との比較では、三菱デリカD:5が唯一のSUVミニバンとして市場を独占していましたが、X-VANの登場により新たな選択肢が生まれることになります。特に、トヨタブランドの信頼性と最新技術の組み合わせは、大きな競争優位性となるでしょう。
X-VANのボディサイズは全長4695mm×全幅1820mm×全高1855mmで、乗車定員は6人となっています。これはノアとほぼ同等のサイズでありながら、SUVらしい力強さを表現したデザインが特徴です。
パワートレインには2つの選択肢が用意されます。
ガソリンエンジン仕様
ハイブリッド仕様
駆動方式はFF(前輪駆動)と4WD(四輪駆動)の両方が設定され、様々な使用環境に対応します。特に4WDシステムでは、リアモーターが100km/h以上の領域まで積極的にアシストすることで、高速域での走行性能も向上しています。
X-VANの最大の特徴は、全ドアにスライドドアを採用した画期的な設計です。この革新的なドア構造により、狭い駐車場でも楽々と乗降できる利便性を実現しています。従来のミニバンでは後席のみスライドドアでしたが、X-VANでは運転席・助手席も含めて全てのドアがスライド式となっています。
内装面では、シンプルにまとめた運転席まわりと、明るくソファーのようなシートが特徴的です。開放的な天井設計により、まるでリビングのような快適な室内空間を実現しています。
意外な技術として注目されるのが、高密度電池セルの採用とリダクションギヤ部分のコンパクト化です。これにより、ハイブリッドシステムの効率性を大幅に向上させながら、室内空間の確保も両立しています。
さらに、TNGAプラットフォームの採用により、従来のミニバンでは実現困難だった高い走行性能と燃費性能の両立を図っています。
X-VANの登場は、国内自動車市場に大きなインパクトを与えると予想されます。現在、SUVは国内新車販売の約30%を占める人気ジャンルですが、ミニバンベースのSUVは三菱デリカD:5の独壇場でした。
トヨタという強力なブランド力を背景に、X-VANは新たな市場セグメントを創出する可能性があります。特に、以下のような需要が期待されます。
将来的には、X-VANをベースとした派生モデルの展開も考えられます。例えば、より商用車寄りの仕様や、プレミアム志向の上級モデルなど、多様なニーズに対応したラインナップ拡充が期待されます。
また、電動化技術の進歩に伴い、将来的にはプラグインハイブリッドや完全電気自動車バージョンの投入も視野に入れられるでしょう。トヨタの電動化戦略の一翼を担う重要なモデルとして、X-VANの動向は業界全体に影響を与える可能性があります。
市場予測では、年間販売台数は2万台程度と見込まれており、ニッチながらも確実な需要を見込める新ジャンルとして位置づけられています。