新型4ランナーは2024年4月9日に北米で発表され、実に15年ぶりのフルモデルチェンジを実現しました。第6世代となる今回のモデルは、トヨタのグローバルプラットフォーム「TNGA-F」を採用し、ボディ・オン・フレーム構造による高い剛性と耐久性を実現しています。
ボディサイズは全長4950mm×全幅1976mm×全高1798mmで、ホイールベースは2850mmとなっています。従来モデルと比較して、より力強く洗練されたデザインに進化し、初代および第2世代の4ランナー、日本仕様のハイラックスサーフをオマージュしたアレンジが随所に施されています。
特に注目すべきは、ルーフ部にまで回り込ませた「ラップオーバー」リアクォーターウィンドウや昇降式ガラスを組み込んだ垂直基調のリアゲートなど、かつての4ランナーおよびハイラックスサーフを彷彿とさせるデザイン要素が復活している点です。
新型4ランナーには2つのパワートレインが用意されています。まず、「i-FORCE」と呼ばれる2.4L直列4気筒ターボエンジンは、最高出力278馬力、最大トルク430Nmを発生し、EPA推定値で高速道路走行時11.0km/Lの燃費性能を実現しています。
さらに注目すべきは「i-FORCE MAX」ハイブリッドシステムです。同じ2.4Lターボエンジンに48馬力のモーターを組み合わせ、システム全体で最高出力326馬力、最大トルク630Nmという圧倒的なパワーを発揮します。このハイブリッドシステムは、従来のV8エンジンに匹敵する性能を持ちながら、EPA推定値で10.2km/Lという優れた燃費性能も実現しています。
駆動方式は2WD、パートタイム4WD、フルタイム4WDの3種類が用意され、i-FORCE MAXを搭載するグレードには電子制御式センターデフロック機能付きフルタイム4WDが標準装備されています。
新型4ランナーの目玉となるのが、新設定の「トレイルハンター」グレードです。このグレードは、より遠くへの冒険を求める顧客のために4ランナーのラインアップに初めて追加された本格オフロード仕様車です。
トレイルハンターには、ARBのOld Man Emu(OME)2.5インチ鍛造ショックとリア外部ピギーバックリモートリザーバーが装備され、33インチのTOYOオープンカントリーA/Tタイヤとともに、フロントで2インチ、リアで1.5インチのリフトアップを実現しています。
さらに、本格的なアドベンチャーに対応するため、ロックレールや高強度スチール製スキッドプレートなどのプロテクションを追加。ブロンズの「TOYOTA」エンブレムが施されたヘリテージグリルや、RIGID LEDフォグランプと一体化した20インチLEDライトバーを装備しています。
実用性の面では、2400Wの強力なACインバーターがキャビンとリアカーゴエリアの2カ所に電力を供給できるよう設計されており、本格的なアウトドア活動をサポートします。
現在、トヨタから日本国内への正式な導入発表は行われていませんが、新型4ランナーの生産は日本の田原工場で行われているため、日本導入のハードルは比較的低いと考えられています。
仮に日本導入が決定された場合、最短でも2025年後半から2026年頃になると予測されています。これは、北米市場での反応や販売データをある程度蓄積し、日本市場での投入判断に活かす必要があるためです。
価格面では、北米市場における新型4ランナーの価格帯は約4万ドル前後とされており、日本円に換算すると約600万円前後になる可能性があります。これに輸送費や諸費用を加えると、正規導入時の価格はさらに高くなることが予想されます。
現在、RAV4とランドクルーザー250の間にはサイズ的なギャップがあり、新型4ランナーはこの空白を埋める存在として期待されています。アウトドアブームやSUV人気が続いている現在の状況を踏まえれば、トヨタとしてもこの市場を放置するとは考えにくいのが実情です。
新型4ランナーの発表により、日本国内では旧型ハイラックスサーフの中古車価格に変動が見られています。特に、状態の良い後期型ハイラックスサーフは希少価値が高まり、価格が上昇傾向にあります。
また、すでに並行輸入を通じて国内に新型4ランナーを導入している輸入業者も存在しており、正規販売価格よりも割高になりますが、どうしても今すぐ手に入れたいというファンにとっては現実的な選択肢となっています。
新型4ランナーの技術的進歩は目覚ましく、従来のV6エンジンからダウンサイジングターボ化により、優れたレスポンスと燃費性能の向上を達成しています。これにより、環境性能と走行性能を高次元で両立させた次世代SUVとして、日本市場でも高い評価を得ることが期待されます。
トヨタには過去に海外専売モデルを日本国内に後から導入した実績もあるため、ファンの要望が大きくなれば、正規導入への道が開かれる可能性も十分にあります。今後の公式発表や動向を注視しつつ、期待を持って待ちたいところです。