トヨタのTjクルーザーは、2017年の東京モーターショーで世界初披露されて以来、自動車ファンの間で大きな話題となっています。当初はコンセプトカーとして展示されましたが、その実用性の高さと斬新なデザインから、市販化を望む声が多数寄せられていました。
2024年に入り、複数の自動車メディアから発売に関する情報が報じられています。特に注目すべきは、トヨタディーラーからの証言として「2024年5月に発売予定」という情報が出ていることです。これまでコンセプトカーの域を出なかった同車が、ついに現実のものとなる可能性が高まっています。
車名の「TJ CRUISER」は、アクティブに使い倒せるTOOL-BOXの「T」と、クルマで様々な場所に出かける楽しさを意味するJoyの「J」、そしてトヨタのSUVラインアップに伝統的に使用してきた「CRUISER」を組み合わせたものです。この命名からも、トヨタが本格的な市販化を視野に入れていることが伺えます。
業界関係者の予想によると、Tjクルーザーの価格帯は245万円から400万円程度になると見込まれています。この価格設定は、トヨタの既存SUVラインアップと比較すると非常に戦略的です。
具体的には以下のような価格構成が予想されています。
この価格帯は、C-HR(236万円~309万円)やRAV4(265万円~388万円)とほぼ同等で、競合他社のスライドドア付きSUVと比較しても競争力のある設定となっています。特に、同じ価格帯でスライドドアの利便性を享受できる点は、ファミリー層にとって大きな魅力となるでしょう。
また、商用車としての利用も想定されており、法人向けの特別仕様車やリース専用モデルの展開も検討されているとの情報もあります。
Tjクルーザーの技術仕様については、トヨタの最新技術が惜しみなく投入される予定です。特に注目すべきは、次世代TNGAプラットフォームの採用により、従来のコンセプトカーよりも実用性が大幅に向上している点です。
主要スペック(予想)
パワートレインについては、複数の選択肢が用意される見込みです。
駆動方式は前輪駆動ベースの四輪駆動システムを採用し、悪路走破性とオンロード性能を両立させています。また、スライドドア機構には、トヨタが新型センチュリーで実用化した「リンク式パワードア」の技術が応用される可能性が高く、従来のスライドドアよりも静粛性と耐久性が向上しています。
Tjクルーザーの最大の特徴は、バンの積載性能とSUVの力強いデザインを融合させた点にあります。室内空間の設計は、従来のSUVの概念を覆すほど実用的です。
革新的な室内設計
助手席側をフルフラットにすることで、約3メートルもの長尺物を積載可能です。これにより、ロングサーフボードや自転車、さらには建築資材まで運搬できる汎用性を実現しています。座席シートの裏側やデッキボードには固定用のフックやタイダウンベルトが多数設置され、荷物の大きさを選ばずに確実に固定できます。
特殊強化塗装の採用
ボンネット、ルーフ、フェンダー、バンパーには、無造作に物を置いても傷が付きにくい特殊強化塗装が施されています。これはアウトドア用途での使用を想定した実用的な配慮で、FJクルーザーでも採用されていた技術の発展形です。
大開口スライドドア
リアドアには大開口のスライドドアを採用し、小さな子供の乗り降りや大型荷物の出し入れを容易にしています。開口部の高さと幅は、同クラスのSUVでは最大級となる見込みです。
運転席側の後部座席は、座面を前に倒せる構造となっており、買い物袋や日用品を置くスペースとしても活用できます。この細かな配慮が、日常使いでの利便性を大幅に向上させています。
Tjクルーザーの市販化は、トヨタにとって新たな市場セグメントの開拓を意味します。従来のSUVとミニバンの中間に位置する独特なポジショニングは、これまでにない顧客層の獲得を可能にします。
ターゲット市場の分析
主要なターゲットは以下の層が想定されています。
特に注目すべきは、商用車市場への参入です。ハイエースやプロボックスといった既存の商用車よりも乗用車的な快適性を持ちながら、同等の積載性能を実現することで、新しい商用車のカテゴリーを創出する可能性があります。
競合他社への影響
Tjクルーザーの登場は、他の自動車メーカーにも大きな影響を与えると予想されます。特に、スライドドア付きSUVという新しいカテゴリーの確立により、各社が追随する可能性が高く、SUV市場全体の多様化が進むでしょう。
また、2025年のジャパンモビリティショーでの展示も予定されており、さらなる注目を集めることが期待されています。トヨタとしても、このイベントを通じて市場の反応を最終確認し、本格的な量産体制に移行する計画と考えられます。
将来的には、電動化モデルの投入や、より大型の7人乗りモデルの展開も視野に入れており、Tjクルーザーを起点とした新しいSUVファミリーの構築が進められる可能性が高いでしょう。