現行タウンエースは2008年に登場してから既に17年が経過しており、商用車としては明らかにモデル末期を迎えています。商用車の一般的なモデルサイクルは15年から20年程度とされており、現行モデルはまさにフルモデルチェンジのタイミングに差し掛かっています。
過去の履歴を振り返ると、タウンエースは必ずしも一定のサイクルでモデルチェンジを行ってきたわけではありませんが、市場のニーズや競合他社の動向を考慮すると、2026年から2028年頃がフルモデルチェンジの最有力候補時期と予測されます。
特に注目すべきは、トヨタが環境規制の強化や電動化への対応を急いでいることです。現在のガソリンエンジンのみの構成から、ハイブリッドやEVモデルの追加が必要不可欠となっており、これがフルモデルチェンジを加速させる要因となっています。
2025年6月16日には、タウンエースバンの一部改良モデルが発売されました。この改良では、最新の法規対応により生産が再開され、価格は200万7,500円から244万2,000円に設定されています。
主な改良点として以下が挙げられます。
2020年にも大幅なマイナーチェンジが実施され、衝突回避支援システム「スマートアシスト」が初搭載されました。夜間の歩行者や昼間の自転車運転者も検知する衝突回避支援ブレーキ機能、誤発進抑制機能などが追加され、商用車としての安全性能が飛躍的に向上しています。
次期タウンエースのスペックについて、現在得られる情報から予想すると、電動化が最大のポイントになると考えられます。
パワートレイン予想:
現行モデルでは既にハイブリッド仕様が設定されているとの情報もあり、フルモデルチェンジ時にはより高効率なハイブリッドシステムが採用される可能性が高いです。これにより、市街地での頻繁なストップ&ゴーでは電気モーター駆動が燃費効率を高め、長距離移動でもガソリンエンジンとの協調制御により燃料消費量を大幅に削減できます。
ボディサイズ予想:
積載性の向上と取り回しの良さを両立するため、全長をわずかに延長しつつ、全幅は5ナンバーサイズを維持する可能性が高いです。
次期タウンエースの開発において、最も注目すべきはプロエースシティとの統合の可能性です。プロエースシティは欧州で販売されているトヨタの商用バンで、ステランティス(旧PSA)との協業により開発されています。
統合のメリット:
プロエースシティには既にEVモデルが設定されており、これをベースにすることで、タウンエースの電動化をスムーズに進めることができます。特に、商用車における電動化は運送業界のコスト削減と環境負荷軽減の両面で重要な要素となっています。
ただし、プロエースシティベースの場合、トヨタ独自の技術やデザインアイデンティティを取り入れることが制約される可能性もあります。そのため、トヨタは自社の強みを最大限に活かしつつ、プロエースシティの優れた点を融合させる必要があるでしょう。
タウンエースのフルモデルチェンジは、日本の小型商用車市場に大きな影響を与えると予想されます。現在、この市場では軽商用車の台頭が著しく、普通車クラスの商用車は厳しい競争環境にあります。
市場での位置づけ変化:
特に注目すべきは、アウトドアブームの影響でキャンピングカーのベース車両としての需要が急増していることです。現行モデルでも改造ベースとして高い人気を誇っており、次期モデルではこの用途により特化した仕様の設定も期待されます。
また、企業のCSR(企業の社会的責任)活動の一環として、低排出ガス車両の導入が求められる中、ハイブリッドやEV仕様の設定は法人ユーザーにとって大きな魅力となります。運送業やサービス業など、日常的に車両を使用する事業者にとって、維持費の削減は経営に直結する重要な要素です。
競合車種との差別化ポイント:
これらの特徴を維持しながら、電動化による環境性能と経済性を両立させることが、次期タウンエースの成功の鍵となるでしょう。
フルモデルチェンジにより、タウンエースは単なる商用車から、多様なライフスタイルに対応できる「マルチパーパスビークル」へと進化することが期待されます。ビジネスシーンでの実用性を保ちながら、個人ユーザーの趣味やレジャーにも対応できる車両として、新たな市場を開拓する可能性を秘めています。