ホンダから販売店に対して、現行ステップワゴンの生産終了に関する正式な通達が行われました。メーカーからの情報によると、現行モデル(RP型)は2025年4月で生産を終了し、その後マイナーチェンジもしくは一部改良版が登場する予定です。
関東圏のホンダ販売店担当者によると、「2025年4月に1度生産中止となると聞いています。確実ではありませんが、マイナーチェンジに向けたものだと考えられます」との情報が得られています。また、関西圏の販売店からも同様の情報が確認されており、全国的に統一された動きとなっています。
現在の受注状況を見ると、既に納期が5か月近くまで延びており、2024年11月下旬までには受注停止となる可能性が高いとされています。これは現行モデルへの需要が依然として高いことを示しており、マイナーチェンジ前の駆け込み需要も影響していると考えられます。
過去のホンダ車のマイナーチェンジパターンを分析すると、ステップワゴンでも以下の変更が予想されます。
外観デザインの変更
グレード構成の見直し
現行モデルで指摘されている「エアーの装備が不足している」「スパーダとの装備差が大きすぎる」というユーザーの声に対応する形で、グレード構成の見直しが行われる予定です。特に注目されているのが「エアーEX」という新グレードの追加で、これにより装備格差の解消が図られる見込みです。
先進安全運転支援システムの強化
ホンダセンシングの機能向上は確実に実施されるでしょう。現行モデルでは渋滞追従機能付きACCが搭載されていますが、さらなる機能拡張が期待されています。
現行ステップワゴンの生産終了は、ミニバン市場全体に大きな影響を与える可能性があります。2022年5月に登場した第6世代ステップワゴンは、月間販売計画5,000台を掲げていましたが、2023年上半期は計画の半数程度に留まっていました。
しかし、部品供給問題の改善により、2023年下半期以降は概ね計画通りの販売台数を達成しています。この販売回復傾向の中での生産終了発表は、マイナーチェンジに向けた戦略的な判断と見ることができます。
競合他車への影響
ディーラーの対応状況
販売店では在庫車両の確保に努めており、特に人気グレードのスパーダe:HEVについては早期の商談を推奨しています。値引き交渉についても、生産終了を控えて柔軟な対応を見せる店舗が増えています。
現行モデルを購入するか、マイナーチェンジ後のモデルを待つかは、購入者にとって重要な判断となります。
現行モデル購入のメリット
マイナーチェンジ後モデルを待つメリット
価格面では、マイナーチェンジ後のモデルは約10万円程度の値上げが予想されています。これは原材料費の高騰や装備の充実化によるもので、同クラスの他車種でも同様の傾向が見られます。
リセールバリューの観点
現行モデルの5年後のリセールバリューは、マイナーチェンジの内容によって大きく左右される可能性があります。大幅な変更が行われた場合、現行モデルの価値が相対的に下がる可能性もあります。
ステップワゴンの受注停止は、単なるモデルチェンジ以上の意味を持っています。自動車業界全体が直面している構造的な変化を反映している側面もあります。
電動化への対応
ホンダは2024年5月のビジネスアップデートで、後輪をモーターで駆動する電気式4WDを新たに開発し、2026年以降に市販車へ導入する方針を示しています。現在のステップワゴンe:HEVには4WDの設定がありませんが、将来的には電気式4WDの導入が検討される可能性があります。
生産効率の最適化
自動車メーカーは、モデルサイクルの短縮化と生産効率の向上を同時に求められています。ステップワゴンの場合、2022年のフルモデルチェンジから約3年でのマイナーチェンジは、市場の変化に迅速に対応する戦略の表れと言えるでしょう。
ユーザーニーズの多様化
現行モデルで指摘されているグレード間の装備格差問題は、ユーザーニーズの多様化を反映しています。価格を抑えつつも一定の装備を求める層と、高級志向の層の両方に対応する必要性が高まっています。
この受注停止を機に、ホンダがどのような戦略でミニバン市場に臨むのか、業界関係者からも注目が集まっています。特に、トヨタの新型ノア・ヴォクシーが採用したフリーストップバックドアなどの先進機能に対して、ホンダがどのような対抗策を打ち出すかが焦点となるでしょう。
マイナーチェンジの詳細については、2024年12月に予定されているホンダメーカーと販売店の製品勉強会で明らかになる予定です。この勉強会では、2025年〜2026年にかけての新車・新型車に関する製品情報に加え、ステップワゴンの改良概要も展開される見込みです。