スポーツカーマツダは走りの歓び性能を備える

マツダのスポーツカー系統はロードスターやかつてのロータリーエンジン搭載車など、独特な技術と哲学で優れた走行体験を提供してきました。では、マツダ車のスポーツ性能の秘密とこれからの進化はどのようなものでしょうか?

スポーツカー マツダの性能と技術

マツダ スポーツカーの強み
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ロータリーエンジンの革新

世界で唯一のロータリーエンジン技術を搭載した伝説のスポーツカー

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ロードスターの走りの哲学

軽量・コンパクト設計で実現した究極のドライビング体験

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SKYACTIV技術による進化

エンジンからボディまで全体的に高性能化を実現

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軽量化設計の追求

スポーツ性能を最大限に引き出すための軽量な構造

スポーツカー マツダのロータリーエンジン技術

 

マツダが1961年から挑戦し続けたロータリーエンジンは、自動車史上類稀な革新的な技術です。1967年に世界初の2ローター・ロータリーエンジン搭載車「コスモスポーツ」を発表したマツダは、その後もロータリーエンジンの実用化と改良に人生をかけました。ロータリーエンジンは従来のピストンエンジンとは異なり、ローターと呼ばれる回転体が連続的に回転することで、コンパクトで軽量、かつ高回転型のエンジンを実現できるのが特徴です。

 

この技術により、サバンナRX-3やRX-7といった伝説的なスポーツカーが生まれました。特にRX-7は、その「Designed by Rotary」というキャッチコピーが示す通り、ロータリーエンジンの小型設計がもたらした理想的な重量配分(前後50.7:49.3)と、スポーツクーペとしての美しいプロポーションを実現できたのは、このエンジンあってこそでした。高効率で高回転を実現できるロータリーエンジンは、単なる動力源ではなく、スポーツカーのデザインそのものを規定する革新的な存在だったのです。

 

参考資料:マツダのロータリーエンジンの開発歴史と技術特性について
【MAZDA】挑戦の歴史|東京モーターショー

スポーツカー マツダ ロードスターの軽量設計思想

現在のマツダスポーツカーラインナップの代表であるロードスターは、初代から受け継がれた軽量・コンパクト・高性能というコンセプトを貫いています。ND世代ロードスターは1.5Lの直列4気筒エンジン(P5-VP型)を搭載し、最高出力136PS(100kW)、最大トルク152N・m(15.5kgf・m)を発生します。一見すると高出力ではないように見えますが、軽量なボディが与えられた馬力により、俊敏で反応の良い加速性能を実現しているのです。

 

マツダロードスターの最大の特徴は、エンジン・トランスミッション・リヤディファレンシャルを梯子状のアルミフレーム「パワー・プラント・フレーム(PPF)」で一体化する設計です。この構造により、パワートレイン全体が堅牢に連結され、ドライバーへのダイレクトな加速フィーリングを実現しています。スポーツ走行時に有効なトルクセンシング式スーパーLSD(限定スリップデフ)は、「S」グレード以外のすべてのモデルに標準装備されており、コーナリング時の操縦性を大幅に向上させています。

 

ロードスターのサスペンションは前後ダブルウィッシュボーン形式を採用し、ハンドリングのしやすさと走行安定性の両立が実現されています。16.8km/Lという実用的な燃費性能も兼ね備えることで、日常的なドライブからサーキット走行まで幅広い用途に対応できるスポーツカーとなっているのです。

 

スポーツカー マツダのSKYACTIV技術による高性能化

マツダが独自開発したSKYACTIV(スカイアクティブ)技術は、エンジン・トランスミッション・ボディ・シャシー・車両運動制御技術を同時に刷新することで、車全体の性能水準を飛躍的に向上させるという革新的なアプローチです。単なる一つの部品やシステムの改良ではなく、クルマ全体を統合的に高性能化するこの哲学は、マツダのスポーツカー開発を大きく推し進めました。

 

SKYACTIV技術搭載エンジンは、従来型ピストンエンジンよりも優れた性能を発揮し、加速力と力強さを兼ね備えているのが特徴です。圧縮比の最適化、燃焼効率の向上、軽量化されたムービングパーツなど、複合的な技術改善により、より少ない燃料消費で高い動力性能を引き出しています。大径スロットルの採用により、レスポンスの良いエンジン特性も実現されました。

 

マツダのオートマチックトランスミッションもSKYACTIV世代では大幅に進化しており、従来の変速機の利点を統合しながら、「ダイレクト感」と「なめらかな変速」「低車速での燃費」の三拍子を同時に実現しています。まるでスポーツカーのような加速性能と操縦性、ドライバーが意のままに操れるシフトフィーリングが実現されており、オートマチックでありながらスポーツ性能を損なわない設計になっているのです。

 

スポーツカー マツダのRX-7から最新型への進化過程

マツダのスポーツカー発展史において、RX-7は単なる一台のモデルではなく、企業姿勢と技術力を象徴する存在です。初代SA22C(1978–1985年)は軽量・高回転のロータリー革命をもたらし、2代目FC3S(1985–1991年)はグランドツーリングカーへの進化を示し、3代目FD3S(1991–2002年)で最後のピュアスポーツの頂点に到達しました。特にFD3S最終モデルの「スピリットR」シリーズは、シーケンシャルツインターボが生む280馬力の高出力と、専用調整されたダンパー、調整可能なリヤウィング、BBS製17インチホイールなど、究極のスポーツ仕様として君臨しました。

 

FD3S世代では空力設計も大幅に見直され、翼端板付きのリヤウィング(4段階調整可能)、拡大されたフロント冷却開口部、専用のエアクリーナーダクト、ブレーキ冷却ダクトなど、高速走行と長時間のスポーツ走行に対応した工夫が盛り込まれています。ダブルウィッシュボーン式サスペンションのグレード別設定(RS用ビルシュタイン、R用大径ハード、RB用スタンダード)により、購入客の用途に応じたセッティングが可能でした。モータースポーツでの活躍も顕著で、多くの競技参加者からは高い評価を獲得していたのです。

 

スポーツカー マツダの新しい展開とMSRロードスターの登場

マツダのスポーツカー戦略は、従来型から新しい方向へ進化しています。2025年のオートサロンで発表された「マツダ スピリットレーシング・ロードスター(MSRロードスター)」は、次世代のスポーツカー戦略を示す重要なモデルです。このコンプリートカーは2Lターボエンジンを搭載し、専用チューニングにより200馬力の高出力を実現しています。限定200台という希少性と共に、専用のカムシャフト、シリンダーヘッド、エキマニなど、パワートレイン全体に手が加えられた本格的なフルチューン仕様となっています。

 

MSRロードスターには専用設計のフルバケットシート、アルミ製タワーバー、切削加工による専用ホイール、S耐のゼッケンにちなんだ「12R」デカールなど、ロードスター乗りが目指すカスタマイズの方向性を体現した装備が施されています。公道を走るレースカーというコンセプトで、多くのロードスター愛好家からも高い評価を受けており、将来的なカスタムの参考にもなる一台として注目を集めています。一方で、マツダはRX-7後継モデルの開発も継続中であり、2020年代中には新しいロータリーエンジン搭載スポーツカーが登場する見通しも報じられています。電動化への慎重なアプローチと並行しながら、ハイブリッド技術の活用、既存スポーツカーラインナップのアップデート、そして新型スポーツカー開発という多角的な戦略を展開しているのです。

 

参考資料:マツダスピリットレーシング・ロードスターについて
マツダ「'新'スポーツカー」まもなく発売!? ソフトトップに200馬力の2Lエンジン搭載

 

 


GT-R SELECTION Vol.1