スマイレージの初代リーダーを務めた和田彩花は、2019年にアンジュルムおよびハロー!プロジェクトを卒業した後も、音楽シーンで精力的に活動を続けています。卒業後はオルタナポップバンド「和田彩花とオムニバス」やダブ・アンビエンスのアブストラクトバンド「LOLOET(ロロエ)」にて作詞、歌、朗読などを担当しており、アイドル時代とは異なる音楽性を追求しています。
参考)【イベント】ウリ・ルスト × 和田彩花 トークイベント『パン…
また、実践女子大学大学院博士前期課程美術史学を修了した和田は、美術評論家としても活躍の場を広げています。特にエドゥアール・マネの作品「菫の花束をつけたベルト・モリゾ」を好み、西洋近代絵画や現代美術、仏像などの分野で執筆活動やメディア出演を行っています。2025年10月には書籍『今日が人生最後の日』の刊行を記念したトークイベントを開催するなど、アイドル活動の経験を通じて得たフェミニズムやジェンダーの視点から、アイドル文化や労働問題についても発信を続けています。
2025年8月には、元スマイレージメンバーの福田花音(巫まろ)と共にトークイベント「ただいま、おかえり」を開催し、卒業後も続く絆を見せています。さらに、2025年12月には明星大学の心理相談センター公開講演会に登壇する予定もあり、多方面での活動を展開しています。和田の現在の活動は、アイドルという枠を超えて自己表現と社会的メッセージの発信を両立させた、独自のキャリアパスを築いていると言えるでしょう。
参考)2025年度心理相談センター公開講演会(2025年12月21…
福田花音は2015年11月にアンジュルムおよびハロー!プロジェクトを卒業後、作詞家として活動の幅を広げました。卒業後はアンジュルム、カントリー・ガールズ、Juice=Juice、こぶしファクトリー、BEYOOOOONDSなど、ハロプロの多くのグループに歌詞を提供し、クリエイターとしての才能を発揮しました。
参考)スマイレージ初期メンバーの歴史|結成からアンジュルム改名まで…
2019年12月末にアップフロントプロモーションとの専属マネージメント契約を終了した福田は、2020年3月に「巫まろ」名義で大森靖子プロデュースのアイドルグループZOCに電撃加入し、音楽シーンに復帰しました。加入発表は3月27日の生配信ライブでサプライズ発表され、新曲「SHINEMAGIC」のMVにも大々的に参加するなど、ZOCの中心メンバーとして活躍しました。
参考)元アンジュルム 福田花音=巫まろ、ZOC加入に賛否両論 大森…
福田はZOC加入について「アイドルとしての旬はとっくに過ぎていたはずの私をもう一度輝かせてくれたZOCの存在には感謝でいっぱい」と振り返っており、約4年間の活動を通じて「2回もアイドルをやって改めて思ったことは、わたしはアイドルという職業がなにより大好きで誇りを持っています」と語っています。2024年3月にはZOCからの退所とアイドル引退を発表しましたが、「必ずまたステージに戻ってきます」と芸能活動の継続を示唆しており、現在は「カンナギマロ」名義で新たな活動を模索しています。
参考)あやかのんトークイベント「ただいま、おかえり」のチケット情報…
スマイレージ初期メンバーとして約10年、そしてZOCで約4年という長いアイドル人生を経て、福田は常に新しい表現方法を追求し続けている存在と言えるでしょう。
参考)ZOCの巫まろが「アイドル引退」を宣言 ハロプロ「スマイレー…
前田憂佳と小川紗季は、2011年にスマイレージから相次いで卒業し、芸能界を引退しました。小川紗季は2011年8月27日に卒業、前田憂佳は同年12月31日に卒業しており、わずか数ヶ月の間に初期メンバー4人のうち2人が去るという、グループにとって大きな転機となりました。
参考)アンジュルム - Wikipedia
前田憂佳はハロプロエッグ1期生として早くから期待され、新人公演でソロを披露した最初期のメンバーの一人でした。また、ハロプロの選抜ユニット「High-king」のメンバーにも選ばれるなど、ハロプロエリートとしての地位を確立していました。しかし、学業に専念するという理由で芸能界を引退し、その決断はファンの間で大きな話題となりました。
参考)https://blog.goo.ne.jp/despair-rp-hope/e/e304202eda4b8197ab3e595fac4fa241
小川紗季もまた、前田と同じくハロプロエッグ1期生として早期からソロパフォーマンスを披露するなど、将来を期待されていたメンバーでした。二人の引退は、当時のスマイレージファンの間で「ゆうかりんは白」というワードが生まれるほど、グループの存続に関わる重要な出来事として記憶されています。
現在、二人は一般の生活を送っており、公の場に姿を現すことはほとんどありません。しかし、彼女たちがスマイレージの基礎を築いた初期メンバーとして果たした役割は、現在のアンジュルムの歴史において重要な位置を占めています。
スマイレージの初期メンバー4人、和田彩花、前田憂佳、福田花音、小川紗季は、いずれも「ハロプロエッグ」(現在のハロプロ研修生)出身です。彼女たちは2004年に開催された『ハロプロ エッグ オーディション2004』の合格者として、デビューを目指す研修生としてのキャリアをスタートさせました。
参考)ハロプロ研修生 - Wikipedia
ハロプロエッグ時代、彼女たちは正式なデビューも決まっていない中、日々厳しいレッスンに励み、先輩グループのバックダンサーなどを務めながらステージ経験を積んでいました。この下積み時代が、後のスマイレージ結成時における強い絆とパフォーマンススキルの基礎を形作ったと言われています。
興味深いことに、和田彩花はハロプロエッグ時代に一度もソロパフォーマンスを披露する機会がなかったという記録があります。一方で前田憂佳と小川紗季は、新人公演でソロを披露した1番目と2番目のメンバーとして早くから注目を集めていました。このように、同じハロプロエッグ1期生でも、それぞれ異なる道筋を歩んでいたことがわかります。
約5年間の研修生生活を経て、2009年4月4日にスマイレージとして正式に選抜されました。この長い下積み期間が、彼女たちのプロ意識とパフォーマンス力を磨き上げ、後のメジャーデビューでの成功につながったのです。
スマイレージは2009年4月の結成から約1年間のインディーズ活動を経て、2010年5月26日に「夢見る 15歳」でメジャーデビューを果たしました。このデビュー曲は、プロデューサーのつんく♂より与えられた課題「目指せデビュー! スマイレージ笑顔キャンペーン」を達成したことにより実現したもので、アイドル戦国時代黎明期にハロプロが満を持して送り込んだ精鋭としての期待が込められていました。
参考)スマイレージ『夢見る15歳』レビュー。(2010年5月26日…
結成時の平均年齢は13.5歳という若さで、2004年にハロプロエッグのオーディションに合格してから約6年、中学生に成長してようやくデビューを果たすことができました。「夢見る 15歳」は、インディーズ時代のイメージを覆すマイナー調のユーロビート歌謡で、平田祥一郎氏のアレンジによる高クオリティな仕上がりとなっています。
参考)https://ameblo.jp/yy-1983/entry-12372419798.html
この楽曲で、スマイレージは第52回日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞するという快挙を成し遂げました。歌詞の「今年の夏は負けない 去年みたいに弱くない」というフレーズは、アイドル戦国時代への力強い宣戦布告とも受け取れる内容で、デビュー曲としての強い意志が感じられます。
デビュー記念イベントとしては、ラクーアやイオン千種ショッピングセンターでのイベントが開催され、ラクーアでのイベントはUstreamで生放送されるなど、当時としては先進的なプロモーション展開が行われました。また、AR(拡張現実)を用いたパフォーマンスやデコレーショントラックを都内で走らせるなど、話題性のあるプロモーション活動も展開されました。
参考)夢見る 15歳 - Wikipedia
スマイレージは2014年12月17日、TSUTAYA O-EASTで開催された全国ツアー最終公演において、新グループ名「アンジュルム」への改名を発表しました。この新グループ名は、2014年10月4日から10月31日までの期間に一般募集され、メンバー考案作品を含む1万211作品の中から選ばれました。
参考)https://barks.jp/news/735086
「アンジュルム(ANGERME)」という名前は、2期メンバーの中西香菜が考案したもので、フランス語で「天使」を意味する「ange(アンジュ)」と「涙」を意味する「larme(ラルム)」を組み合わせた造語です。この名前には「天使のような優しい心で。いろんな涙をながしていこう」という想いが込められており、グループの新たな方向性を示すものとなりました。
最終選考では約20作品まで絞られ、1期メンバーの和田彩花と福田花音も参加して決定されました。改名は2014年12月17日の公演終了をもって正式に行われ、改名後第1弾シングル「大器晩成 / 乙女の逆襲」が2015年2月4日にリリースされることも発表されました。
この改名の背景には、2011年以降のメンバーの卒業と加入の繰り返しがありました。2011年には初期メンバーの小川紗季と前田憂佳が卒業し、2期メンバーが加入、その後も3期メンバーの加入など、グループの構成が大きく変化していました。改名は、こうした変化を経て新たなスタートを切るという意味合いが強く、初期メンバーの和田と福田が最終選考に参加したことは、過去と未来を繋ぐ象徴的な出来事でした。
アンジュルム公式プロフィール - ハロー!プロジェクト
アンジュルムの公式プロフィールページでは、グループの歴史や現在のメンバー情報が確認できます。
スマイレージ初期メンバーの軌跡は、まさに車の走行にも例えられる「継続と進化」のストーリーです。和田彩花は初代リーダーとして約10年間グループを牽引し、卒業後も音楽や美術評論という新たなルートを開拓し続けています。これは長距離ドライブで目的地を変更しながらも、走り続けることの大切さを体現していると言えるでしょう。
福田花音は一度芸能界を離れながらも、作詞家として裏方に回り、再びZOCでステージに復帰するという「Uターン」を経験しました。車で言えば、一度停車してメンテナンスを行い、さらにパワーアップして再出発するようなキャリアパスです。2024年にZOCを退所してアイドル引退を発表した後も、「必ずまたステージに戻ってきます」という言葉には、次なる目的地への期待が込められています。
前田憂佳と小川紗季は学業に専念するため引退という選択をしましたが、これは人生という長い道のりにおいて、立ち止まって別のルートを選ぶことの重要性を示しています。車で移動する際も、時には休憩したり、別の道を選んだりすることが、安全で充実した旅には欠かせません。
車を運転する人にとって、目的地に向かって走り続けることと、時には立ち止まって方向を見直すことの両方が重要であるように、スマイレージ初期メンバーの現在の姿は、それぞれが選んだ「人生の道」を全力で走っていることを教えてくれます。ハロプロエッグ時代から始まった彼女たちの「ドライブ」は、2025年の現在も続いているのです。