日産が進める次世代戦略「The Arc」の中核として位置づけられる新型スカイラインV38型の発売時期は、2025年から2026年の間が有力視されています。現行のV37型が2014年にデビューしてから約10年が経過し、異例の長期モデルとなっている状況を考慮すると、フルモデルチェンジは待ったなしの状況です。
開発スケジュールの観点から見ると、日産の中期経営計画「The Arc」では2026年度までに日本市場で5車種の新型車を投入し、乗用車ラインナップの80%を刷新する目標が掲げられています。スカイラインは日産の主力車種として、この刷新計画の中核を担うモデルとして期待されています。
特に注目すべきは、2026年春から夏頃の発売が最も有力な時期として予測されている点です。これは日産の電動化戦略とも密接に関連しており、次期スカイラインは完全電動化モデルとして生まれ変わる可能性が高いとされています。
次期スカイラインV38型の価格設定は、従来のV37型やフェアレディZよりもワンランク上のゾーンへ移行すると予想されています。これは単なる性能向上ではなく、電動化による構造変革と上質な乗り味を両立させたプレミアムスポーツセダンとしての再構築を反映したものです。
想定価格帯は以下のような設定が予測されています。
この価格設定の背景には、電動化技術の導入コストや、プレミアムセダンとしての品質向上が挙げられます。特にバッテリー技術の進歩により、航続距離500〜610km(WLTCモード予測)を実現する大容量バッテリーの搭載が予定されており、これらの技術的進歩が価格に反映される形となっています。
次期スカイラインV38型の最大の特徴は、完全電動化への転換です。日産は2021年度以降のインフィニティブランド新車をすべてEVもしくはe-POWER搭載車にすると発表しており、スカイラインもこの戦略に沿って開発が進められています。
パワートレインの詳細については、以下のような仕様が予想されています。
特に注目すべきは、e-POWERシステムのFR車への適用です。従来のe-POWERはFF車向けに開発されていましたが、スカイラインのようなFR車に搭載するためには新しいシステムが必要となります。これにより、モーターをリアもしくは前後に配置する新しい駆動方式が採用される可能性があります。
次期スカイラインV38型のデザインを予想する上で重要な手がかりとなるのが、インフィニティが2023年10月に発表した「ビジョンQe」コンセプトカーです。このコンセプトカーは、レクサスのスピンドルグリルを超える巨大なダブルアーチグリルを採用し、ファストバックスタイルの4ドアクーペとして設計されています。
デザインの特徴として以下の要素が挙げられます。
空力性能についても大幅な改善が予定されており、現行V37型のCd値0.29〜0.30から、次期V38型では0.25以下を目指すとされています。これは世界トップレベルの空力性能であり、EVモデルの航続距離延長に直接的に貢献する重要な要素となります。
次期スカイラインV38型には、日産の最新自動運転技術「プロパイロット3.0」の搭載が有力視されています。これは従来の「攻める」走りだけでなく、「委ねられる速さ」を実現する先進技術として期待されています。
プロパイロット3.0の予想される機能は以下の通りです。
これらの技術により、スカイラインは単なるスポーツセダンから、先進安全技術を象徴する次世代プレミアムカーへと進化を遂げることになります。特に高速道路での自動運転機能は、長距離ドライブでの疲労軽減に大きく貢献し、スカイラインの新たな価値提案となることが期待されています。
また、AIとコネクティッド機能の強化により、ドライバーの運転習慣を学習し、最適な走行モードを自動選択する機能や、リアルタイムでの交通情報取得による最適ルート案内なども実装される可能性があります。
日産の電動化戦略とスカイラインの未来について詳しく知りたい方は、以下の公式情報も参考になります。
日産公式 e-POWER技術解説
次期スカイラインV38型は、伝統的なスポーツセダンの魅力を保ちながら、電動化時代に対応した革新的な技術を搭載することで、新たなスカイライン像を提示することになるでしょう。発売まで残り1年程度となった現在、その全貌が明らかになる日が待ち遠しい限りです。