日産は2025年5月に発表した経営再建計画「Re:Nissan」の中で、新型スカイラインの開発を明記しました。この発表により、長らく憶測されていた新型スカイラインの開発が公式に確認されたことになります。
現行の13代目スカイライン(V37型)は2014年2月に発売されており、2025年時点で既に11年が経過しています。過去のスカイラインのフルモデルチェンジサイクルを見ると、平均5年、直近では約7年の周期で行われているため、次期モデルの登場は時期的にも適切なタイミングと言えるでしょう。
特に注目すべきは、日産が「開発の刷新」として2025年度から段階的に新しい取り組みを導入し、2027年度初頭には完了予定としている点です。このスケジュールを考慮すると、新型スカイラインの詳細情報は2025年内に明らかになる可能性が高いと予想されます。
また、日産の中期経営計画「The Arc」で公開された動画には、丸目4灯テールを持つ次期スカイラインと見られる車両のシルエットが映っており、開発が相当進んでいることが伺えます。
次期スカイライン(V38型)は、従来のセダンスタイルから大きく変更される可能性が高いとされています。最も注目される変更点は、セダンではなくクロスオーバースタイルへの転換です。
日産が公開したティザー映像から読み取れるデザインの特徴。
このデザイン変更は、世界的なSUV・クロスオーバー人気を受けたものと考えられます。特に北米市場では、インフィニティQ50として販売されているスカイラインの販売が振るわない状況が続いており、より市場ニーズに合ったスタイルへの転換が求められていました。
興味深いのは、今回の発表で「日産」スカイラインと表現されていた点です。これまでスカイラインはインフィニティブランドで「Q50」として海外展開されていましたが、新プラットフォームは日本市場から導入される可能性が示唆されています。
新型スカイラインのパワートレインについては、電動化が大きなテーマとなっています。日産の電動化戦略に沿って、複数のパワートレインオプションが用意される見込みです。
予想されるパワートレインラインナップ。
先進技術面では、プロパイロット3.0の搭載が期待されています。現行モデルに搭載されているプロパイロット2.0は、高速道路での手放し運転を実現した画期的な技術でしたが、次世代のプロパイロット3.0では、より幅広いシーンでの自動運転支援が可能になると予想されます。
また、2023年10月に発表された「Infiniti Vision Qe」コンセプトは、次期スカイラインおよびInfiniti Q50後継相当の4ドアクーペのBEVとして位置づけられており、このコンセプトが新型スカイラインの方向性を示していると考えられます。
新型スカイラインの価格設定は、現行モデルよりも上昇することが予想されています。現行V37型の価格帯が456万円から947万円であるのに対し、新型では600万円から1000万円の範囲になると予測されています。
価格上昇の要因。
日産は今回の発表で「日産はFRを諦めない」というメッセージを発信しており、新型スカイラインで採用されるプラットフォームは、その後フェアレディZやインフィニティブランドにも展開される予定です。これにより、開発コストの分散と効率化を図る戦略と考えられます。
市場戦略としては、日本市場を重視した開発が行われる可能性が高く、これまでのようにインフィニティブランド主導ではなく、日産ブランドとしてのアイデンティティを強化する方向性が見えています。
新型スカイラインの登場を前に、現行V37型の動向も注目されています。2023年9月には「スカイライン NISMO」が1,000台限定で発売され、2024年夏には「スカイライン NISMO Limited」が100台限定で発売されました。
現行モデルの特別仕様車展開。
これらの限定モデルは、新型登場前の現行モデルの集大成的な位置づけとなっており、コレクターズアイテムとしての価値も期待されています。
中古車市場では、現行V37型の価格は70万円から410万円が主流となっており、希少グレードや低走行車両は高額で取引されています。新型発売後は、現行モデルの希少価値がさらに高まる可能性があります。
また、海外市場では2025年モデルでインフィニティQ50の生産が終了する予定となっており、これも新型スカイラインへの移行を示唆する動きと言えるでしょう。
新型スカイラインの登場により、日産のフラッグシップセダンとしての地位を再確立し、「Re:Nissan」計画の象徴的な存在として位置づけられることが期待されています。伝統の継承と革新の両立を図った新型スカイラインの詳細発表が待たれるところです。