スカイライン r36として注目を集めているこのプロジェクトは、2022年にカーデザイナーのロマン・ミヤ氏とアバンテ デザイン社が制作したレンダリング画像から始まりました。設計や開発、3Dモデリングの制作に数百時間を費やして生み出されたこの作品は、SNSで発表されるやいなや大きな反響を呼びました。
このデザインが人気を集めた最大の理由は、現行のR35型GT-Rに第2世代スカイラインGT-R(R32、R33、R34型)の雰囲気を巧妙に融合させた点にあります。特にフロントマスクは、多くのファンが愛してやまないR34型の雰囲気を色濃く反映しており、横長のヘッドライトやごつごつしたバンパーデザインが往年のスカイラインGT-Rを彷彿とさせます。
デザインの特徴として注目すべきは以下の点です。
このレンダリング画像は、単なるファンアートを超えた完成度の高さで、まるで実車のような仕上がりを見せています。
スカイライン r36プロジェクトでは、エンジン性能の違いによって2つの異なるグレードが設定されています。これらのパッケージは、それぞれ異なるユーザーニーズに対応するよう設計されています。
トラックパッケージ(800馬力仕様)
ベースとなるトラックパッケージは、日産GT-R(R35型)の3.8リッターV型6気筒VR38型ツインターボエンジンをベースに、以下の改良を施しています。
アルティメットパッケージ(1000馬力仕様)
より高性能を求めるユーザー向けのアルティメットパッケージでは、さらなる大幅な改良が施されています。
これらの性能向上により、スカイライン r36は現代のスーパーカーと肩を並べる驚異的なパフォーマンスを実現しています。
多くの人がCGレンダリングだけで終わると思っていたスカイライン r36プロジェクトですが、現在、ドイツのハノーバーにある工場で実車の製作が着々と進行しています。
現在の製作状況
2024年11月時点での製作進捗は以下の通りです。
製作プロセスの特徴
この実車化プロジェクトの興味深い点は、完全オーダーメイドで製作される点です。顧客がベース車となるR35型GT-Rを工場に持ち込み、そこでアルティザン ビークル デザイン社が「アルティザンGT-R」として生まれ変わらせます。
製作工程では、R35型GT-Rのボディパネルをすべて取り外し、フルオリジナルのカーボンファイバー製パネルに交換します。この徹底したアプローチにより、外観は完全に別の車両として生まれ変わります。
内装の特徴
インテリアにも大幅な変更が加えられており、以下の特徴があります。
スカイライン r36に関して最も重要な点は、これが日産自動車の公式プロジェクトではないという事実です。多くのメディアやSNSで「日産の新型R36 GT-R」として紹介されることがありますが、これは完全に誤解です。
プロジェクトの実態
日産との関係
日産自動車は現在、R35型GT-Rの後継車種について公式な発表を行っていません。R35型は2025年8月に生産終了予定とされていますが、次期モデルの詳細は明らかになっていません。
この状況下で、スカイライン r36プロジェクトは、GT-Rファンの期待と要望を具現化した非公式な取り組みとして位置づけられます。プロジェクトの完成度の高さから、本家日産に対する「現状を打破して欲しい」というエールのような意味合いも感じられます。
メディアでの扱いと問題点
一部のメディアでは、タイトルで「日産の新型R36 GT-R」と表記しながら、記事内容では非公式プロジェクトであることを説明するという、読者に誤解を与える手法が見られます。これに対して、読者からは「日産の名誉を傷つけている」「詐欺まがいの記事」といった厳しい批判が寄せられています。
スカイライン r36プロジェクトをコレクターの視点から分析すると、非常に興味深い投資対象としての側面が見えてきます。
希少性による価値
全世界36台限定という極めて限定的な生産台数は、将来的な希少価値を大きく左右する要因です。特に以下の点でコレクター価値が高まる可能性があります。
GT-R市場での位置づけ
現在のGT-R市場において、R32、R33、R34といった第2世代スカイラインGT-Rの価格は年々上昇傾向にあります。特にR34 GT-Rは、海外市場での人気も相まって、中古車価格が新車価格を大幅に上回る状況が続いています。
スカイライン r36は、この第2世代の魅力と現代の技術を融合させた唯一無二の存在として、将来的にプレミアム価格での取引が予想されます。
投資リスクと考慮点
一方で、以下のリスクも考慮する必要があります。
これらの要因を総合的に判断すると、スカイライン r36は純粋なコレクションアイテムとしての価値は高いものの、実用性を重視する購入者には慎重な検討が必要と言えるでしょう。
GT-Rの歴史と文化を理解し、その延長線上にある新たな解釈として楽しめる真のエンスージアストにとって、スカイライン r36は唯一無二の選択肢となる可能性を秘めています。