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水質汚濁防止法における排水基準とは、工場や事業場から河川や海などの公共用水域に排出される水を規制するための基準です。この法律は昭和45年に制定され、公共用水域および地下水の水質汚濁を防止し、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全することを目的としています。
参考)【はじめての水質汚濁防止法】排水基準とは?「排水基準を定める…
排水基準が適用されるのは「排出水」と呼ばれるもので、特定施設を設置する工場または事業場から公共用水域に排出されるすべての水が対象となります。これには特定施設から直接排出される水だけでなく、事業場全体から排出される水、さらには敷地内に降った雨水も含まれます。一方、公共下水道に排出される水や敷地内で地下浸透する水は対象外です。
排水基準は大きく分けて「有害物質」に関する基準と「生活環境項目」に関する基準の2種類があり、それぞれの項目について具体的な許容限度が定められています。特定事業場の経営者は、これらの基準を遵守し、年に1回以上の水質測定を実施することが法律で義務付けられています。
参考)https://www.env.go.jp/content/000300422.pdf
有害物質とは「人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質」として定義され、全28項目が水質汚濁防止法施行令第2条で指定されています。排水基準では、この28項目のうち27項目について具体的な許容限度が設定されています。
主な有害物質の排水基準値は以下の通りです。カドミウム及びその化合物は0.03mg/L、シアン化合物は1mg/L、鉛及びその化合物は0.1mg/L、六価クロム化合物は0.2mg/L(令和6年4月1日より0.5mg/Lから改正)、砒素及びその化合物は0.1mg/L、水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物は0.005mg/Lです。その他、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ベンゼン、1,4-ジオキサンなどの有機溶剤類も規制対象となっています。
参考)近年の水質汚濁防止法の改正:静岡市公式ホームページ
有害物質に関する排水基準の特徴は、有害物質の使用の有無に関わらず一律に規制されることです。つまり、自動車整備業のように直接的に有害物質を製造しない業種であっても、洗車や整備工程で使用する洗剤や油類に含まれる可能性のある有害物質について、排水基準を守る必要があります。アルキル水銀化合物については「検出されないこと」という最も厳しい基準が設定されています。
参考)https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/nagano/pdf/2020/200423-06.pdf
生活環境項目とは「生活環境に係る被害を生ずるおそれがある程度のもの」として、水質汚濁防止法施行令第3条に12項目が規定されています。排水基準を定める省令では、これが15項目に細分化されて基準値が設定されています。
主な生活環境項目の排水基準値は次の通りです。水素イオン濃度(pH)は海域以外で5.8~8.6、海域で5.0~9.0です。生物化学的酸素要求量(BOD)と化学的酸素要求量(COD)はともに160mg/L(日間平均120mg/L)、浮遊物質量(SS)は200mg/L(日間平均150mg/L)です。ノルマルヘキサン抽出物質含有量は鉱油類で5mg/L、動植物油脂類で30mg/Lと分けられています。
参考)『水質汚濁防止法』を知っていますか?規制対象の事業場と排水基…
自動車整備業にとって特に重要なのは油分に関する基準です。洗車や整備工程で発生する排水には、エンジンオイルやグリースなどの鉱油類、さらには洗剤に含まれる界面活性剤が混入する可能性があります。そのため、ノルマルヘキサン抽出物質(油分)の管理が重要になります。生活環境項目の排水基準は、1日あたりの平均的な排出水量が50立方メートル以上の事業場に適用されますが、自治体の条例によってはこれより厳しい基準が設定されている場合もあります。
参考)https://www.mdpi.com/2071-1050/14/10/5764/pdf?version=1652179669
自動車整備業は昭和57年(1982年)1月1日から水質汚濁防止法の規制対象業種に追加されました。当初は「自動車分解整備事業」として指定されましたが、道路運送車両法の改正に伴い令和2年4月1日から「自動車特定整備事業」に名称が変更されています。
参考)山梨県/道路運送車両法等の改正に伴う水質汚濁防止法施行令の一…
特定施設に該当するのは、自動車特定整備事業の用に供する洗車施設であり、具体的には「屋内作業場の総面積が650平方メートル以上の事業場に係るもの」が対象です。つまり、屋内作業場面積が650平方メートル未満の小規模な整備工場は特定施設に該当しません。なお、別の基準として屋内作業場面積800平方メートル超の自動車整備工場は自動洗車施設がなくとも特定施設とされるケースもあります。
参考)https://www.eic.or.jp/qa/?act=viewamp;serial=19759
特定施設を設置する場合、事業者は都道府県知事(または市長)に対して、施設の設置または変更の届出を事前に行う必要があります。届出を怠ったり虚偽の届出をした場合、3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。自動車整備業が規制対象となった背景には、整備・修理工程において洗車施設等から汚濁物質が排水と一緒に排出され、排出先の公共用水域を汚濁している状況があったためです。コイン洗車場を営む事業者も届出が必要であり、排出水の検査を行い規制基準を遵守しなければなりません。
参考)https://www.pref.nagano.lg.jp/mizutaiki/kurashi/shizen/suishitsu/documents/00_shiori_all.pdf
水質汚濁防止法の排水基準には、国が定める全国一律の「一律排水基準」のほかに、都道府県が条例で定める「上乗せ排水基準」と「総量規制基準」があります。一律排水基準だけでは水質汚濁の防止が不十分な地域において、より厳しい基準を設定することが法第3条第3項で認められています。
参考)水質汚濁防止法に基づく排水基準等について
上乗せ排水基準では、有害物質の一部項目について法律より厳しい基準値が設定されたり、生活環境項目の一部が排水量によらず一律に適用されたりします。また、対象事業場の排水量の裾下げがあり、1日の平均的な排水量が50立方メートル未満の事業場にも生活環境項目の基準を適用できるよう定めている自治体もあります。これは地域の水質保全の必要性に応じて、各都道府県が独自に設定するものです。
参考)水質汚濁防止法における排水基準と測定義務等について - 岐阜…
総量規制基準は、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海といった閉鎖性海域において、事業場ごとの濃度規制だけでは環境基準の達成が困難な地域に適用されます。対象となるのは指定地域内の特定事業場で、1日あたりの平均排出水量が50立方メートル以上の事業場です。規制項目はCOD(化学的酸素要求量)、窒素含有量、りん含有量の3項目であり、1日あたりに排出される汚濁負荷量の許容限度が定められています。総量規制は、広域的な閉鎖性海域の水質改善を目的として、汚濁負荷量の総量を一定量以下に削減しようとする制度です。
参考)https://www.env.go.jp/council/09water/y090-26/900427823.pdf
水質汚濁防止法における排水基準の遵守は、法第12条第1項で義務付けられており、違反した場合の罰則は極めて厳しいものとなっています。排水基準を超える排出水を排出した場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。過失による違反であっても3ヶ月以下の禁錮または30万円以下の罰金という処罰が適用されます。
参考)【排水排出事業者に必要な知識】水質汚濁防止法に違反した場合の…
この規定は「直罰規定」と呼ばれ、故意・過失を問わず適用される点が特徴です。通常の行政処分では改善命令が先に出されることが多いですが、排水基準の超過については命令を経ずに罰することができます。これは、有害物質などで川や海を一度汚してしまったら元に戻すのが非常に困難であり、人の健康や生活環境に多大な影響を及ぼすためです。
さらに深刻なのは、法第19条に規定される「無過失賠償責任」です。事業者が汚れた排水を排出したことで人の生命または身体を害したときは、事業者は過失の有無に関わらず損害賠償責任を負います。その他の違反行為についても罰則があり、特定施設の設置・変更の未届出や虚偽の届出は3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金、自主測定の未記録や虚偽記録は30万円以下の罰金、氏名変更などの届出違反は10万円以下の過料となっています。法第35条の両罰規定により、違反行為者とともに法人にも同じ罰金が科される点も注意が必要です。
参考)水質汚濁防止法の有害物質とは?排水基準や違反した場合の罰則を…
自動車整備業や洗車業において排水基準を遵守するためには、日常的な水質管理が不可欠です。法第14条第1項および施行規則第9条により、特定事業場は年に1回以上の排出水の測定を実施し、その結果を記録・保管することが義務付けられています。測定する項目は、特定施設の設置届出書(様式第一)別紙四により届け出た項目となります。
洗車排水の主な汚染物質は、洗剤、泥、油、グリースです。特に自動車整備工程では洗車施設等から汚濁物質が排水と一緒に排出されるため、適切な排水処理が必要です。排水中の油の状態には、水面に浮上している「浮上油」や水中に溶け込んだ状態のものがあり、それぞれに応じた処理方法を選択する必要があります。排水基準以上の油が含まれている場合は、除害施設を設ける等により基準値以内にして排出しなければなりません。
参考)https://www.scientific.net/AMM.773-774.1153.pdf
水質事故のリスクを減らすためには、日常の水質検査が重要です。簡易測定器であるパックテストを使用すれば、その場で検査結果がすぐにわかり、コストも時間も抑えられます。ただしパックテストには有効期限があるため、定期的な管理が必要です。また、油をこぼした場合は水で洗い流さず拭き取る等の処置を行い、こぼれやすい場所が決まっている場合は流出防止の受けを設ける等の管理が推奨されます。万が一事故が発生した場合は、速やかに応急措置を講じるとともに、行政機関へ電話で第一報を入れ、その後正式な届出を行うことが法律で定められています。
参考)https://www.city.kawasaki.jp/800/cmsfiles/contents/0000084/84115/abura.pdf
環境省「水質汚濁防止法に基づく排水規制について」
https://www.env.go.jp/content/000300422.pdf
排水基準の全体像と特定施設の例について詳しく記載されています。
環境省「一般排水基準」
https://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html
有害物質と生活環境項目の具体的な基準値が確認できます。
環境のタネ「排水基準とは」
【はじめての水質汚濁防止法】排水基準とは?「排水基準を定める…
排水基準の基本的な考え方から実務的な対応まで分かりやすく解説されています。