新湘南バイパス延伸で圏央道と西湘バイパス直結計画

新湘南バイパスの延伸工事により、圏央道と西湘バイパスが直結される計画が進行中です。平塚市内の交通渋滞解消と湘南エリアの高速道路網強化が期待されますが、現在の進捗状況はどうなっているのでしょうか?

新湘南バイパス延伸計画の全貌

新湘南バイパス延伸の重要ポイント
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延伸区間の概要

茅ヶ崎海岸ICから西湘バイパスまで5.5km、平塚ICと平塚料金所を新設予定

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交通網の強化

圏央道と西湘バイパスが直結し、湘南エリア全体の高速道路アクセスが向上

現在の進捗状況

用地取得率87%、設計協議と関係事業者との調整が継続中

新湘南バイパス延伸の基本計画と構造

新湘南バイパス延伸計画は、現在の終点である茅ヶ崎海岸ICから西湘バイパスの大磯東ICまでを結ぶ5.5kmの区間を整備する大規模プロジェクトです。この延伸区間は4車線の高架構造で建設され、国道134号の上を通過する形で計画されています。

 

延伸区間の特徴的な構造として、JR平塚駅南側付近に「平塚IC(仮称)」が設置される予定です。この平塚ICは、平塚市中心部から直接高速道路網にアクセスできる重要な拠点となります。さらに、その先には「平塚料金所(仮称)」が設置され、料金所を過ぎた先は無料区間として西湘バイパスへ直通する計画となっています。

 

この構造により、圏央道から茅ヶ崎海岸ICまでの有料区間と、平塚料金所から西湘バイパスまでの無料区間が明確に分離され、利用者にとって分かりやすい料金体系が実現されます。

 

新湘南バイパス延伸による交通渋滞解消効果

現在の平塚市内は、国道1号と国道134号が主要な東西幹線道路として機能していますが、信号が多く慢性的な渋滞が発生しています。特に朝夕のラッシュ時間帯や週末の行楽シーズンには、深刻な交通渋滞が発生し、地域住民の生活や経済活動に大きな影響を与えています。

 

新湘南バイパス延伸により、これらの渋滞問題が大幅に改善されることが期待されています。高架構造により信号ゼロでの通行が可能となり、平塚市内を通過する交通が一般道路から分離されるためです。

 

国土交通省の調査によると、新湘南バイパスの整備により費用対効果(B/C)は1.3と算出されており、経済効果も十分に見込まれています。また、救急医療サービスの向上も期待されており、藤沢市民病院救命救急センターへの30分圏域人口が約1.4万人拡大する見込みです。

 

新湘南バイパス延伸工事の現在の進捗状況

2025年7月現在、新湘南バイパス延伸工事の進捗状況は以下の通りです。用地取得率は2022年3月時点で87%に達しており、大部分の用地確保が完了しています。しかし、「大規模物件の用地代替え要望への検討・調整」が継続中で、完全な用地取得には時間を要している状況です。

 

工事の具体的な進捗として、茅ヶ崎海岸ICでは延伸を見越した橋脚が既に建設されており、将来の接続に向けた準備が進められています。これらの橋脚は、古代ローマ遺跡のような印象的な景観を作り出しており、地域住民の間では話題となっています。

 

2024年度の事業予算は5000万円で、主に調査設計が実施されました。2025年度予算案でも同様の予算規模が予定されており、本格的な工事着手にはまだ時間がかかる見込みです。

 

国土交通省横浜国道事務所では、茅ヶ崎海岸ICから相模川渡河部分を先行して着手する方針を示しており、段階的な整備が進められる予定です。

 

新湘南バイパス延伸が湘南エリアの観光産業に与える影響

新湘南バイパス延伸は、湘南エリアの観光産業に革命的な変化をもたらす可能性があります。現在、首都圏から箱根・小田原方面へのアクセスは小田原厚木道路が主要ルートとなっていますが、延伸完成により新たな選択肢が生まれます。

 

特に注目すべきは、圏央道と西湘バイパスが直結することで実現する「海側直結ネットワーク」です。これにより、箱根・小田原・平塚から横浜・東京・木更津までが信号ゼロで結ばれ、観光地間の移動時間が大幅に短縮されます。

 

湘南海岸エリアの観光施設にとっても大きなメリットがあります。現在、茅ヶ崎海岸ICを利用する交通の約5割が西湘バイパス以西への広域交通となっており、延伸により更なる観光客の増加が期待されます。

 

また、平塚市内に新設される平塚ICは、湘南ひらつか七夕まつりや平塚競輪場などの地域イベント・施設へのアクセス向上にも寄与します。これまで一般道路の渋滞により敬遠されがちだった平塚市内の観光スポットが、高速道路直結により新たな魅力を発揮することが予想されます。

 

新湘南バイパス延伸と圏央道横浜延伸の連携効果

新湘南バイパス延伸計画は、圏央道横浜延伸プロジェクトと密接に連携しています。現在、藤沢ICから横浜市栄区までの「横浜湘南道路」の建設が進められており、これが完成すると新湘南バイパスは圏央道の一部として機能することになります。

 

横浜湘南道路は延長7.5km、4車線の地下トンネル構造で建設されており、本線の5.6kmが地下トンネルとなる大規模工事です。当初は2024年度開通を目指していましたが、技術的な困難により現在は開通時期が未定となっています。

 

この横浜延伸が完成すると、新湘南バイパスは横浜横須賀道路や首都高湾岸線と直結し、東京湾アクアラインまでの広域ネットワークが形成されます。これにより、湘南エリアから千葉県木更津市まで、海沿いの高速道路網で結ばれることになります。

 

藤沢IC付近では、この横浜湘南道路との接続工事が段階的に進められており、2024年8月には茅ヶ崎料金所から藤沢ICまでの区間で車線数が復旧し、上下線とも2車線での通行が可能となりました。

 

さらに、将来的には伊豆半島方面への延伸も構想されており、「伊豆湘南道路」として伊豆縦貫自動車道との接続も検討されています。これが実現すれば、首都圏から伊豆半島まで、海沿いの景観を楽しみながら高速移動が可能となる壮大な交通ネットワークが完成することになります。

 

国土交通省関東地方整備局の新湘南バイパス事業に関する詳細情報
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000817290.pdf
NEXCO中日本による新湘南バイパス建設進捗状況の公式発表
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/operation/construction/progress/segment.php?construction_section_code=chigasakikaiganoiso