2025年の国産ステーションワゴン市場で最も注目を集めているのが、トヨタクラウンエステートです。初代クラウンから70周年という記念すべき年に登場したこのモデルは、新しいクラウンファミリーの最後のピースとして位置づけられています。
クラウンエステートの特徴は以下の通りです。
バンパー一体型フロントグリルやハンマーヘッドフェイスと呼ばれるスタイリッシュな意匠は、トヨタの新しいフラグシップワゴンとしての存在感を放っています。クロスオーバーと同じプラットフォームを採用することで、従来のクラウンとは一線を画す若々しいキャラクターを実現しました。
スバルからは、北米市場で通算7代目となる新型アウトバックが発表されています。よりラギッドで大胆なエクステリアと機能的で現代的な内装を融合し、一目で高い走破性を兼ね備えていることが分かるスタイルを採用しています。
新型アウトバックの技術的ハイライト。
輸入車市場では、メルセデスAMG C63S Eパフォーマンス ステーションワゴンが大きな話題を呼んでいます。このモデルは、フロントに2.0L 4気筒ターボエンジン、リアに交流同期モーターと高性能バッテリーを搭載したプラグインハイブリッドシステムを採用しています。
驚異的な性能数値。
特筆すべきは、メルセデスAMG ペトロナスF1チームが使用しているF1ハイブリッドレーシングマシンの先進テクノロジーを元にしたバッテリーシステムです。これにより、アップダウンのあるワインディングを高速走行する場面で、上りでただちに100%のパワーを引き出すことができる一方、下りでは強力な回生ブレーキを実現しています。
フォルクスワーゲンからは新型パサートが登場し、アウディからはA5アバントが新たにラインナップに加わりました。これらのモデルは、ヨーロッパの洗練されたデザインと実用性を兼ね備えており、日本の輸入車ファンから高い注目を集めています。
2025年の新型ステーションワゴンは、単なる荷室の広さだけでなく、先進的な技術と安全性能で差別化を図っています。
スバルの新型アウトバックでは、従来の縦型ディスプレイから一般的な横型の12.1インチスバルマルチメディアシステムに変更されました。エアコンの操作パネルは物理スイッチを持つ独立したものとなっており、操作性の向上が図られています。
安全装備の進化も目覚ましく、以下の機能が新たに採用されています。
これらの機能により、長距離ドライブでの疲労軽減と安全性の向上が実現されています。
パワートレインの面では、スバルが最高出力180馬力の2.5リッター水平対向直噴自然吸気エンジンと、最高出力260馬力の2.4リッター直噴ターボエンジンを用意。トランスミッションは8速MTシフトモード付のリニアトロニックCVTを搭載し、スムーズな走行性能を実現しています。
現在の日本市場では、実に32モデルものステーションワゴンが新車で購入可能です。これは、SUVやミニバンに人気が移ったとはいえ、ステーションワゴンの選択肢が依然として豊富であることを示しています。
サイズ別の分類では以下のようになっています。
コンパクトサイズ
ミドルサイズ
ラージサイズ
人気ランキングでは、スバル レヴォーグが上位を占めており、特に2代目レヴォーグは2020年10月の登場以来、高い評価を得ています。現行モデルは先代からボディサイズをわずかに拡大しているものの、取り回しの良いサイズに抑えられています。
レヴォーグの魅力的な特徴。
ステーションワゴンの未来を語る上で避けて通れないのが電動化の波です。トヨタは2026年春に新型「bZ4Xツーリング」を欧州で発売予定です。これは、SUVタイプのBEVとして販売中の「bZ4X」をベースに全長を伸ばしたワゴンスタイルのモデルです。
電動化ステーションワゴンの特徴。
一方で、従来のガソリンエンジンモデルも進化を続けています。ホンダのエアウェイブは、コンパクトなボディながらクラストップの容量を誇るラゲッジスペースを実現。Honda独創のセンタータンクレイアウトを採用し、低床による使い勝手の良さに加え、様々なシートアレンジを可能としています。
興味深いのは、大開口のスカイルーフを採用することで、圧倒的な開放感を演出している点です。フロントウインドウからルーフにかけて、ガラスエリアがつながるグラッシーな一体感は、スタイリッシュなエクステリアにも寄与しています。
環境性能の面では、1.5L VTECエンジンとホンダマルチマチックSの組み合わせにより、クラストップレベルの18.0km/Lという燃費性能を実現。平成22年度燃費基準+5%レベルを達成するとともに、国土交通省の平成17年排出ガス基準75%低減レベル認定を取得し、グリーン税制の優遇措置を受けることができます。
新型ステーションワゴンの市場は、従来の実用性に加えて、環境性能、先進技術、デザイン性のすべてを高次元で融合させる方向に進化しています。消費者のライフスタイルの多様化に対応し、単なる荷物運搬車両から、アクティブなライフスタイルを支えるパートナーとしての役割を担うようになっています。
今後も各メーカーが独自の技術と哲学を込めた新型ステーションワゴンを投入することで、この魅力的なカテゴリーはさらなる発展を遂げることでしょう。