2024年4月に北米市場で発表された新型レガシィセダンは、従来モデルから大幅にフロントマスクを刷新しました。最も注目すべき変更点は、大型化されたグリルと新デザインのバンパー、そして精悍な印象を与えるLEDヘッドライトの採用です。
フロントグリルは従来よりも存在感を増し、スバルらしいヘキサゴナル(六角形)デザインを踏襲しながらも、よりスポーティで力強い印象を演出しています。LEDヘッドライトは鋭角的なデザインを採用し、フォグランプと組み合わせることで、昼夜を問わず高い視認性を確保しています。
サイドビューでは、流麗なルーフラインが特徴的で、セダンでありながらクーペのような美しいシルエットを実現。リアデザインも一新され、テールランプのデザインが刷新されることで、より現代的で洗練された印象を与えています。
ボディカラーは複数の選択肢が用意されており、特に新色として追加されたメタリック系のカラーは、新型レガシィセダンの精悍なデザインを際立たせる効果があります。
新型レガシィセダンの心臓部には、2.4リッター水平対向4気筒ターボエンジンが搭載されています。このエンジンは、スバル独自の水平対向エンジン(ボクサーエンジン)の特性を活かし、低重心化による優れた走行安定性を実現しています。
最高出力は約260馬力を発生し、最大トルクは約380Nmを実現。これにより、セダンでありながらスポーティな加速性能を提供します。トランスミッションには、スバル独自のCVT「リニアトロニック」が組み合わされ、滑らかな加速フィールと優れた燃費性能を両立しています。
駆動方式は、スバル伝統のシンメトリカルAWD(全輪駆動)システムを採用。このシステムにより、雨天や雪道などの悪路でも安定した走行性能を発揮します。特に、VTD-AWD(Variable Torque Distribution AWD)システムにより、路面状況に応じて前後輪のトルク配分を最適化し、優れたトラクション性能を実現しています。
また、SI-DRIVE(Subaru Intelligent Drive)システムも搭載されており、ドライバーの好みに応じて走行特性を変更可能。エコモードからスポーツモードまで、様々なシーンに対応した走りを楽しむことができます。
新型レガシィセダンには、スバルが誇る先進安全技術「EyeSight」の最新バージョンが標準装備されています。このシステムは、ステレオカメラを使用した運転支援システムで、衝突回避支援や誤発進抑制機能、全車速追従機能付クルーズコントロールなど、多彩な安全機能を提供します。
特に注目すべきは、歩行者や自転車の検知精度が向上した点です。従来のシステムと比較して、より幅広い状況での危険回避をサポートし、ドライバーの安全運転を強力にバックアップします。
インフォテインメントシステムも大幅に進化しており、大型タッチスクリーンディスプレイを中心とした直感的な操作性を実現。Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応し、スマートフォンとの連携も可能です。
また、スバル伝統のMcIntosh製オーディオシステムもオプションで選択可能。高品質なサウンドシステムにより、ドライブ中の音楽体験を格段に向上させます。
さらに、新型レガシィセダンでは、リモートエンジンスタートやスマートフォンアプリを使用した車両管理機能も搭載。現代のライフスタイルに合わせた利便性を提供しています。
現在、日本市場では新型レガシィセダンの販売は行われておらず、レガシィB4は2020年をもって販売終了となっています。この背景には、日本国内でのセダン需要の急激な減少があります。
日本でセダンが売れなくなった主な理由として、以下の要因が挙げられます。
一方、北米市場では複数台所有が一般的で、セダンも選択肢の一つとして根強い人気を保っています。このため、スバルは北米市場向けにレガシィセダンの開発・販売を継続しているのです。
日本導入の可能性については、現在のところ公式な発表はありません。しかし、一部の自動車愛好家からは復活を望む声も聞かれており、特にスバリストと呼ばれる熱心なファンからの要望は根強いものがあります。
スバルの高性能部門であるSTI(Subaru Tecnica International)からは、レガシィセダンをベースとした特別なコンプリートモデル「S210」が発表されています。このモデルは、史上最高額の870万円という価格設定にも関わらず、申し込みが殺到している状況です。
S210の主な特徴は以下の通りです。
このコンプリートモデルは、単なる外観の変更にとどまらず、エンジン、足回り、空力性能まで総合的にチューニングされた本格的な高性能セダンとして仕上げられています。
特に注目すべきは、吸排気系の徹底的な見直しです。ターボ前ダクトの新開発や砲弾型チャンバーを備えたリアエキゾーストパイプなど、細部にわたってパフォーマンス向上が図られています。
また、STI定番のフレキシブルドロータワーバーとフレキシブルドロースティフナーの前後セットにより、ボディ剛性を向上させ、意のままに操れるハンドリング性能を実現しています。
このような本格的なコンプリートモデルの存在は、レガシィセダンの潜在的な性能の高さを示すものであり、スバルのセダンに対する技術的なこだわりを感じさせます。
価格は確かに高額ですが、その分だけ徹底的にチューニングされた内容となっており、スバル愛好家にとっては垂涎の一台と言えるでしょう。限定生産という希少性も相まって、コレクターズアイテムとしての価値も高いモデルです。