三菱自動車のタイ法人は2024年3月18日、新型パジェロスポーツの2024年モデルを発表しました。今回のモデルチェンジでは「Elevate your Journey」をテーマに、パワーユニットの一新とデザインの刷新が行われています。
新型パジェロスポーツは、三菱を代表する本格SUV「パジェロ」の名称とオフロード性能・信頼性・耐久性を継承しながら、快適性・機能性を兼ね備えたミディアムサイズSUVとして位置づけられています。現行型は3代目で2015年8月に登場しており、ピックアップトラックのラダーフレームをベースに開発され、先代「トライトン」をベースとしています。
価格は138万9000バーツ(約575万円)から168万9000バーツ(約699万円)で設定されており、本格的なオフロード性能を持つSUVとしては競争力のある価格帯となっています。
2024年モデルの最大の特徴は、新世代の電子コモンレール噴射装置を備えた2.4リッター4気筒ディーゼルターボエンジン「ハイパーパワー」ユニットの搭載です。このエンジンは最高出力184馬力(184PS)・最大トルク430Nmを発揮し、車両の軽量化と燃費向上を同時に実現しています。
トランスミッションは8速ATを採用し、パドルシフトとの組み合わせにより力強さと扱いやすさを両立しています。2025年に発表されたプライムグレードでは6速ATとなっており、グレードによって仕様が異なります。
燃費性能については、2WDモデルで15.2km/Lという優秀な数値を記録しており、本格SUVでありながら環境性能にも配慮した設計となっています。従来モデルと比較して約17%の燃費改善を実現しており、日常使いでも経済性を重視するユーザーにとって魅力的な仕様です。
外観デザインでは、三菱のデザインコンセプト「ダイナミックシールド」を進化させたフロントデザインが採用されています。フロントグリルから連続するヘッドライトと、バンパー左右コーナー部に配置したコンビネーションランプによりワイド感を強調し、より力強い印象を与えています。
ボンネットは従来よりも高くされ、厚みのあるフロントフェイスと立体的で力強さを増したメッキパーツにより、さらに洗練されたフロントデザインを実現しています。サイドビューでは、SUVらしい堂々とした佇まいを保ちながら、都市部でも違和感のないスタイリッシュなデザインとなっています。
内装については、3列7人乗りのレイアウトを採用し、全席が本革張りとなっているグレードも設定されています。計器パネルには8インチのフルデジタルディスプレイを採用し、運転席にはパワーランバーサポートを追加するなど、快適性と機能性を向上させています。
特別仕様車「SHOGUN」では、豪華なレッド内装が採用され、プレミアム感を演出しています。シフトレバー周辺には駆動モードの切り替えスイッチや電動パーキングブレーキなど、操作系が集約されており、直感的な操作が可能です。
安全装備では、三菱の先進安全技術「ダイヤモンドセンス」が搭載されています。アダプティブクルーズコントロール、前方衝突軽減ブレーキ、マルチアラウンドモニターに加え、レーンチェンジアシスト付きブラインドスポットワーニング、リアクロストラフィックアラートも新たに追加されています。
エアバッグシステムでは、サイド、サイドカーテン、ニーエアバッグを含む計7つのエアバッグを備え、安全性がさらに強化されています。これらの装備により、高速道路での長距離運転や市街地での運転において、ドライバーの負担を軽減し、安全性を向上させています。
4WDシステムでは「スーパーセレクトII 4WDシステム」を採用し、ドライバーは路面状況に応じて4つの駆動モードをダイヤルで選択することができます。2WDモデルと4WDモデルがラインナップされており、4WDモデルにはフロントとリアの駆動力配分が異なる3つのモードが用意されています。
この4WDシステムにより、舗装路での快適な走行から、悪路での確実な走破性まで、幅広いシーンに対応できる性能を実現しています。
現在、新型パジェロスポーツは主にタイ、南アフリカ、オーストラリアなどの海外市場で販売されており、日本での正式な販売は行われていません。しかし、初代パジェロスポーツは「チャレンジャー」として日本国内でも販売された実績があります。
日本の自動車市場では都市型クロスオーバーSUVが主流となっていますが、本格的なオフロード性能を持つSUVに対する需要も根強く存在しています。特に、アウトドアレジャーの人気が高まる中で、ラダーフレーム構造を持つ本格SUVへの関心は高まっています。
三菱自動車は現在、日本市場でのSUVラインナップを強化しており、新型パジェロスポーツの日本導入についても検討されている可能性があります。ただし、日本の道路事情や排出ガス規制、安全基準などをクリアする必要があり、導入には時間がかかる可能性があります。
海外での販売実績や評価を見ると、ロシアでは「SUV オブ・ザ・イヤー 2021」を受賞するなど、高い評価を得ています。このような実績は、日本導入の際の説得材料となる可能性があります。
現在の価格帯を考慮すると、日本で販売される場合は400万円から600万円程度の価格帯になると予想され、同クラスの競合車種と比較しても競争力のある価格設定となる可能性があります。
三菱自動車ファンや本格SUVを求めるユーザーにとって、新型パジェロスポーツの日本導入は待ち望まれる展開といえるでしょう。