新型ムーブカスタムターボ廃止の真相と代替案

2025年に発売された新型ムーヴでは、従来のカスタムシリーズが廃止されました。ターボエンジンはRSグレードに統合され、スライドドア採用で大幅進化を遂げています。果たして新型ムーヴは従来のカスタムターボの魅力を継承できているのでしょうか?

新型ムーブカスタムターボ廃止と新戦略

新型ムーヴの主要変更点
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カスタムシリーズ廃止

従来の標準車とカスタムの2本立てから、標準モデル1本に統合

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スライドドア初採用

ムーヴシリーズ初となる両側スライドドアを標準装備

ターボはRSグレードに統合

ターボエンジンは最上位RSグレードのみの設定に変更

新型ムーブカスタムターボ廃止の背景と理由

2025年6月5日に発売された7代目新型ムーヴでは、これまで30年間続いてきたカスタムシリーズが完全に廃止されました。この大胆な戦略変更には、ダイハツの明確な意図があります。

 

従来のムーヴは標準車とカスタムの2本立てで展開されていましたが、新型では標準モデル1本に統合することで、開発コストや投資を抑制し、より安価で魅力的な軽自動車を提供することを目指しています3。

 

この変更により、ターボエンジンを搭載したモデルは最上位の「RS」グレードのみとなり、従来のカスタムターボの役割を担うことになりました。価格は189万7500円(2WD)から202万4000円(4WD)に設定されており、従来のカスタムRSと比較すると若干の価格上昇が見られます。

 

新型ムーブRSグレードのターボエンジン性能詳細

新型ムーヴのRSグレードに搭載されるターボエンジンは、従来のカスタムターボから大幅な進化を遂げています。KF型660cc直列3気筒DOHCターボエンジンは、最高出力64馬力、最大トルク9.4kg・mを発揮し、D-CVTとの組み合わせにより優れた動力性能を実現しています。

 

特筆すべきは燃費性能の向上で、WLTCモード燃費は21.5km/Lを達成しています3。これは従来のカスタムターボと比較して大幅な改善となっており、スライドドアの採用により車重が増加しているにも関わらず、燃費性能が向上している点は驚異的です。

 

新開発のDNGAプラットフォームの採用により、軽量化と剛性向上を両立させ、ターボエンジンの性能を最大限に引き出すことに成功しています。また、アダプティブクルーズコントロールやパドルシフトなど、スポーティな装備も充実しており、従来のカスタムターボユーザーの期待に応える仕上がりとなっています。

 

新型ムーブスライドドア採用による利便性向上

新型ムーヴの最大の特徴は、シリーズ初となる両側スライドドアの採用です。これまでムーヴシリーズでスライドドアを採用していたのはムーヴキャンバスのみでしたが、メインストリームのムーヴにも遂に搭載されました。

 

右側スライドドアは全グレードで手動式を標準装備し、RSグレードでは電動機能が追加されます。左側スライドドアは全グレードで手動式となっており、ファミリー層の利便性を大幅に向上させています。

 

スライドドア採用により、狭い駐車場でも楽々乗降が可能となり、子育て世代や高齢者にとって使い勝手が格段に向上しました。また、大きな荷物の積み込みも容易になり、日常使いでの利便性が大幅に向上しています。

 

従来のヒンジドアと比較して、スライドドアは開口部が広く、乗降性が向上するだけでなく、隣の車両への接触リスクも軽減されます。これにより、ショッピングセンターなどの混雑した駐車場でも安心して利用できるようになりました。

 

新型ムーブ価格設定とグレード構成の戦略

新型ムーヴの価格設定は、従来モデルと比較して戦略的な変更が行われています。エントリーグレードの「L」は135万8500円からスタートし、最上位の「RS」4WDモデルでも202万4000円に抑えられています。

 

グレード構成は以下の通りです。

  • Lグレード: 135万8500円(2WD)/ 148万5000円(4WD)
  • Xグレード: 149万500円(2WD)/ 161万7000円(4WD)
  • Gグレード: 171万6000円(2WD)/ 184万2500円(4WD)
  • RSグレード: 189万7500円(2WD)/ 202万4000円(4WD)

この価格設定により、従来のカスタムターボユーザーはRSグレードに移行することが想定されています。RSグレードには、本革巻きステアリングホイール、パドルシフト、アダプティブクルーズコントロールなど、スポーティな装備が充実しており、従来のカスタムターボの魅力を継承しています。

 

また、全グレードにスマートアシスト(衝突回避支援システム)が標準装備されており、安全性能も大幅に向上しています。メーカーオプションでブラインドスポットモニターも選択可能で、高速道路での安全運転をサポートします。

 

新型ムーブ競合車種との差別化戦略分析

新型ムーヴは、激戦区の軽自動車市場において独自のポジションを確立しようとしています。最大のライバルであるホンダN-BOXとの差別化が重要な戦略となっています。

 

N-BOXカスタムターボは204万9300円からの価格設定となっており、新型ムーヴRSの189万7500円と比較すると、約15万円の価格差があります。この価格優位性は、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとって大きな魅力となります。

 

燃費性能では、N-BOXカスタムターボのWLTCモード燃費20.3km/L(2WD)に対し、新型ムーヴRSは21.5km/Lを実現しており、燃費面でも優位性を保っています。

 

また、新型ムーヴは「メリハリ堅実層」をターゲットに設定し、合理性とこだわりを持って商品を選ぶユーザーに訴求しています。これは、単純な低価格戦略ではなく、価値ある機能を厳選して搭載することで、コストパフォーマンスの高い商品を提供する戦略です。

 

デザイン面では、従来のカスタムシリーズが持っていたアグレッシブさを標準モデルに統合し、「動く姿が美しい端正で凛々しいデザイン」を追求しています。これにより、幅広い年齢層に受け入れられるデザインを実現しています。

 

月間販売目標台数は6000台に設定されており、N-BOXの月間販売台数と比較すると控えめな設定となっていますが、確実な需要を見込んだ現実的な目標と言えるでしょう。

 

新型ムーヴの成功は、カスタムシリーズ廃止という大胆な戦略変更が市場に受け入れられるかどうかにかかっています。従来のカスタムターボファンがRSグレードに移行し、新たなユーザー層も獲得できれば、ダイハツの戦略は成功と言えるでしょう。