トヨタ・マジェスティは2019年8月16日にタイで世界初公開された高級ミニバンです。このモデルは海外向け新型ハイエース(H300系)をベースとしており、従来のキャブオーバー形式とは異なるセミボンネットタイプを採用しています。
基本仕様
パワーユニットには、バイオディーゼル燃料20%混合の「B20」に対応した環境配慮型エンジンを搭載しています。これはタイ政府が推奨する環境政策に対応したもので、現地のニーズに合わせた仕様となっています。
マジェスティの価格設定は、タイの高級ミニバン市場において戦略的なポジションを狙ったものです。
グレード別価格(タイ現地価格)
この価格設定の背景には、タイでのアルファード・ヴェルファイアの価格が374万7,000バーツ(約1,311万円)と非常に高額になっていることがあります。輸入車に対する80%の関税とその他の税金により、日本価格の約3倍に膨れ上がっているのです。
マジェスティは現地生産により、この価格ギャップを埋める「手の届く高級ミニバン」として位置づけられています。月販目標台数は300台と設定されており、タイの高級ミニバン市場での確実なシェア獲得を目指しています。
マジェスティの最大の特徴は、アルファード・ヴェルファイアに匹敵する豪華な装備です。
エクステリア装備
インテリア装備
特に注目すべきは2列目のマッサージ機能付きキャプテンシートです。これは長距離移動時の疲労軽減に大きく貢献し、ビジネス用途での利用価値を高めています。
安全装備
マジェスティの日本導入については、複数の要因が関係しています。
導入に有利な要因
実際に、マジェスティと同じH300系ハイエースベースの「グランエース」が2019年12月に日本で発売されています。これは8人乗りの高級ワゴンとして位置づけられており、マジェスティの11人乗り仕様とは差別化が図られています。
導入の課題
海外向け新型ハイエースは、ショートボディでも日本の道路事情には大きすぎるサイズとなっています。これが日本導入の最大の障壁となっているのが現状です。
タイ市場におけるマジェスティの競合状況を分析すると、独特のポジションが見えてきます。
競合車種比較表
車種 | 価格帯 | 乗車定員 | 特徴 |
---|---|---|---|
アルファード/ヴェルファイア | 約1,311万円~ | 7-8人 | 最高級、輸入車 |
マジェスティ | 約598万円~ | 11人 | 現地生産、大容量 |
従来のベンチュリー | - | - | 旧世代モデル |
マジェスティは、アルファード・ヴェルファイアの半額以下の価格でありながら、11人乗りという大容量を実現しています。これは大家族や業務用途での需要に応える独自のポジションです。
市場での評価ポイント
タイでは週末のレジャー利用と平日のビジネス利用の両方を想定した「デュアルユース」のニーズが高く、マジェスティはこの要求に的確に応えています。
また、タイの高級ミニバン市場は今後も成長が予想されており、マジェスティの投入タイミングは市場の拡大期と重なっています。現地生産による価格競争力と、トヨタブランドの信頼性が相まって、市場での成功が期待されています。
生産面では、トヨタ車体のいなべ工場で製造されており、品質面での信頼性も確保されています。これは海外展開における重要な要素であり、マジェスティの競争優位性を支える基盤となっています。