トヨタ・シエンタのハイブリッド車には、メーカーオプションとしてアクセサリーコンセントが設定されています。このシステムは、車内においてAC100Vで消費電力の合計が1500W以下の電気製品を使用できる優れた機能です。
コンセントの設置場所は2箇所で、インパネ部とラゲージデッキサイド左側に配置されています。この配置により、運転席周辺での作業時と荷室での電化製品使用時の両方に対応できる設計となっています。
システムの構成部品には以下が含まれます。
価格は44,000円(税込)のメーカーオプションとなっており、注文時にのみ申し込み可能です。ガソリン車には装着できないため、ハイブリッド車専用の装備となっています。
シエンタのアクセサリーコンセントを使用する際には、いくつかの重要な制限事項があります。まず、AC100Vで消費電力の合計が1500W以下の電気製品を使用する必要があり、規定容量を超える電気製品を使用すると保護機能が働いて給電機能が停止します。
特に注意が必要なのは、消費電力が大きな電気製品(ホットプレートなど)の使用です。これらの製品の中には、コンセントを単独で使うことを必須としているものがあり、他の電気製品と併用できません。
正しく作動しないおそれがある電気製品として、以下のようなものが挙げられています。
また、コンセント使用中にはラゲージルーム付近から冷却用ファンの音がすることがありますが、これは正常な動作です。
シエンタの非常時給電システムは、災害などによる非常時に車両の走行機能を停止した状態で、AC100Vで消費電力の合計が1500W以下の電気製品を使用できるシステムです。
非常時給電システムの起動手順は以下の通りです。
ガソリン満タン状態で約5.5日分の電力供給が可能とされており、災害時の頼もしい電源として活用できます。
シエンタのアクセサリーコンセントには、あまり知られていない重要な設定があります。それが電源周波数の設定です。トヨタ車のアクセサリーコンセントは、メーカー出荷時に50Hz(切りかえコネクター結合)に設定されていますが、60Hzに切りかえることが可能です。
この設定は地域によって重要な意味を持ちます。
実際の使用者の体験談によると、関西地方で使用する場合でも初期設定は50Hzのままになっており、ディーラーで60Hzに変更してもらう必要があります。特に精密な測定機器や特殊な試験器を使用する場合、正確な周波数設定が重要になります。
周波数の変更は、後部座席の下にあるコネクタを操作することで行われます。接続すると50Hz、外すと60Hzになる仕組みです。この作業はディーラーで行ってもらう必要があり、一般的なパソコンやプリンターは50Hz・60Hzどちらでも使用できますが、専門機器を使用する場合は事前に確認することをお勧めします。
シエンタのアクセサリーコンセントは、車中泊においても非常に有用な機能です。ハイブリッド車限定の機能ですが、交流の100V、1500Wのコンセントが2箇所についており、ガソリン満タン時に消費電力400W時で5日間の長時間電力供給が可能です。
車中泊での活用例。
ただし、シエンタのハイブリッドシステムは、BEV(バッテリーEV)やPHEV(プラグインハイブリッド)ほどの大容量バッテリーではないため、電気が減っていくと車載のコンピュータが自動的に計算し、必要に応じてエンジンによる充電を開始します。
車中泊時の注意点。
シエンタの室内空間の広さと合わせて、アクセサリーコンセントがあることで、より快適で実用的な車中泊が可能になります。特に災害時には、移動可能な電源として非常に重要な役割を果たすことができるでしょう。
トヨタ公式サイトの給電機能詳細ページ
トヨタ車全体の給電機能について詳しい情報が掲載されており、シエンタ以外の車種との比較も可能です。