トヨタ車における車両火災の代表的な事例として、プリウス(型式:DAA-ZVW41W)での火災が報告されています。この事例では、駐車してから約5分後にエンジンルームから出火し、調査の結果、社外品HIDヘッドライトキットの不具合が原因と推定されました。
トヨタ車の火災事例で注目すべき点は、ハイブリッド車特有の電装系統の複雑さです。特にプリウスのような人気車種では、社外品パーツの取り付け需要が高く、不適切な施工による火災リスクが増加しています。
国土交通省のデータによると、2016年から2020年の5年間で自動車の不具合による車両火災は約2300件発生しており、その中でもトヨタ車の事例は相当数を占めています。
トヨタ車で特に注意すべきは以下の点です。
ホンダ車では、N-BOX(型式:JF1 S07A)での火災事例が特徴的です。一般道路走行中に助手席側のボンネットとカウルトップの間から白煙が発生し、路肩停車後に出火しました。調査結果では、左ヘッドライトの社外品HIDバルブが異常加熱または取付け部から脱落したことが原因と推定されています。
ホンダ車の火災事例で特に注目されるのは、軽自動車での発生頻度の高さです。N-BOXのような人気軽自動車では、コストを抑えた社外品パーツの使用が多く、品質の低い製品による火災リスクが懸念されています。
ホンダ車における火災の特徴。
軽自動車特有の構造的制約により、社外品電装品の取り付けスペースが限られ、適切な配線処理が困難になることが火災リスクを高める要因となっています。
日産車では、ノート(型式:E12 HR12DDR)での火災事例が報告されています。走行中に前方を照らす光が暗くなり、焦げ臭さを感じた後、左側前方から発煙し停車後に出火しました。調査では、社外品HIDバルブが走行中に外れ、周りの可燃物に接触して出火・延焼したと推定されています。
日産車の火災事例で特徴的なのは、走行中の異常に気づきやすい傾向があることです。これは日産車の設計思想として、ドライバーへの警告システムが比較的充実していることが関係している可能性があります。
日産車における火災の特徴。
日産車では特にCVT(無段変速機)搭載車が多く、電子制御システムが複雑になっているため、社外品電装品の取り付けには特に注意が必要です。
電気自動車(EV)の普及に伴い、従来のガソリン車とは異なる火災リスクが浮上しています。特に韓国では2024年8月にメルセデス・ベンツ製EVと起亜自動車製EVの火災事故が相次いで発生しました。
EVの火災は主にリチウムイオンバッテリーの熱暴走が原因となります。外部の衝撃や温度変化に敏感で、異常な状況下では急激な温度上昇により火災に至るリスクが高まります。
EV火災の特徴。
韓国政府はこの事態を受けて、メーカーに対してバッテリーパックの製造者情報を公表するよう勧告しており、現代自動車は全車種のEVバッテリーのサプライヤーを自主的に公表しています。
日本国内でも今後EVの普及が進む中で、バッテリー関連の火災対策が重要な課題となっています。
キャンピングカーにおける火災事例として、マックレー製「バレンシア520」の火災が注目されています。この事例では、PSE未認証の充電器が使用され、端子の緩みや充放電制御の不具合が原因で車両火災に至りました。
2023年以降、急速充電機能を持つキャンピングカーの普及とともに、電圧管理の不備や過充電による事故が増加しています。特にバレンシア520のケースでは、大電流による熱暴走が発生し、車体全体が炎上する深刻な事態となりました。
キャンピングカー火災の特徴。
キャンピングカーでは一般的な乗用車と比較して、より大容量の電装システムが搭載されているため、火災が発生した場合の被害が甚大になる傾向があります。
国土交通省の調査によると、バッテリー交換時の作業ミスによる火災が28件、後付け電装品の不適切な取付けによる火災が28件発生しており、キャンピングカーのような特殊車両では特に注意が必要です。
車両火災を防ぐためには、以下の対策が重要です。
メーカー別の火災事例を分析することで、各ブランドの特徴的なリスクを理解し、適切な予防策を講じることが可能になります。特に社外品パーツの取り付けを検討する際は、メーカーの推奨する製品を選択し、専門業者による施工を依頼することが火災リスクを最小限に抑える最も効果的な方法です。