車庫証明の申請において、駐車スペースからのはみ出しは非常にシビアな問題です。「自動車の保管場所の確保等に関する法律」第11条では、「何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない」と明確に定められています。
警察署では車庫証明申請時に現地調査を実施し、車両が完全に駐車区画内に収まるかを厳格にチェックします。元ディーラー営業マンの証言によると、警察官または委託職員が実際に現地を訪れて調査するため、インチキは通用しません。
ただし、例外的なケースも存在します。駐車場の賃貸借契約書や承諾書に「○○センチはみ出して停める事を許可する」という文言を追記してもらえれば、車庫証明が発行される可能性があります。これはローカルルールとして、警察署と大家さんとの相談により決定されます。
道路へのはみ出し駐車は車庫法違反となり、重い罰則が科せられる可能性があります。車庫法第11条1項違反の場合、「3か月の懲役又は20万円以下の罰金」という厳しい処罰が定められています。
さらに、車庫法第11条では以下の行為も禁止されています。
これらの規定により、駐車禁止の表記がない場所でも、継続的なはみ出し駐車は違反行為となります。近隣住民からの通報があれば、警察による取り締まりの対象となる可能性が高まります。
実際の取り締まりでは、明確な「何センチメートルはみ出したら違反」という規定はありませんが、法律上は道路境界線を1ミリでもはみ出せば違反となります。ただし、タイヤ1つ分程度のはみ出しであれば、即座に取り締まられることは少ないのが現実です。
はみ出し駐車は法的問題だけでなく、深刻な近隣トラブルの原因となります。インターネット上では「近所の人たちの車庫入れの邪魔になっていることがわからないんだね」「はみ出しても自分は迷惑してないからいいんだろうね」といった厳しい意見が多数見られます。
近隣住民からの苦情や通報を避けるための対策。
相談掲示板では「車庫法違反だから通報した方がいい」「一回の通報で対応してくれないならしつこく通報して動いてもらった方がいい」というアドバイスも確認されており、継続的なはみ出し駐車は確実に問題となります。
自宅の駐車スペースが車両サイズに対して不十分な場合、月極駐車場などの代替手段を検討する必要があります。車庫法では、自宅から2km以内の範囲で保管場所を確保することが義務付けられています。
代替駐車場選びのポイント。
駐車場契約期間についても注意が必要です。車庫証明取得には最低半年、通常は1年程度の契約期間が求められます。大家さん側では「一度申請した区画で再度車庫証明を取るには半年以上経たないと出来ない」というルールがあるため、短期契約を受け入れてくれる駐車場は限られています。
自動車業界では、車庫証明のはみ出し問題について興味深い実態があります。行政書士の現場では、当初十分な広さがあった駐車スペースが、後から木を植えたり資材を置いたり、物置や屋根を設置することで狭くなってしまうケースが頻発しています。
お客様の多くは「多少長さが足らなくても場所があれば車庫証明は通る」と誤解していますが、申請を担当する行政書士としては、車のアタマが道路にはみ出せば確実にアウトとなります。
実践的な解決策として以下の方法があります。
また、境界線ギリギリの場合は測量を行い、正確な寸法を把握することが重要です。敷地境界から道路境界線まで1.484mあり、車長が4.850mの場合、0.35mはみ出しても境界線には支障がないという計算例もありますが、これは敷地内での話であり、道路へのはみ出しとは別問題です。
警察の巡回チェックも実際に行われており、通報があれば現場確認に来ることが確認されています。ただし、車庫で作業する都合上の一時的なはみ出しについては、現場の状況を見てスルーしてくれるケースもあるようです。
最終的には、法的リスクと近隣関係を考慮し、完全に駐車区画内に収まる環境を整備することが最も安全で確実な解決策となります。