労働基準法改正2025で変わる企業と働き方

2025年に段階的に施行される労働基準法と育児・介護休業法の改正により、企業には育児や介護の両立支援など新たな義務が発生します。施行時期別の主要な改正内容、企業が講じるべき措置、そして実務対応において注意すべき点を整理します。あなたの職場は2025年の法改正にしっかり対応できていますか?

労働基準法改正2025年の段階的施行と対応

2025年の法改正スケジュール
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2025年1月施行の改正内容

労働安全衛生関係の電子申請義務化、厚生年金申請手続きの簡素化

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2025年4月施行の改正内容

育児・介護休業法の段階的施行、子の看護休暇の拡大、残業免除対象の拡大

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2025年10月施行の改正内容

柔軟な働き方実現措置の本格施行、3歳以上小学校就学前の子を持つ従業員への対応

労働基準法改正2025年1月に始まる電子申請義務化

2025年1月1日から、労働基準監督署への各種申請が電子申請で原則義務化されました。対象となるのは労働者死傷病報告、安全管理者などの選任報告、定期健康診断結果報告、心理的負担調査結果報告など7項目です。これまで紙での申請が許容されていましたが、今後は全ての企業がオンラインでの手続きを使用しなければなりません。

 

厚生年金保険法施行規則も改正され、3歳未満の子を養育する場合の申請手続きが簡素化されました。これにより、企業の労務担当者の負担が軽減され、より効率的な手続きが可能になります。すでにこの義務化が開始されているため、未対応の企業は早急に対応システムを整備する必要があります。

 

労働基準法改正2025年4月から育児・介護休業法が本格施行

最も大きな変化は2025年4月1日の育児・介護休業法の改正施行です。この改正は、男女ともに仕事と育児・介護を両立できる環境整備を目的としており、企業規模を問わず全ての企業に新たな義務が課せられます。具体的には、子の看護休暇の対象を小学校3年生修了までに拡大し、取得事由に「感染症に伴う学級閉鎖等」と「入園(入学)式、卒園式」を追加しました。

 

所定外労働の制限(残業免除)の対象者も、従来の3歳未満の子を養育する労働者から、小学校就学前の子を養育する労働者に拡大されます。この改正により、より多くの従業員が仕事と育児のバランスを取ることが可能になります。企業は就業規則の変更届を労働基準監督署に提出し、労働者に周知する手続きが必須です。

 

労働基準法改正2025年10月の柔軟な働き方措置義務化

2025年10月1日から、企業は3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者に対して、柔軟な働き方を実現するための措置を講じることが義務付けられます。事業主は以下の5つの措置の中から2つ以上を選択して導入しなければなりません。

 

第1に始業時刻等の変更(フレックスタイム制や時差出勤)、第2にテレワーク等(月10日以上)、第3に保育施設の設置運営等、第4に養育両立支援休暇の付与(年10日以上)、第5に短時間勤務制度です。労働者はこの中から1つを選択して利用することができます。特に注目すべき点は、短時間勤務制度を選択する場合、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含める必要があることです。

 

労働基準法改正における介護離職防止の強化措置

介護離職防止に向けた施策も大幅に強化されました。企業は介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるよう、研修実施、相談体制の整備、事例の提供、または方針周知のいずれかを必ず講じなければなりません。さらに、労働者が介護に直面した旨を申し出た場合、事業主は個別に周知・意向確認を行う義務があります。

 

独自視点として注目されるのは、「介護に直面する前の早い段階」での情報提供義務です。労働者が40歳に達する日の前後1年間、事業主は介護休業制度や介護保険制度について情報提供しなければなりません。これは従来の法改正には見られない先制的な支援策であり、企業が介護と仕事の両立を預防的にサポートする環境を整備することが求められています。

 

労働基準法改正2025における36協定と残業上限規制の実務対応

2025年の改正では、現行の36協定制度に基づく残業時間上限規制は大きな変更がありませんが、今後の改正を視野に入れた準備が必要です。現在の基準は月45時間、年間360時間の原則上限が設定されており、特別条項付きの場合は年間720時間以内、月45時間超の月は年6回までといった制限があります。

 

企業は36協定を締結する際、労働者の過半数で組織された労働組合または過半数代表者との協議を通じて、適切な上限設定と記録管理体制を構築する必要があります。2026年に向けた労働基準法の大改正では、勤務間インターバル制度の義務化(11時間の確保)や14日以上の連続勤務禁止といった更なる規制強化が検討されているため、今のうちから労働時間管理システムの高度化に取り組むことが重要です。

 

労働基準法改正に対応した企業の実務手続き

改正法への対応において、企業が講じるべき実務手続きは多岐にわたります。第一は就業規則の変更です。新たに追加された措置や要件の変更を反映させた就業規則を作成し、労働者の過半数代表からの意見を聴取して労働基準監督署に届け出ます。これまでのように一度作成したら終わりではなく、段階的な施行に対応して複数回の変更が必要になる場合もあります。

 

第二は労働者への周知です。改正内容をもれなく全従業員に周知することが法律で義務付けられており、単なる掲示や紙配布だけでなく、オンライン面談や個別の意向確認といった個別対応も求められています。特に育児や介護の対象となる従業員に対しては、利用を控えさせるような周知ではなく、利用しやすい環境整備が前提となります。

 

第三は勤怠管理システムの対応です。新たな休暇制度や柔軟な働き方を正確に管理するには、既存のシステムでは対応不足となる可能性があります。月10日以上のテレワーク利用、時間単位での休暇取得、短時間勤務制度など、複雑な勤務形態の管理に対応するシステム導入またはアップデートが推奨されます。

 

参考:育児・介護休業法改正ポイント(厚生労働省)
厚生労働省による育児・介護休業法改正の詳細説明資料
参考:両立支援のひろば(厚生労働省運営サイト)
両立支援のひろば - 育児・介護両立支援制度の具体事例と診断ツール

労働基準法改正2025年で企業が見落としやすい義務と対応ポイント

改正内容を詳細に見ると、企業が見落としやすい重要な義務が複数あります。一つ目は個別の意向確認の義務化です。制度の対象となる従業員に対して、一方的に「このような措置があります」と通知するだけでなく、本人の希望を直接聴き、その希望に配慮した形で措置を講じなければなりません。育児や介護に関して個別対応が必須であり、一律的な対応は法令違反となる可能性があります。

 

二つ目は公表義務の拡大です。従来は従業員数1,000人超の企業が男性の育児休業等取得率を公表することが義務付けられていましたが、2025年4月以降は300人超の企業にまで拡大されました。単にホームページに掲載するだけでなく、企業は取得状況の正確な集計と説明責任を果たす必要があります。

 

三つ目は労使協定の見直しです。従来の労使協定に「継続雇用期間6か月未満の労働者を除外」という規定がありましたが、子の看護休暇と介護休暇ではこの除外規定が廃止されました。これにより、短期雇用労働者やパート従業員も同じように権利を行使できるようになり、企業の管理対象が拡大しています。

 

参考:中小企業向け育児・介護休業等推進支援事業
社会保険労務士による無料相談窓口
2025年の労働基準法改正は、企業にとって単なる法令対応ではなく、職場環境全体の変革を求めるものです。育児や介護の両立支援は、もはや福利厚生という位置付けではなく、企業の人材確保と組織の持続性に直結した戦略的な経営課題として位置付けられています。段階的な施行スケジュールを踏まえ、2025年1月から10月にかけて複数の対応が必要であり、各段階で就業規則の変更、労働者への周知、管理体制の整備を積み重ねることが成功のカギとなります。

 

特に注視すべき点は、今後2026年に向けた更なる改正が検討されていることです。勤務間インターバル制度の義務化や連続勤務日数の制限といった40年ぶりの大改正が予定されており、2025年の対応がその土台となります。企業の労務担当者は、単年度の対応に留まらず、中期的な視点で法改正対応を戦略化することが重要です。

 

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