2024年4月に発表された新型レガシーセダンは、スバルの最後のセダンモデルとして注目を集めています。フロントマスクには精悍な表情を演出するヘッドライトデザインが採用され、コの字型のデイタイムランニングライトがより強調されたスタイリングとなっています。
従来のレガシーセダンの特徴である6ライト風のウインドーフレームデザインも継承されており、Cピラーに残されたデザイン要素がセダンとしての上品さを演出しています。全体的なフォルムは大きく変わらないものの、細部の洗練度が高められ、スポーティセダンとしての魅力を最大限に引き出したデザインとなっています。
特に注目すべきは、北米市場専用として開発された最終型の完成度の高さです。スバルの技術力とデザイン哲学が凝縮された、まさに集大成と呼ぶにふさわしい仕上がりとなっています。
新型レガシーセダンには、スバル自慢の運転支援システム「アイサイト」の最新バージョンが搭載されています。後退時自動ブレーキシステムや全車速追従機能付きクルーズコントロールの車速域拡大(0〜120km/h対応)など、安全性能が大幅に向上しています。
エンジン性能面では、スバル伝統の水平対向エンジンが継続採用されており、部品軽量化とフリクション低減により燃費性能も改善されています。リニアトロニックCVTには、チェーンのショートピッチ化や再キックダウン制御の採用により、よりスムーズで効率的な走行性能を実現しています。
サスペンション系統では、フロント・リヤともに改良が施され、電動パワーステアリングの特性変更と合わせて、操縦安定性と乗り心地の両立を図っています。これらの技術革新により、セダンとしての快適性とスポーツ性能を高次元でバランスさせた仕上がりとなっています。
スバルが2025年春にレガシーセダンの生産終了を決定した背景には、自動車市場の大きな変化があります。乗用車からSUVやクロスオーバーへの市場シフトが加速しており、セダン需要の減少が世界的な傾向となっています。
北米市場においても、レガシーセダンの販売台数は年々減少傾向にあり、スバルの電動化戦略の一環として生産終了が決定されました。これにより、LEGACYブランドの展開がグローバルで現行ラインナップから終了することとなります。
日本市場では既に2020年にレガシーB4の生産が終了しており、北米での生産終了により、35年間にわたってスバルのフラッグシップセダンとして君臨してきたレガシーの歴史に完全に幕が下ろされることになります。この決定は、自動車業界全体のパラダイムシフトを象徴する出来事として注目されています。
現在、新型レガシーセダンの日本導入については公式発表がなされていません。日本市場では2020年にレガシーB4が販売終了となって以降、セダンモデルの展開は行われていない状況です。
しかし、一部の自動車愛好家からは日本導入を望む声も上がっており、限定販売や特別仕様車としての可能性も完全には否定できません。スバルの国内ラインナップを見ると、現在セダンモデルはWRXのみとなっており、プレミアムセダン市場における空白が生じています。
ただし、スバルの電動化戦略や市場動向を考慮すると、新型レガシーセダンの日本導入は現実的ではないというのが大方の見方です。代わりに、レガシーアウトバックの継続販売や新たなクロスオーバーモデルの開発に注力していく方針が予想されます。
1989年の初代レガシー登場から35年間、このモデルはスバルの歴史を語る上で欠かせない存在でした。初代モデルでは、FIA公認の連続10万km速度記録チャレンジを敢行し、平均速度記録を塗り替えるという偉業を成し遂げています。
第3世代(1998〜2003年)では、セダンが「B4」の名称を冠し、3L水平対向6気筒エンジンの搭載や「六連星」エンブレムの復活など、数々の革新的な取り組みが行われました。また、CCDカメラを搭載した運転支援システムADAの設定は、現在のアイサイトの礎となる技術でした。
現行の6代目モデルは2014年にデビューし、北米市場を重視したサイズアップが図られました。しかし、国内では月販台数が3桁程度まで落ち込み、ついには生産終了という決断に至りました。レガシーセダンの歴史は、日本の自動車産業の変遷そのものを物語る貴重な記録でもあります。
スバル公式サイト - レガシーアウトバック詳細情報
https://www.subaru.jp/legacy-outback/