三菱エクリプスクロスPHEVは、まさに「ランエボがSUVになって復活した」と評される現代のスポーツSUVです。このモデルは単なるSUVではなく、ランサーエボリューションXの走りの遺伝子を色濃く受け継いでいます。
エクリプスクロスPHEVの最大の特徴は、その驚異的なハンドリング性能にあります。SUVとは思えないほどの俊敏性を持ち、「これ、本当にSUV?」と疑問に思うほどの走行性能を実現しています。
搭載されているS-AWC(Super All Wheel Control)システムは、ランエボ譲りの車両運動統合制御技術で、オンロードでもオフロードでも高い性能を発揮します。このシステムにより、パジェロの悪路走破性能とランエボの運動性能を見事に融合させています。
PHEVシステムの採用により、従来のガソリンエンジンだけでは実現できない瞬発力と静粛性を両立。電動化によってさらに進化したランエボの魂が、SUVボディに宿っています。
実は三菱には、真の意味でのランエボSUVが過去に存在していました。それが2002年に登場したエアトレックターボRです。このモデルこそが、現在のランエボSUVブームの原点と言えるでしょう。
エアトレックターボRは、ランサーエボリューションから多数のパーツを流用した本格的なハイパフォーマンスSUVでした。4G63型2.0Lインタークーラーターボエンジンは最高出力240PS、最大トルク35kgmfを発生し、フルタイム4WDと組み合わせることで強烈な加速感を実現していました。
特筆すべきは、標準モデルより車高を10mm下げた専用セッティングです。これにより低重心化を図り、背の高いSUVとは思えないハンドリング性能を獲得していました。
ミッションには5ATのINVECS-Ⅱが搭載され、これもランエボからの流用パーツでした。航空機のメーター回りを彷彿とさせるインパネデザインも相まって、見た目以上に走りへの本気度が感じられるモデルでした。
現在、エアトレックターボRは中古車市場で約50万円程度で購入可能な隠れた名車として注目されています。20年経った今でも色褪せない魅力を持つ、真のスポーツユーティリティビークルです。
2017年の東京モーターショーで発表された「MITSUBISHI e-EVOLUTION CONCEPT」は、三菱が描く未来のランエボSUVの姿を示したコンセプトカーです。このモデルは、三菱の持つ全ての技術を結集した究極のスポーツSUVとして設計されています。
e-EVOLUTION CONCEPTの最大の特徴は、電動化技術とランエボの走行性能を融合させた点にあります。BEV(バッテリー電気自動車)システムを採用しながら、ランエボ譲りの4WD技術を組み合わせることで、従来のガソリンエンジンでは実現できない性能を目指しています。
デザイン面では、三菱の「ダイナミックシールド」コンセプトを採用し、力強さと先進性を両立させています。斬新なドア構造も採用され、従来のSUVの概念を覆すような革新的なスタイリングを実現しています。
このコンセプトカーは、単なる展示用モデルではなく、三菱が本気で考える次世代ランエボSUVの方向性を示すものです。電動化が進む自動車業界において、スポーツ性能と環境性能を両立させる三菱の技術力の結晶と言えるでしょう。
三菱のランエボSUVを語る上で欠かせないのが、4WD技術の継承です。ランサーエボリューションで培われた「曲がる4WD」の技術は、現在のSUVモデルにも脈々と受け継がれています。
エクリプスクロスに搭載されているS-AWCシステムは、ランエボXから受け継いだ走りの遺伝子の集大成です。このシステムは、AYC(アクティブヨーコントロール)、ACD(アクティブセンターディファレンシャル)、ASC(アクティブスタビリティコントロール)、スポーツABSを統合制御することで、あらゆる路面状況で最適なトラクションを実現します。
特にスーパーAYCの進化は目覚ましく、ランエボIXからIXMRへの進化で大幅に制御が改善されました。この技術がSUVに応用されることで、従来のSUVでは考えられないほどの運動性能を実現しています。
三菱の4WD技術は、パジェロで培われた悪路走破性能と、ランエボで磨かれたオンロード性能を融合させた独自のものです。この技術の蓄積があるからこそ、真のランエボSUVが実現可能になっているのです。
現在の三菱SUVラインナップを見ると、アウトランダーPHEV、エクリプスクロス、そしてデリカD:5まで、全てに4WD技術が活かされています。これらのモデルは、それぞれ異なる用途に特化しながらも、共通してランエボの走りの遺伝子を受け継いでいます。
現在のSUV市場において、ランエボSUVは独特のポジションを占めています。一般的なSUVがユーティリティ性を重視する中、ランエボSUVは走行性能を最優先に設計されているからです。
エクリプスクロスPHEVとアウトランダーPHEVを比較すると、その違いは明確です。アウトランダーPHEVが実用性重視の設計であるのに対し、エクリプスクロスPHEVはよりスポーティな走りを追求しています。
項目 | エクリプスクロスPHEV | アウトランダーPHEV |
---|---|---|
走行性能 | スポーツ重視 | バランス重視 |
車体サイズ | コンパクト | 大型 |
乗車定員 | 5名 | 7名 |
価格帯 | 高性能志向 | 実用性重視 |
競合他社のスポーツSUVと比較しても、ランエボSUVの特徴は際立っています。BMW X3 M、アウディSQ5、メルセデス-AMG GLC63などの欧州プレミアムスポーツSUVとは異なり、ランエボSUVはラリーで培われた実戦的な4WD技術を基盤としています。
この違いは、雪道や悪路での走行性能に顕著に現れます。欧州勢が舗装路での高速走行を重視するのに対し、ランエボSUVは日本の多様な路面状況に対応した実用的なスポーツ性能を提供しています。
また、PHEVシステムの採用により、燃費性能と環境性能も両立させている点も、ランエボSUVの大きな魅力です。スポーツ性能を追求しながらも、現代の環境要求に応える技術力は、三菱ならではの特徴と言えるでしょう。
中古車市場では、エアトレックターボRのような過去のランエボSUVが再評価されており、隠れた名車として注目を集めています。これは、真のスポーツSUVを求めるユーザーのニーズが根強く存在することを示しています。